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歯型情報、電子ペンでスピード入力…広島大などシステム開発

 事件や事故、災害の際に遺体の身元確認に使われる「歯型照合」に必要な情報について、電子ペンで迅速にデータ入力できるシステムを広島大や神奈川歯科大が開発し、23日、広島市内で報道陣に公開した。

 従来、災害現場などで紙に記入した歯の情報を清書して鑑定書を作り、歯科医から取り寄せた治療記録とつきあわせるが、鑑定書作成や照合がしやすくなり、身元確認に必要な時間が短縮できるとしている。

 広島大の貞森拓磨助教(救急集中治療医学)らが開発。東日本大震災で多数の身元確認をする際、データ整理に時間を要したと聞いたことがきっかけという。

 上下の歯が描かれた専用用紙に電子ペンで「残存」「穴埋め」「義歯」など歯の状態を記入すると、タブレット型端末にデータが送られ、図や情報が電子データとして保存される。

 遺体の歯の情報と、治療記録をともに電子データ化して照合ができる、東北大開発のソフトと組み合わせた利用も想定している。

 76人が犠牲になった2014年の広島市の土砂災害の際、試験的に運用したところ、1人の鑑定書作成に約1時間かかっていたのが半分に短縮できたという。
 今後、広島県歯科医師会が検視の際に活用する。

脂肪分解、促進たんぱく質…メタボ治療に期待

自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の富永真琴教授(57)らの研究グループは、脂肪を分解して熱を発生させる働きを高めるたんぱく質「TRPV2チャネル」を見つけたと発表した。

 メタボリックシンドロームの治療などへの応用が期待できるという。

 脂肪の燃焼は「褐色脂肪細胞」内で、たんぱく質の一種「UCP1」によって行われるが、研究グループは、これとは別のたんぱく質「TRPV2チャネル」が燃焼効果を高めていることを解明したとしている。

 マウスを使った実験では、「TRPV2チャネル」を持たないマウスはエネルギーの消費が少なく、肥満になりやすかった。

 富永教授は「TRPV2チャネルの働きをコントロールすることで脂肪の燃焼を活性化できれば、メタボリックシンドロームの治療や肥満の改善にもつながる」と話している。

 研究成果は、ヨーロッパ分子生物学会誌「EMBOリポート」3月1日号に掲載される。

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