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国民に良い歯科医療を提供するための改定へ  令和8年度診療報酬改定に係る臨時記者会見

日歯は令和7年12月24日、令和8年度診療報酬改定率の決定を受けて臨時記者会見を歯科医師会館で開いた。高橋英登会長は執行部として一定の評価をしているとした上で、実りある改定になるよう日歯として対応していく考えを示した。政府が同日に発表した診療報酬改定率は、診療報酬本体がプラス3.09%。このうち医療に活用できる改定財源はプラス0.25%で歯科はプラス0.31%となる。
挨拶で高橋会長は、ウクライナ情勢等による価格高騰に対応するため歯科用貴金属価格の緊急改定が実施された令和4年5月を上回る水準で素材価格が推移しており、上昇基調に落ち着く様子がみられないとした上で、歯科は材料費のウエイトが非常に高く、円安の影響もあり材料費や医療機器導入の経費が急騰する状況に現在の保険点数は全く対応できておらず、赤字が積み重なっているとした。人件費についても、零細で経営体力の乏しい歯科診療所は、賃上げを実施することができずに人材が流出してしまうといった存亡にかかわる事態にある中で、本体で3.09%の大幅なプラス改定率になったことは一定の評価ができるとしたうえで、まだ不明瞭な財源部分の確保に努め、確保された診療報酬の財源を国民にとって良い歯科医療が提供できるよう日歯として対応していくと結んだ。
中医協委員を務める大杉和司常務理事は、薬価・材料価格がマイナス0.87%、ネットでプラス2.22%となり、ネットでプラスとなるのは平成26年度改定以来12年ぶりであるとした。
さらに今回の改定ではインフレにおける物価・人件費高騰への対応が焦点となっていたが、プラス3.09%の内訳は▼賃上げ分プラス1.70%▼物価対応分プラス0.76%▼食費・光熱水費分プラス0.09%▼令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分プラス0.44%▼後発医薬品への置換えの進展を踏まえた処方や調剤に係る評価の適正化、実態を踏まえた在宅医療・訪問看護関係の評価の適正化、長期処方・リフィル処方の取組強化等による効率化マイナス0.15%▼使途を限定されない通常改定分プラス0.25%―を報告。通常改定分プラス0.25%の医科・歯科・調剤の各科配分は「1:1.1:0.3」が維持され、歯科はプラス0.31%となったと説明した。
その上で、賃上げや物価高騰への対応は重要であるものの、改定の基本方針で示された、医療提供の本質である安心、安全で質の高い医療の推進、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進等が不可欠であり、これらに活用できる財源が限られている状況ではあるものの、継続中の診療報酬改定議論に最後まで丁寧に取り組み、限られた財源を国民の健康の維持、向上のために最大限活用し、期待に応えたいと抱負を述べた。

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