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軟骨細胞の破裂が骨形成の場を作る。骨が出来る新たなメカニズムを発見。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体材料学分野の松本卓也教授と原エミリオ助教と大阪大学の研究グループは、骨が形成される新しいメカニズムをマウスモデルを使って発見したと発表した。研究グループは、二次骨化中心と呼ばれる大腿骨などなどの関節部分に注目。このあまり検討されてこなかった部位や時期を分子生物学的、形態学的さらに工学的といった複数のアプローチで検討。
その結果、大腿骨骨頭部分のほとんどを占める軟骨細胞が次第に肥大化し、細胞の一部が破裂し骨形成に必要なスペースが出来ること、破裂の際に残された細胞膜の断片が骨石灰化の開始点になることがわかったという。また、この細胞破裂は歩行などによって生じる機械的刺激によって誘引されることも判明した。この研究結果により、適度な運動で生じる関節部分の細胞破裂が正常な骨形成に関与していることが明らかになった。細胞膜断片が骨石灰化の起点であることを特定したことで、細胞膜断片を利用した新たな骨再生材料の開発などに繋がるだろう。

世界初、マイクロPHセンサによるう蝕の定量的検査技術の開発に成功。

東京医科歯科大学生体材料工学研究所の宮原裕二教授と田畑美幸テニュアトラック教授の研究グループは、酸化イリジウムを材料とするマイクロPHセンサを製作し、世界初となる歯のPHマッピングによるう蝕の定量的検査技術を開発した。研究グループは、歯科用深針に実装することを目的に、小型化・加工性に優れたワイヤを用い、室温での理論値に近いPH感度を有するセンサを作製。
 このセンサを用いて抜去う蝕歯の表層PH測定を行い、健康な歯根、非進行性う蝕、進行性う蝕はそれぞれ6・85、6・07、5・30のPH値を有していることもわかった。直径300μmの同センサは、凹凸や欠損といった歯表層の形態に左右されず、直接PH測定を行うことが可能であるだけでなく、染色による目視診断やX線による画像診断では識別できない歯間のう蝕進行性も評価することができる。繰り返しの測定や、使用後のオートクレーブ滅菌も可能だという。

間葉系幹細胞の投与で歯周病の進行を抑制。

 愛知学院大学歯学部の本田雅規教授、日本大学歯学部の井口慎也非常勤医員らの研究グループは、間葉系幹細胞が歯周病の進行を抑えることをマウスを使った実験で明らかにした。本田教授らは歯肉溝に糸を巻いて歯周病に罹患させたマウスを用いて実験。
 糸を巻いた同日に、糸を巻いた歯の周囲の歯肉に注射を針で間葉系幹細胞を投与すると、歯槽骨の破壊が有意に抑えられた。間葉系幹細胞はマウスの大腿骨から採取し数日間培養したものを、歯の近心の歯肉だけに投与。近心側の歯槽骨破壊は抑えられたが、遠心側の歯槽骨については投与しない場合と同様に破壊されたという。
 従来、炎症部位への細胞の投与は細胞が死滅するため禁忌とされていた。しかし、今回の実験により、炎症部位に投与した細胞でも数日間にわたり生存できることが判明。今回は骨髄から採取した間葉系幹細胞を使用したが、歯髄や歯根膜など他の組織の間葉系幹細胞でも今後実験していくとのこと。幹細胞を使った再生医療の確立にまた一歩近づいたと言えよう。

口角と幸せホルモンの関係

口角を上げると見た目が若くなる!だけではなく、
幸せホルモンの1つ、セロトニンが増加する効果も期待できます。

セロトニンの活動が抑制されると、
うつ病や慢性疲労症候群など引き起こすことがあります。
口角を上げて、作り笑いをするだけでも、
脳は笑っていると勘違いしてセロトニンを増加させます。
セロトニンには感情をコントロールして、
気持ちを安定させる働きがあります。
セロトニン増加は免疫力アップにも繋がります。

また、セロトニンは咀嚼でも増加するので、
食事のときはよく噛むようにするといいですよ!

▼参考:補完代替医療としての笑い
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/h01kant0xtt7geq0ecg1Q

歯科関連の国家試験合格者が発表。歯科医師は3年ぶりに2000人超え。

第111回歯科医師国家試験の合格者が発表され、出願者3721人、受験者3159人で合格者は2039人という結果になった。合格者は3年ぶりに二千人を超えたが、合格率は前年に比べ0.5ポイント減少の64.5%。
 新卒者の合格率は77.9%、既卒率は44.0%。規定年限で合格する学生の比率が急激に下がっているという現状は前回と変わらず。留年学生を除いた最終年限での出願者数に対する合格者の割合をみると、一部の大学で20%台となるなど厳しい現状となっている。
 また、平成29年度歯科技工士国家試験の合格発表も行われ、受験者952人に対し、合格者は902人。合格者が初めて1000人を割った昨年度よりさらに85人も減少した。全国の歯科技工士学校の入学者も激減しており、若者の歯科技工士離れが進んでいることは間違いない。
 歯科衛生士国家試験では、7374人が受験。合格者は7087人と前回に比べ350人増加した。どの職種も歯科医療を支える重要な役割を背負っている。将来の歯科業界を担う人材が育つことを期待したい。

若返りの秘訣

周りを見回すと…口角が下がっている人、多くないですか?
口角が下がると、老けた不満たっぷりの顔になります。
口元が下がると、頬や目も引っ張られて下がるため、
目元などのしわやたるみの原因にもなります。

じゃあ、どうすればいいか??
お勧めは、やっぱり口腔体操。
口腔機能維持向上のためにも、もちろん効果的ですが、
若返りのためにもとても効果的です。
口腔体操で有名なものの一つに「あいうべ体操」があります。
・あ~、い~、う~と言いながら大げさにその音の形に口を動かす
・舌をあっかんべ~と、できるだけ出す

若返りのコツは大きくお口を開けるとき、頬が持ち上がるのを意識すること。
あっかんべ~と、下に大きく出した舌を、その次は
上を向きながら突き上げるように出すと小顔効果も期待できます。
体操の前に頬を外側と内側からもみほぐしてから行うと、更に効果的です。

男女関係なく、口角の上がった魅力的な口元は、毎日の努力で作られます。
秋の夜長を利用して、マイナス5歳の口元を手に入れませんか?

口腔扁平上皮がん、二つの型と識別法発見 獨協医大の川又教授ら 治療選択、予後改善に期待

獨協医大口腔(こうくう)外科の川又均(かわまたひとし)教授らの研究チームは、口の中にできる扁平(へんぺい)上皮がんに「唾液腺(だえきせん)型」と「粘膜型」の二つの型があり、遺伝子解析で識別できることを突き止めた。治療法の選択に活用できるという。国際対がん連合(UICC)の機関誌「インターナショナルジャーナル オブキャンサー」の電子版に掲載された。

 国内の口腔がん発症者は年間約7千人で、全がんに占める割合は1~2%とされる。口腔がんの大半を占めるのが扁平上皮がんで、舌や歯肉、上顎などさまざまな部位にできる。

 「口の粘膜には小さな唾液腺が3千個くらい張り付いて、唾液を作っている。以前から、口腔扁平上皮がんの中には唾液腺からできるものがあるらしいと推測されてきた」(川又教授)が、明確には証明されていなかった。

 川又教授らが着目したのは、口腔扁平上皮がんの遺伝子発現。人間の3万を超える遺伝子断片を貼り付けたプレートで組織の遺伝子情報を解析する方法「マイクロアレイ」を用いて計173人分を調べたところ、発現傾向が「唾液腺型」と「粘膜型」の二つの型に分かれることが判明した。

 二つの型は見た目や組織像では判別できないが、九つの特徴的な遺伝子によって識別できることも発見した。

 川又教授らはこうした研究成果を基に、遺伝子断片を増幅させる「PCR法」で過去に治療した66人を調査。唾液腺由来と推察された12人は放射線や抗がん剤などの治療が効きにくく、リンパ節への転移率が高いことが分かった。60カ月後の生存率も、粘膜由来の80%に対し、唾液腺由来は50%と低かった。

 「唾液腺由来だと分かれば切除手術を優先し、他への転移も警戒することができる」と川又教授。予後の改善につながると期待する。

新規事業で3億6千万円要求 歯科保健医療の充実・強化に10億円

厚労省は8月29日、平成31年度の歯科保健課関係予算(厚労省医政局歯科保健課)概算要求の主要事項を公表した。

 新規事業では、「歯科保健医療の充実・強化」のうち、健康寿命の延伸に向けた歯科口腔保健施策を実施するため、「新しい日本のための優先課題推進枠」(以下、推進枠)を活用して、歯科医療提供体制を推進する観点から「歯科医療提供体制推進等モデル事業」2億1,400万円と「歯科技工所業務形態改善等調査検証事業」3,770万円を要求。

 健康寿命の延伸に向けた歯科口腔保健を推進する観点からは、「口腔保健に関する予防強化推進モデル事業」6,700万円を計上した。

 その他、「歯科医療分野の情報化の推進」において、歯科情報の利活用推進の観点から、「歯科情報の利活用推進事業」4,170万円を、こちらも推進枠を活用して要求した。

      (日歯メールマガジン 9月17日より)

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