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高齢者、交流少ないと健康リスク 日本福祉大など調査

同居者以外の人との交流が週に1回未満のお年寄りは、要介護や認知症のリスクが高くなり、月に1回未満だと死亡リスクも高くなるという研究成果を、日本福祉大や千葉大の研究チームがまとめた。社会的な孤立と健康状態との関連はこれまでも指摘されてきたが、この研究で交流の頻度が具体的に示された。

 研究チームは2003年に愛知県に住む65歳以上の健康な男女約1万2千人を対象に、同居者以外の人と会ったり、手紙やメールを出したり、電話をしたりする頻度を調べた。

 約10年間、追跡調査したところ、2272人が自力での立ち上がりや歩行が困難な「要介護2」以上となり、1986人が認知症を発症、2920人が死亡した。

 交流頻度と健康リスクとの関連を性別や年齢、世帯構成、病気の有無などの影響を取り除いて分析した結果、同居者以外との交流が月1回~週1回未満の人は、毎日頻繁に交流している人に比べて、要介護2以上となるリスクが1・40倍、認知症の発症リスクが1・39倍だった。月1回未満では死亡リスクが1・34倍。週1回以上のお年寄りは、統計的に明確な差がなかった。

虐待予防 歯科健診で 健康状態をチェック、早期発見 食生活改善も指導、取り組みが注目

ボランティアでの歯科健診を通じ、児童虐待の防止や食生活の改善に取り組む歯科が増えている。児童虐待について、全国の児童相談所が受けた相談対応の件数は2013年度に7万3765件(前年度比10・6%増)と年々増えており、虐待を早期発見する端緒として、医療機関の役割が注目されている。

 兵庫県西宮市の幼保一体型施設「夙川プリスクール」で今月15日、「夙川マサト歯科」の内藤真人院長(52)が5歳児と対面し、歯や舌の健康状態をチェックしながら、「ごはんはおいしい?」「何が好き?」などと会話を交わした。内藤院長は「虐待や育児放棄を受けている子は、虫歯が多かったり、頬に傷があったりすることが多い。待っている時の様子も見て、生活に問題がないか判断している」と話す。

 大阪市旭区の「高殿歯科」も近くの児童らに無料での健診を呼び掛け、入り口に子供が描いた絵を展示するなどの工夫もしている。歯科医の梅村哲弘さん(34)は以前、幼稚園の健診で大半の歯が根元しか残っていない状態の児童を見て、「まともな治療を一度も受けないまま放置されている。虐待を受けていると感じた」という。

 日本歯科医師会が昨年実施したアンケート調査では、全国で15都府県の歯科医師会が児童虐待に関して児童相談所などと連携。9都府県では、虐待の疑いがあるとして通告した事例があった。梅村さんは「親に面と向かって『虐待ですよ』というのは難しいが、食生活の改善指導を通して子供の健康を守りたい」と話している。

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