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DXの波

DX化とは本来、デジタル技術を社会に浸透させて人々の生活をより良いものへと変革することと定義される。
現在、歯科界においても様々な点で大きなDX化の波が押し寄せてきている。ただ、それに順応できない会員の廃業が進んでいると言われていることも事実ではないだろうか。確かに今後の社会においてDX化はあらゆる面で推進が必要とされるが、失われるものも大きく、その対応も考える必要があるのではないかと考える。
過日、日本歯科医師会が協力を行っている社会貢献活動のひとつ、TOOTH FAIRYプロジェクトでカンボジアの子供たちへの支援のためにカンボジアを訪問した。渡航に際し、ビザの申請・取得に加え、カンボジアの出入国の書類の申請などはもちろん、あらゆる点でDX化が進められていることは驚きであった。さらに国内においては現地通貨のリエルばかりか、使用が可能と言われている米ドルなどの現金での取引がほぼなく、屋台のような店でペットボトルの水を1本購入するにもカード決済となっていた。さらにはプノンペンなどの主要都市での50ccバイクに座席を取り付けただけのトゥクトゥクと呼ばれる交通手段においても、配車から支払いまでをクレジットカードを利用して取引が行われる次第である。一旦、雨が降れば膝の高さまで水が浸かるような、または日常的に停電が発生するような、インフラ整備が追い付いていない都市環境の中でも、ハイスピードで行われているDX化は圧巻である。「DXが社会や組織・ビジネスの仕組みそのものを変革すること」との言葉通りに、社会全体の組織が変わろうとしているような勢いを感じる。
世界は目が回るほどのスピードでDXが推進されているが、真のDX化とはあらゆる意味で誰も取り残すことのない取り組みが必要で、特に医療においては提供する側だけでなく受ける側への影響がないような取り組みが重要である。
歯科医療界においては「やさしい」(優しい・易しい)DX推進を望むのは私だけであろうか。

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