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(大阪)虫歯訴訟 痛み分け

虫歯治療で唇が腫れたとして府内の女性(53)が歯科医(64)に200万円の損害賠償を求めた訴訟があり、高裁(八木良一裁判長)で和解が成立した。歯科医は「治療の仕方を非難されプライドを傷つけられた。裁判だからといって何を言っても許されるわけではない」と反発していたが、女性が謝罪することで見舞金を支払うことになった。

 訴状などによると、女性は2006年5月、自宅近くの歯科医院で治療を受けた後、唇の一部が腫れ上がった。別の病院を受診したところ、歯の治療跡に詰めたプラスチック材へのアレルギー反応が原因の可能性があると指摘された。

 女性は「アレルギーテストをしなかった」として09年5月に提訴。昨年12月の1審・地裁判決はテストの必要性を否定して訴えを退け、女性が控訴した。

 控訴審で八木裁判長は和解を提案。歯科医は、女性がアレルギーテストの必要性とは別に「唇を強く引っ張るなど粗雑な処置を受けた」と主張したことについて、「身に覚えがなく精神的なダメージを受けた」とし、謝罪を和解条件に盛り込むよう求めた。

 女性側は受け入れ、〈1〉歯科医は見舞金の趣旨で25万円を支払う〈2〉女性が医療行為を批判して医師のプライドを傷つけたことを率直に謝罪する--などの条件で5月26日、和解した。

 歯科医は「患者本位で仕事をしており、『粗雑な処置』という女性の主張には納得がいかなかった」と言い、代理人の弁護士も「仕事への誇りにまで目配りした決着」と評価している。

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