記事一覧

タミフル耐性ウイルスに感染か―札幌市の10代女性

厚生労働省と札幌市は10月7日、タミフルを服用していない10歳代の新型インフルエンザ女性患者からタミフル耐性ウイルスを検出したと発表した。国内でのタミフル耐性ウイルスの検出は8例目だが、服用をしていない人から検出されたのは初めて。厚労省では、「明らかなデータはないが、ほかの患者からタミフル耐性ウイルスが感染した可能性もある」としている。
 札幌市に住むこの女性は8月22日に38度の熱を出し、市内の医療機関を受診。簡易検査でA型陽性反応が出たためリレンザを投与され、翌日には回復した。
 受診の際に採取したウイルスについて9月下旬に札幌市衛生研究所で遺伝子検査を行ったところ、タミフル耐性を示す遺伝子を検出した。その後、国立感染症研究所で薬剤感受性試験を行った結果、10月6日にタミフル耐性を確認した。
 札幌市によると、家族なども含め、周辺地域でタミフル耐性ウイルスへの感染が疑われるような人は認められなかったという。
      更新:2009/10/08 13:25   キャリアブレイン

患者さんの尊厳を「食べること」から見直そう

ファイル 1266-1.jpg

先日、ある出版社の主催で、料理研究家の辰巳芳子さんとともに、ケアフードの食事会を開きました。「ケアフード」とは「乳幼児や高齢者、咀嚼・嚥下困難な方向けの『食』を人間らしい『食事』として見直そう」という思いをこめた造語です。

  この食事会を企画した発端は、辰巳さんが、胃を切除したばかりのジャーナリストと雑誌の対談の打合せ店を探したこと。どこの飲食店も健常者が中心で、嚥下食に対応してくれる店が見つからない中、辰巳さんの信頼するフレンチレストランのシェフが「流動食のフルコース」を工夫して作ってくれました。
  そのシェフは温かい人柄で、健常者である辰巳さんも同席した編集長も同じメニューでテーブルを囲むよう勧めました。「それが私の想像を超えた、素晴らしいできばえで」と辰巳さん。

  さて、栄養管理の現場では、患者さんの食事は「栄養投与」と呼ばれています。医療ライターとして働いていると、栄養管理の現場、特に手術後や終末医療の医療と食の問題は切実だという相談をよく受けます。
  さらに私自身も、嚥下に問題があっても増粘剤を嫌がる父の介護をしているので、石原シェフの「フランス料理の技法だけで作った美味しい流動食」に強く興味を持ちました。

  そこで、「医療関係者や医療用の食事で苦労した患者さんを招いて流動食のフルコースの食事会を開き、医療現場の食のあり方を検討したい」と、辰巳さんと編集長に相談したところ、お二人とも快諾してくださり、ケアフードの食事会が実現したのです。

  いよいよ当日。
  医療関係者、介護関係者、がん患者さん、マスコミ関係者など30名がフルコースを考案したシェフのレストランに集まり、シェフが厳選した素材で腕を奮った「生きること、食べることに希望が湧く食事」を実際に楽しみました。

  これを召しあがったある歯科の先生は、「昔の野菜の味がする」とおもしろがってくださり、奥様ががんで亡くなる直前まで、ご夫婦で食を大事になさったことを話してくださいました。

  「私の妻も1年あまり嚥下困難を繰り返していましたが、全粥はもちろん、五分粥も嫌がり、しっかりと咀嚼して小量でも普通の食事をとり、体力を消耗しないように努力し続けました。

  今回の流動食は、おいしさや香りなど十分に考慮されて素晴らしいものでした。患者さんはが硬いものが食べられない時でも食べる意欲を失わないよう周りの人たちが工夫して、再び咀嚼する楽しさを思い出してほしいですね。十分な咀嚼こそが、それに続く嚥下につながることを忘れてはなりません」。

コラムニスト 鈴木 百合子

過去ログ