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歯学部出身者ら優遇「痛恨の極み」…岩手医大

 文部科学省による医学部入試に関する緊急調査で、岩手医科大(盛岡市)でも編入試験と一般入試で一部の受験生を優遇していたことが8日、明らかになった。同大は記者会見で「社会の信頼を揺るがす事態になったことは痛恨の極みで心からおわびする」と謝罪し、運用を見直す方針を示した。

 同大によると、文科省の指摘を受けた一つが、今年2月の歯科医師免許取得者らを対象にした医学部への編入試験。2013年頃から募集要項に明記せずに同大歯学部出身者の合格枠を設け、34人が応募した今年は合格者7人のうち3人を占めた。

 編入試験の応募者には、卒業後に県内の地域医療に従事することを確約する誓約書の提出を求めており、佐藤洋一医学部長は「地域医療への意欲や信用性に比重を置いている。(同大歯学部出身者の優遇は)大学の裁量の範囲内だと思っていた」と釈明した。

 また、今年度の医学部一般入試(募集定員90人)では特定の受験生を優先的に合格させたと指摘された。

 同大は1月の入試で当初135人に合格を出したが、100人弱が辞退したため、繰り上げで51人を追加合格とした。この際、当初の合格者に近い評価だった受験生が含まれず、面接の点数が明らかに下回っていた受験生を追加合格とした点を文科省は不適切だと指摘。その経緯を記した書類が残されていないことも問題視した。

 同大は「性別や浪人生など、特定の属性で差別はしていない」と説明。今後は成績順位を順守して合格者を選抜し、記録を残すなど合格に至った経緯の透明性を確保するとした。

 祖父江憲治学長は「透明性の担保などを粛々と進める。岩手をはじめ東北の医療を担うために多くの人材を育てたい」と話した。