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ガーゼを濡らして指に巻いて掃除

確実に舌を掃除できる方法はないかと考えて、たどり着いたのがガーゼを使った舌磨きです。患者に指導している方法は次の通りです。

 〈1〉目の粗いガーゼを切って、水道水で湿らせ、軽く絞る。
 〈2〉人さし指に巻き付け、前後左右になでるように拭う。
 〈3〉ガーゼが汚れたら、きれいな面で繰り返す。
 〈4〉ガーゼに汚れがつかなくなったら終了。ガーゼは使い捨てる。
 〈5〉よく「ブクブクうがい」(頬を動かすうがい)をする。

 「軽く拭えば、ガーゼの編み目状の繊維がうまく汚れをこすり取って、黄色い色が取れてきます」と中川さん。ガーゼの舌掃除の後で、口の中の空気を測ると、一気に臭気成分が減ると言います。最後に実際に患者の息を鼻で嗅いで確かめます。こうした実践を基に、「口臭の多くは舌が問題」と言い切るのです。

 ブラシやヘラでゴシゴシ掃除をすると、舌乳頭を傷つけてしまうこともあるので、その意味でもソフトなガーゼは効果的。舌苔は、疲労時や発熱時、胃腸の調子が悪い時にはたまりやすいそうです。

5歳児30人から唾液採取 渡部教授にイグ・ノーベル

【ケンブリッジ共同】ユニークな科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が12日、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大で開かれ、30人の5歳児から唾液のサンプルを集めて1日の分泌量を調べた明海大保健医療学部の渡部茂(わたなべ・しげる)教授(68)らの研究チームが化学賞を受賞した。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は13年連続。

 渡部教授は共同通信に「権威があるというか、誰もがよく知っている賞をもらえてうれしい。よくこんな論文を見つけてくれたと思う」と喜んだ。

 授賞対象となった論文は、渡部教授が北海道医療大歯学部の助教授だった1995年に同僚らと執筆。唾液の分泌は食事中に大幅に増えるが、当時は子どもの食事中のデータがなかった。

 渡部教授らは男女15人ずつの5歳児に重さを量ったごはんやソーセージ、漬物など6食品をかんでもらい、のみ込む直前に吐き出させて再び計量し、2日間にわたり唾液量を測定。食事以外の時間と合わせて「1日に計500ミリリットル」という分泌量の推計値を得た。予想していたより少なかったという。

 もっと幼い子どもを調べることも考えたが、うっかりのみ込んでしまう子どももおり「指示を守ってもらえるのは5歳児が限界だった」と話した。

 渡部教授は受賞スピーチの際、子どもの頃に数々の実験に協力させた息子3人と一緒に登壇。唾液量の測定を実演し、500ミリリットルのペットボトルを掲げると、会場から大きな笑いが起こった。

 小児歯科医でもある渡部教授は「子どもにとって唾液はオレンジジュースなどの酸から歯を守るとても大切なもの」と強調した。

口臭を減らせる、この一手【渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」】③

歯磨き、舌磨きをしてから口の臭い成分を計測
 次に歯磨きをしてから同じ検査をします。それでよくなれば、 歯垢など歯の汚れや残った食べカスが臭いの元だったということになります。良くなる人もいますが、多くの人はこの段階ではあまり改善しません。次に舌磨き用のブラシやヘラを使って舌を磨いてから測ります。舌には、はがれた粘膜や食物のカス、歯周病菌など様々な細菌が付着していて、これを 舌苔と言います。この舌磨きで、改善する人もいますが、向かい合って話をしていて臭いが気にならないレベルには下がらない人が多いそうです。

 「口臭の原因は、割合としては歯の汚れよりも、舌の汚れの方が大きいのですが、舌をブラシやヘラできれいに磨くのは意外と難しい」と中川さんは言います。その理由は舌の構造にあります。舌の表面は、鏡でよく見ると、極小の突起が無数に並んでいます。舌乳頭と言いますが、舌ブラシは後ろから手前に引いて使うことが多く、舌乳頭の片側はきれいにできても、周囲には細菌が残ってしまいます。また、耕すようにブラシで臭気物質を巻き上げるだけで、検査をすると臭気の数値が高くなることもあるそうです。

口臭を減らせる、この一手【渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」】②

口臭治療は、意外と簡単?
 多くの人が気にしているお口の臭い。歯科大学の病院には、口臭を診療する専門外来があります。いったいどんな検査と治療をしてくれるのかと思って、鶴見大学歯学部付属病院(横浜市)の口臭外来に話を聞きに行きました。 口腔機能診療科准教授の中川洋一さんは「毎年300人の方が初診でおいでになります。診療時間は1時間半ぐらいかかりますが、ほとんどの方が1度の受診で解決します」と言い切ります。口臭治療って、そんなに簡単なの?

 口臭の多くは口の中の汚れが原因。口の中ではがれた細胞や食べかすなどのたんぱく質が、舌や歯茎にいる細菌が出す酵素によって分解される過程で発生します。揮発性の硫黄化合物が中心ですが、アンモニアなど様々な臭気物質があります。

 中川さんの口臭外来を訪れる患者は小学生から高齢者まで男女の別も様々。子供の場合は親が口臭を気にして受診します。予約の電話を入れると、「歯を磨かずに悪い状態で来てください」の指示。まず、針のない注射器用の器具で口の中の空気を吸い取り、ガスクロマトグラフィーという計測器で、臭い成分の量を測ります。腐った卵の臭いの硫化水素、野菜の腐敗臭と言われるメチルカプタンとジメチルサルファイドという硫黄化合物の値を調べます。

口臭を減らせる、この一手【渡辺専門委員の「しあわせの歯科医療」】①

お口の臭い気になりませんか? 歯科関連の企業が今年、20~60歳代の4700人を対象に口臭について実施したインターネット調査の結果、9割が自分の口臭が気になった経験がありました。他人の口臭が気になる場面を複数回答で尋ねると、「仕事の打ち合わせ」を挙げた人が約7割と最も多く、以下「あいさつ」「飲み会」「電車に乗車中」「デート」を挙げた人がそれぞれ約4割でした。「上司の口がドブ臭い」「同僚が顔を背けた」「向かいの人の口が臭くて、職場に行くのが苦痛」……といった切実な声も寄せられたそうです。誰しも、思い当たるところありますよね。

骨に置き換わる人工骨開発 徳島大学病院歯科口腔外科 宮本洋二教授 

超高齢社会が進行する中、歯科領域では、歯周病や虫歯によって歯を失い、あごの骨が次第に痩せて、安定した入れ歯や歯科インプラント(人工歯根)治療のできない患者さんが増えています。このような場合、体の他の部位から自分の骨を移植する自家骨移植が行われてきました。しかし、自家骨を採取するには、人体の健康な部分にメスを入れ、骨を切り取る必要があり、高齢の患者さんへの負担は小さくありません。

 そういった問題の解消法として、人工骨(骨補填(ほてん)材)があります。従来、多く使用されてきた人工骨に「ハイドロキシアパタイト」という材料があります。ハイドロキシアパタイトは生体親和性が良い材料ですが、体の中でほとんど吸収されず長期間にわたって体内に残存し、時には異物となって細菌感染の原因となることもありました。

 そこで、私たちは、もっと人の骨の組成に近く、最終的に本物の骨と置き換わる人工骨を九州大学と開発してきました。その中で、人の骨の主成分である「炭酸アパタイト」を完全人工合成することに成功し、製品化できました。この材料は2018年2月より、歯科医療メーカー「ジーシー」から市販されています。

 炭酸アパタイトは優れた生体親和性を持ち、時間の経過とともに体内で吸収され、自分の骨と置き換わるだけでなく、従来の人工骨よりも骨の新生を促進することも分かっています。

 これまで国内では、歯科インプラントを植え込むための骨を造る手術に使用することが許された人工骨はありませんでした。私たちが開発した炭酸アパタイトは、日本で初めて歯科インプラントへの適用が認められました。炭酸アパタイトは完全人工合成ですから、ウイルスや狂牛病などの感染症のリスクもありません。

 この一連の研究、開発は国から評価を頂き、本年3月、内閣府の第1回日本オープンイノベーション大賞審査員特別賞を受賞することができました。現在は、さらに大きな骨欠損を自家骨移植なしに再生できるように改良を加えるとともに、整形外科分野など医科領域への適応拡大を計画しています。

遺体になぜ金属片? 北海道大、献体の返還で取り違え

北海道大学は30日、同大歯学部で今年3月、解剖実習用の献体として提供された2体の遺体を取り違えて遺族に返していた、と発表した。同大は6月に遺骨をそれぞれの遺族に返して謝罪した。実習を担当した50代の男性教授は7月31日付で依願退職した。

 同大によると、教授は今年2月下旬、解剖実習後に2遺体を取り違えて納棺。遺体を火葬場でそれぞれの遺族に引き渡した際、遺骨に金属片が混じっているのに気付いた一方の遺族から「故人は金属を埋め込む手術はしていないので、取り違えではないか」と訴えがあった。教授は「家族が全ての病気を知っているわけではない」と遺族に言い、そのまま遺骨を引き取らせた。同大は3月15日付で特別調査委員会を設置。双方の治療歴や歯形などから取り違えを認定した。

 遺体とひつぎには識別用の番号がつけられ、技術職員の立ち会いのもとで番号を照合して納棺することになっていたが、教授は職員が不在のまま納棺し、番号の照合を怠ったという。

からだの中の常在菌

お口や腸、皮膚などにはたくさんの菌が存在し、
私たちが摂る食事や、分泌物をエサに増殖しています。
この菌を常在菌とよび、外からの病原菌からからだを守ってくれるなど、
基本的には味方になってくれて、共生しています。

腸内の常在菌には糖を分解して乳酸に変える乳酸菌や、
糖から酢酸や乳酸を作るビフィズス菌などがあります。
これらは腸内で悪玉菌が増えるのを防ぎ、
からだの健康を手助けするといわれていますが、
乳酸菌飲料を飲んでも、多くは胃酸で死んでしまいます。
生きたまま腸まで届く乳酸菌(ラクトバチルス・ガゼイ・シロタ株)は
腸を通過するときに常在菌のエサになるなど役に立ちますが、
定着はしないといわれています。

お口の中にも常在菌が存在し、免疫力が低下していたり
口腔内が不衛生だったりなどでバランスが崩れると
からだに害を与える原因になります。
むし歯や歯周病はもちろん、誤嚥性肺炎・糖尿病・動脈硬化・
心筋梗塞・脳梗塞などの原因になり、
菌がからだ中に広がる菌血症などを引き起こす場合もあります。
また、お口の中の細菌が大腸がんの原因になることもあると考えられています。

普段は味方になってくれる常在菌ですが、それらの菌の均衡を保つことが大切です。
消毒や除菌をし過ぎると均衡を崩したり、病原菌の侵入に繋がりますので、
なにごともやりすぎには気をつけたいものですが、
やはり、清潔を心がけ菌が増殖することを防ぐことが大切です。
お口も歯磨きや舌のお掃除などで、細菌が過剰に増えないよう気をつけましょう。

▼参考:口腔微生物叢と歯のケアが腸内微生物叢に及ぼす影響
 鶴見大学歯学部
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/i0qc1ps0kv3z37lcp5Sw6
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