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口の中のウイルス感染症=山根源之 口福学入門/10

インフルエンザの流行シーズンですが、ほかにもさまざまなウイルスが口や鼻から入り、体に影響を与えます。口の中にもウイルス感染症が見られますので、重症化を防ぐためには早期発見が必要で、乳児から高齢者まで油断できません。飛沫(ひまつ)感染と、手や指についたウイルスが食事などの際に入り込む接触感染がありますので、感染予防にはマスクと手洗いが効果的です。

 乳幼児期に見られるヘルペス性口内炎は、重症になると口の中に多数の小水疱(すいほう)ができ、水疱は破れてびらんになり激しい痛みが生じます。高熱が続き、食事ができず、乳幼児は全身の衰弱が懸念されます。初感染ではヘルペス性口内炎になるケースは多くありません。しかし、成人になってから潜んでいたウイルスが活性化し、再感染という形で発症します。これが口唇ヘルペスです。初感染より症状は軽いのですが、スキーなどで過度に紫外線を浴びることや、疲労や風邪などが誘因となって、何度も繰り返します。抗ウイルス薬は重症化を抑えますが、水疱が出た後では効果は限られます。

 同じヘルペスでも帯状疱疹はさらに深刻です。原因は水痘・帯状疱疹ウイルスで、初感染は水痘(水疱瘡(ぼうそう))です。このウイルスは神経を好み、初感染後は神経節に潜みます。何らかの原因で活性化し再感染したウイルスは、脳神経や脊髄(せきずい)神経の支配領域に沿って広がります。体の片側に帯状の発疹、水疱を多数作るのが特徴です。胸部に多いのですが、口腔(こうくう)では知覚の三叉(さんさ)神経と表情を作る顔面神経によく現れます。そのため口からのどにかけてや顔面の激しい痛み、運動まひ、味覚障害を起こします。治癒後も、特に高齢者では神経痛のような痛みや、顔面神経まひが残ることがあります。

 このほか、毎年春先に流行する手足口病にも注意しましょう。口内炎と思ったら手や足にも水疱が見られ、周囲の子供の間に広がります。

 発病初期から口腔にカンジダ症や毛状白板症を生じるエイズも、ウイルス感染症であることを忘れてはなりません。これは飛沫でなく接触感染のため、予防できます。
毎日新聞社 11月7日(月) 配信

受診時定額負担 到底容認できない 日歯、見解まとめる

第8回理事会が9月22日(木)、歯科医師会館で開催され、社会保障・税一体改革成案における受診時定額負担制度の導入に明確に反対する見解をまとめた。見解では、「患者窓口負担の増加により、受診抑制など疾病の重症化が懸念される」とした上で、自然治癒の少ないむし歯や歯周病を抱える歯科医療にとっては受診抑制が歯の損失を招き、国策として展開している8020運動に与える影響が大きいことを主張した。また、平成14年に窓口負担を2割から3割に引き上げた際の健康保険法改正で、給付割合は「将来にわたり100分の70を維持する」と附則で明記しているが、定額負担だと窓口負担は3割を超えることを指摘。「3割負担でさえ公的保険の限度を超えており、それ以上の負担増を認めることは到底できない」として、反対姿勢を明らかにするとともに、法改正を含めた見直しや制度改正を行う場合の唐突な実施を牽制した。
           日歯広報 10月15日

後期支援金「加減算」の議論が本格化/厚労省検討会

厚労省は「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を8月29日に開き、25年度からの絋基高齢者支援金の加算・減算制度について本格的な議論を開始した。委員からは反対意見が相次いだが実施を前提に計算方法を検討する。被扶養者の健診を原則として市町村国保に委託することも提案したが、次回以降に議論を先送りした。「加算・減算」は、実質的に25年度の支援金から開始となる。加算率の計算方法は検討会で24年夏までに結論を得るが、委員間には反対が根強い。この日、座長は委員の反対を押し切る形で現行法に則り加算・減算を実施する前提で議論を進めることを決めた。厚労省は保険者をグループ化し、加入者や対象者の規模など実施率に影響を与える特性を踏まえて計算方法を決めたい考え。実施体制など考慮すべき点がないか議論する。
          「国保情報(国保中央会発行)№1020~1021より転載」

自然増1兆1,600億円容認へ/24年度 概算要求暫定基準

野田佳彦財務相は8月23日、24年度予算の概算要求に向けた「作業手順」を各省庁に通知した。9月中旬に決定する概算要求基準の大枠を示したもので、医療や年金などにかかる経費である社会保障費は高齢化などに伴う自然増分1兆1,600億円を容認した。全省庁の裁量的経費を10%削減するなどしてその財源に充てる。概算要求基準で自然増を容認したのは22年度から3年連続。23年度当初予算で社会保障費は28.7兆円が形状されており、自然増を含めると24年度は約30兆円程度となる。自然増の財源には裁量的経費の10%削減分(1.2兆円)の一部(0.7兆円)とともに、年少扶養控除見直しによる地方税の増収分(0.5兆円)を充てる。ただ作業点順は増収分の取り扱いを「予算編成過程で検討」と言及しており、変更される可能性もある。

再石灰化 常時ある歯の修復作用

私たちの体には傷を修復する能力がありますが、歯では再石灰化がその機能を担っています。穴のあいた虫歯が自然に治るほどの修復能力はありませんが、人類の食生活史においては、長い間これで十分だったのでしょう。今の私たちのように、人の手と歯科材料による歯の治療は不要だったのです。現代の人類が砂糖を精製する技術を確立し、加工食品や飲料から多量の砂糖を消費して虫歯になることなど、人類の進化において全くの”想定外”だったようです。
                2011.10.12 北海道新聞

アンチエイジング5 ちょきちょき顔トレ

顔トレとは、顔のトレーニング。足や腕の筋肉は使わないと衰える。顔も同じだ。皮膚の下の表情筋という様々な筋肉を使わないと、支える力が弱まり、しわやたるみを招く。筋肉を鍛えて、少しでも防止しようというのが顔トレだ。しわの中でも嫌われるのが、鼻の両脇から唇の両端に伸びる「法令線」。このしわが深くなるほど、年をとった印象を与える。顔トレ最大のテーマでもある。グミキャンディーが参加者に配られた。よし、よくかんで口の周りの筋肉を鍛えよう。「いつも同じ場所でかむと、そこの法冷線が深く長くなります」。そうか、気をつけないといけない。次いで、ちょきちょきトレーニング。年とともに顔の輪郭がぼやけ、二重あごのようになっていく。それをすっきりさせる。人指し指と中指であごの線をはさみ、ちょきちょきと指を動かし、耳のところまでさすり上げる。参加者が一斉にちょきちょきを始めた。皆真剣だ。事情を知らないと、「一体何やっているんだ」と不思議に思いそうな光景ではあるが・・・。
            読売新聞 2011.8.25

アンチエイジング2 自分を知って楽になる

 鶴見大学歯学部付属病院(横浜市鶴見区)。ここのアンチエイジング外来で、老化度の検査を受けた。結果を聞きに、再び病院長の斎藤一郎教授をたずねた。斎藤教授から報告書を手渡された。ページをめくると、数字や文字がたくさん並んでいる。「どんな結果だったのでしょうか?」。そう尋ねると、斎藤教授は「筋肉と骨は年齢より10歳以上若い。取材でよく歩いて、鍛えているんでしょうね。」「えっ、本当ですか」。つい頬がゆるみ、声が弾んだ。が、続きがあった。「血管年齢などは10歳以上年をとっています」。口の中も、かむ力は年齢より若いが、唾液の量、飲み込む力などは老化していた。外来主任の講師が、老化防止策を指導してくれた。まず血管。「糖質や脂肪は血管の硬さにつながります。クッキーなどの甘いものの量を減らしましょう」口。「よくかみ、飲み込むと、意識することが大事。おいしいからと、だらだら食べるのはダメです」結果が良かった筋肉と骨にも注文がついた。「歩くだけでは運動不足。将来を考えてジョギングや水泳などもしてください」思い当たることばかり。私はうなずくしかなかった。
            読売新聞 2011.8.19

アンチエイジング1 口と全身 老化度一致

JR鶴見駅に近い鶴見大学歯学部付属病院。2005年に歯科大初の「アンチエイジング外来」が設置された。検査で老化度を判定し、防止策をアドバイスしてくれるという。「口と全身の老化度は一致しているんです」と斎藤教授。歯が抜ける、かむ力が弱まる、唾液が減る・・・。こんな変化が起きると、体にも様々な影響が出る。逆に、体の病気が、口の症状として表れる場合もあるそうだ。「口の機能を維持して、全身の健康を保とうというのが、僕らの考えるアンチエイジングなんです」
            読売新聞 2011.8.18

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