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豊中 「歯科版ドクターヘリ」目指し 送迎で通院負担減

入れ歯の製作などの特殊治療を専門とする豊中市の歯科医院が、自家用ヘリによる患者の送迎サービスを始めた。自身もヘリパイロットという院長が「交通の不便な僻地(へきち)の患者にも気軽に治療を」と、自費でヘリを購入。将来は地震や水害の被災地へ歯科医を空路で送り込む「歯科版ドクターヘリ」の運航も目指す。【山口起儀】

 送迎サービスを導入したのは大前歯科医院の大前太美雄院長(46)。2年前、ヘリで大阪市上空を遊覧飛行した際、遠方の患者を空路で送り迎えすることを思いついた。米国製の小型ヘリ(4人乗り)を導入、運航は舞洲(まいしま)ヘリポート(大阪市此花区)を拠点とする小川航空に委託している。

 送迎の範囲は、舞洲から片道60分圏内。近畿全域に加え東海、北陸、中四国の一部に約100カ所の発着地点を用意した。舞洲から医院までの移動時間を足しても60~90分程度で「遠方からの通院の負担を減らせる」とメリットを強調する。

 かみ合わせを正確に計測する装置の発明など五つの特許を持つ大前さんは、精密な入れ歯を作る。患者は全国から訪れる。歯槽(しそう)膿漏(のうろう)で総入れ歯になる20~40代の患者も増えており、「多忙な現役世代の通院時間の短縮にもつながる」と説明する。

 「十分に通院圏内」と高松市に住む患者の会社員の男性(42)は語る。先月7日、入れ歯の点検のため2年ぶりに医院を訪れた。前回は自分の車を運転したが、今回は時間短縮のためにヘリを選択。舞洲までの片道50分の飛行を終え、「ほとんど揺れず快適だった」と振り返った。

 ヘリ利用料は、片道30分の地点で1回の診療(2往復分)につき約15万円程度。相乗りも可能で3人の場合は1人約5万円。1泊2日で総入れ歯を自由診療で仕上げる場合は、ヘリの料金や提携ホテルでの宿泊費込みで100万円程度という。料金は高いが、男性は「歯槽膿漏の痛みがつらかった。歯はこの先の人生で重要なので費用は二の次」と、ローンを組んだ。

 大前さんは災害時のヘリの活用も想定。歯科技工士とともに被災地へ乗り込めるようにと、今年2月にヘリ操縦士の資格を取得した。民間の自家用機の所有者が日本赤十字社の災害救援に協力する「赤十字飛行隊」に参加する予定で、「阪神大震災や東日本大震災では、入れ歯を置いたまま逃げた人も多かった。避難所での診療支援など歯科医の活躍の余地は大きい。使いやすい料金にすることも今後の課題だ」と話している。

日歯、朝日新聞に強く抗議 「医療制度への国民の信頼損なう」

日歯は5月13日(火)、5月11日付朝日新聞朝刊1面及び2面の「診療報酬不適切請求の疑い 厚労省、半数の調査放置」の記事で記載された「年間の指導実施目標数」と「医師・歯科医師による指導立会」の内容に対して、「我が国の医療制度に対する国民の信頼を損ないかねない内容があり、日歯として到底受け入れられないもの」として強く抗議する申し入れ書を同社編成局長に送付した。
                   日歯広報 2014.6.1

あご手術、CGでわかりやすく、島根大が最新ソフト

島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町、井川幹夫院長)が、あごや顔面の骨をコンピューターグラフィックス(CG)で3次元データ化し、手術前にシミュレーションできる最新鋭の医療ソフトを今年度から導入した。「手術の様子がイメージしやすく分かりやすい」と患者の評判も上々という。

 同病院歯科口腔外科学講座の管野貴浩講師(38)によると、導入したのはベルギーに本社がある企業が開発したソフト。CT(コンピューター断層撮影)装置で撮影した顔からあごのデータを画像処理し、患者の顔の形や骨の形状をほぼ正確に立体で再現。手術で切開する部分などを事前に確認できる。東京や大阪、福岡など全国数カ所の医療機関しか導入していないという。

 島根大病院が連携する松江、隠岐の島、浜田、益田にある各医療機関の患者にも利用範囲を拡大している。十数年前、がんであごの骨の右半分を切除した患者の場合では、残された左半分の骨のデータを参考にして右半分の骨をCGで再現し、骨を再生する手術に応用した。手術時間の短縮効果もあったという。

 ソフトを利用することで、0・1ミリ単位でメスを入れる位置を変えたり、手術による顔の表情の変化をチェックしたりできる。管野さんは「歯のかみ合わせやあごの動きは繊細。少しのずれでも生活の質に大きく影響する。食べる、話すなどの機能を戻すことが重要」と話している。

脳機能 かむことで回復

軟らかいものを食べ続けると脳の機能が低下するが硬いものを食べればその機能は除々に回復することを、旭川医科大などの研究班がマウスの嗅覚の実験で実証した。動物の実験ではあるが、かむことと脳の機能との関係を示す一つの成果として注目される。研究班は脳の働きの中の一つ、嗅覚に注目した。嗅覚は、マウスもヒトも、脳内の「脳室下層」で作られる神経細胞が、脳内でにおいを最初に感知する「嗅球」に移動して働く。研究班は、よくかむ必要がある固形飼料だけを与え続けた「固形マウス」と、かむ必要がない粉末飼料だけを与え続けた「粉末マウス」の脳の内部や行動を比較した。
 研究班の一員で、旭医大の柏柳誠教授(感覚生理学)は、「咀嚼が嗅覚に影響することが明らかになった」と松田光悦教授(歯科口腔外科学)は「自分の歯でかむことが、脳機能を含めた健康に重要なことを示す結果だ」とそれぞれ歯ナス。
                    北海道新聞 2014.5.31

気づきにくい口腔がん

中高年以降に発症が増える口腔がんは、早期に治療すればほぼ治る。しかし口内炎と勘違いするなど、早期には気づかないことが多い。がんの中では、がん組織を肉眼で見ることができる唯一の種類でもあり、兆候や点検方法を知っておけば早期発見につながる。
 口腔がんは、進行すると口の中が腫れたりし、食べ物をかむ、飲み込む、呼吸する、会話するといったことが困難になる。顔も腫れ、形も崩れていく。早期に発見されにくいのは、ゆっくり腫れたりするので違和感を感じにくいためだ。痛みもないため、自覚症状が少ない。発見は一般的にかなり進行してからが多い。その時点で全身のあちこちに転移していることもある。虫歯の治療で歯科が見つけたケースも少なくないという。
 厚生労働省によると、2012年度のがん全体の発生数36万人のうち口腔がん関連は約7200人で2%程度だが、ここ数年の発生数は伸びている。発症が60代以降に多く、高齢化が進んでいるためだ。男女比は2対1で男性が多い。口腔がんの原因としては、たばこやアルコールが特に危険因子。たばこやお酒の摂取量が多い状態が長年続くと、がんを誘発する確立が高くなる。また、入れ歯や詰め物など、歯やあごの形状と合わないものが入っていると、刺激となってがんの誘発要因となる。

口腔がんの疑いのある兆候

 □2週間以上治らない口内炎がある
 □なかなか治らない傷がある
 □しこりや腫れがある
 □指先でさわると痛みや硬い部分がある
 □歯のぐらつきが続いている
 □口の中から出血がみられる
 □ほおや舌が動かしづらい
 □赤くただれた部分や白くなっている部分がある

医科・歯科 連携を強化…診療報酬で配慮

厚生労働省が、これまで進んでこなかった医科と歯科の医療機関同士の連携強化に乗り出した。

 歯の治療や清掃によって手術患者の感染リスクを抑えられる、などの研究成果が出てきたためだ。厚労省は今年度の診療報酬改定で、入院中や在宅の患者を歯科に紹介するよう医科に促す仕組みを導入、患者が歯の診療を受けやすくなるようにした。

 医科の病院で手術を受ける患者が歯の治療や清掃をしてもらうと、感染のリスクが下がり、入院日数も減るという研究データが出ている。また、かみ合わせの悪い患者に入れ歯の治療を行うと、栄養状態が改善したという研究成果もある。

 そこで診療報酬改定では、医科の病院ががんや心臓病で手術を受ける患者を歯科診療所に紹介すると、医科病院に点数が加算されるようにした。患者には歯科診療所で虫歯や歯周病の治療を受けてもらう。

 また、入れ歯の調子が悪く食べ物をうまくかめない在宅患者に対し、訪問歯科医を紹介した訪問医にも、加算の措置が行われるようにした。訪問歯科医が入れ歯の治療を通じて患者の栄養状態を改善させるほか、歯の清掃で菌を含んだ唾液による肺炎の予防にもつなげられると期待される。

義歯に、通常の歯ブラシや歯磨剤を使ってはいけないのですか?

通常の歯ブラシは、毛が軟らかすぎるため、義歯の清掃には適していません。義歯の物理的清掃には、義歯を清掃しやすいように工夫された義歯用ブラシが便利かつ効果的です。時折、通常の歯磨剤を義歯使用している患者さんがいますが、歯磨剤に含まれる研磨材によって義歯の表面に傷や磨耗が生じることがあるため、避けましょう。義歯の清掃用には、研磨材が添加されていない義歯専用の歯磨剤が開発されていますので、こちらを使用するように勧めてください。また、界面活性剤と潤滑剤などが含有されたブラッシング用の義歯洗浄剤も市販されており、義歯用ブラシと併用すれば、義歯床用レジンを傷つけることなく効率よく汚れを除去することができます。

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