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高齢者の虚弱 口周りに注意

 ちょっとした滑舌の悪さや食べこぼし、飲み物にむせるといった口周りのトラブルは、高齢者の体が弱っていく最も早いサイン。日本歯科医師会は、そうした不調をまとめて「オーラル・フレイル(口腔機能の低下)」と呼んで、早い段階での対処を、虚弱を予防するための国民運動にしようと提唱している。65歳以上の高齢者1900人余りで口腔や全身の健康状態、食生活、生活の質など224項目を3年にわたって調査。すると「歯の本数」や「食べこぼし、むせ」「かむ力」「食事の量」など多くの項目が、全身の筋肉量や筋力の低下、運動機能の低下などと強く関連していた。どうやって不調に気づき、対応をしたらいいのか。東京都健康長寿医療センター専門副部長で歯科医の平野浩彦さんは「硬い食べ物が食べにくい」「液体でむせる」「口が渇く」の三つの兆候を挙げ、「体の筋肉と同じ。食べる力も意識して使わないと衰える」と自助努力の必要性を指摘。食欲の低下を経て、栄養状態の悪化を生む。
 自分がしっかり食べ物をかめているのか、簡単に分かる方法がある。口の動きを測る簡単なテストもある。「パパパパ・・・」「タタタタ・・・」「カカカカ・・・」。パ、タ、カの3音を短時間でどれだけ細かく発音できるか。医学的にも確立した試験で、唇や舌の機能を示す。特に「カ」は舌の根元を使うため、飲み込む力と密接な関係があるという。
                     北海道新聞 2015.9.29

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