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(佐賀)「歯10本以上で認知症予防効果」

75歳以上で身の回りのことを一人でできる人(自立高齢者)のうち、歯が10本以上残っている人の割合は、認知症の場合より2・2倍高いことが、県歯科医師会の調査でわかった。同会では、早めの口腔(こうくう)ケアが認知症予防に効果があるとみて、関係機関と連携して啓発を進めている。

 県歯科医師会は2008年から10年にかけて、県内の75-84歳の計682人(男性278人、女性404人)を対象にアンケートを実施。このうち、自立高齢者は587人で、認知症の人は95人。認知症のため自ら説明できない人には、介護者から聞き取りした。

 その結果、歯が10本以上残っている人は、自立高齢者が49・6%だったのに対し、認知症の人は半分以下の22・1%にとどまった。「硬いものがかめるか」という質問でも、「かめる」と答えたのは、自立高齢者が70%で、認知症の人は40%。自立高齢者の65・4%は入れ歯をしているが、認知症の人は35・8%と低かった。

 同会では、実際にそれぞれの口腔状態を調べたうえで、北九州市にある九州歯科大の柿木保明教授(摂食機能リハビリテーション学)にデータの分析を依頼。柿木教授は「要介護度が進んでいる人ほど、口腔機能が低下していた。認知症の進行とも因果関係があると推測される」との見解を示した。

 結果を踏まえ、歯科医でなくても、口の中の清潔度や病気などを確認できるチェックシートを1500部作成し、県内の保健所や介護施設などに配った。

 中心となって調査を進めた歯科医の服部信一さん(59)は「早期に虫歯や歯周病の治療を行ったり、入れ歯を入れたりして、かむ機能を維持すれば、認知症の予防をしたり進行を遅らせたりできる可能性がある。高齢者に歯の定期健診を受けることや早めのケアを促したい」と話している。
2011年5月22日 提供:読売新聞

北海道における摂食嚥下障害対策に関する現状

介護保険制度は、制度施工後見直しが行われ、高齢者の生活機能の低下を未然に防止し、生活機能を維持・向上させるための介護予防を推進するなど、高齢期もしくは保健福祉サービスのあり方も大きな転換期を迎えている。
 今回の介護保険制度の見直しにおいて、介護予防事業の推進が重視されているが、高齢者の生活機能の低下を予防する上で、「食事」に大きな関わりがあり、摂食嚥下機能の改善等を目指した「口腔機能の向上」が介護予防の新たなサービスとして位置づけることとなった。
 人は食事によって生命活動を維持している。その食物を取り込み、胃に送り込むための一連の流れ(経過)が摂食嚥下である。この食べる機能の障害すなわち摂食嚥下障害は、誤嚥性肺炎や窒息の危険、脱水や低栄養の危険をもたらすばかりでなく、人間の基本的な欲望である「食べる喜び」が奪われ、その人のQOL(Quality Of Life)が著しく低下する。
 高齢者の摂食・嚥下機能の低下は、低栄養の重要なリスク因子であり、ADL(Activites of Daily Living:日常生活動作)や認知機能との関連が指摘されているか、免疫能の低下による気道感染や肺炎等の感染症発症の危険因子となっており、医療、リハビリテーション、介護など、高齢者の住宅・施設でのケアにおいて大きな課題となっている。
 特に、脳卒中等の中途障害後に、摂食嚥下障害が数多く認められており、今後、患者の増加が推測される。
 しかし、摂食嚥下障害に関する医療技術の歴史は新しく、摂食嚥下機能の検査、診断、訓練を行える施設、専門家は少ないことに加え、摂食嚥下障害対策に取り組んでいる機関・施設等についての情報は、集約化されていない状況にある。

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