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母乳う蝕を考える

北海道大学大学院歯学研究科 講師 兼平 孝先生(歯科医師)
母乳は、栄養学的、免疫学的に優れた食品であるだけでなく、子どもの精神的安定に効果があることが知られている。そうした背景から、厚生労働省が平成18年に策定して「授乳・離乳の支援ガイド」においても母乳栄養を強く奨めている。しかし、母乳の長期哺乳によって起こる”母乳う蝕”の欠点も指摘されている。牛乳はう蝕誘発飲料でなく、毎日夜寝る前に牛乳を飲むことによってう蝕ができることはないが母乳も同様に考えられる。それは、基本的に乳糖は砂糖(ショ糖)とは異なり、糖の中では低う蝕誘発性であるからで各々の環境因子が重なると母乳もう蝕の原因になることがある。
 そのため、母親に指導(支援)する際には、
①離乳期を過ぎて母乳栄養を続けることの利点、欠点の情報を的確に伝える
②定期的は歯科健康診査を受ける
③フッ化物の歯面塗布などのフッ化物の応用を奨める

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