4月から1人開業をのぞく歯科診療所にパワーハラスメントの相談窓口の設置や、就業規則などの文書へのハラスメント対処方法の記載が義務付けられる。2020年6月に改正・施行された労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法などに基づくもの。
歯科医師で弁護士として活躍する小畑 真 氏(小畑法律事務所)によると、対応していないと厚生労働大臣による助言、指導、勧告を経て、勧告に従わなかった場合は事業所名が公開され、さらにハラスメント被害者から損害賠償請求を受ける可能性があるという。
【日本歯科新聞】
4月から1人開業をのぞく歯科診療所にパワーハラスメントの相談窓口の設置や、就業規則などの文書へのハラスメント対処方法の記載が義務付けられる。2020年6月に改正・施行された労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法などに基づくもの。
歯科医師で弁護士として活躍する小畑 真 氏(小畑法律事務所)によると、対応していないと厚生労働大臣による助言、指導、勧告を経て、勧告に従わなかった場合は事業所名が公開され、さらにハラスメント被害者から損害賠償請求を受ける可能性があるという。
【日本歯科新聞】
日本歯科医師会の新型コロナウイルス感染被害見舞金は、1月末時点で476件、9,520万円を給付している。2月25日の第133回都道府県会長会議で津田勝則 常務理事が報告。24日の理事会では令和4年度も見舞金制度を継続することを決定したと説明した。
同見舞金は、会員診療所の歯科医師やスタッフが感染し、休業を余儀なくされた場合に申請できるもので、1件20万円が給付される。
日本歯科医師会の生涯研修事業で、令和4年度からインターネットなどを利用して配信された講演を、個々の環境下において受講した場合でも単位取得の対象となる。また、歯科医学大会、専門・認定分科会における口頭発表、ポスター発表、紙上発表なども能動的研修と位置付けて、単位が与えられるようになる。同じく都道府県会長会議で尾松素樹 常務理事が報告した。
日本歯科医師会の堀 憲郎 会長は、歯科用貴金属(金銀パラジウム)の安定供給を求める要望書を、14日に後藤茂之 厚生労働大臣宛(佐藤英道 副大臣)、15日に松野博一 内閣官房長官と萩生田光一 経済産業大臣に手渡した。
要望書では、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、金やパラジウムの価格が急騰しており、特にパラジウムは、世界の供給量の4割をロシアが占めることから、臨床歯科医療で日常的に使われている歯科用金属の素材価格が過去最高値になるなど多大な影響が生じている点を指摘。
戦争が長期化した場合、ロシアへの経済制裁、航空運輸の制限などから、供給量が大きく減少した際には、医療現場での歯科用貴金属材料の入手が困難になることも強く懸念されると説明したとのこと。
その上で、国民への安心かつ安定的な歯科医療提供を確保するために国として必要な措置を講じるように要望。要望に対して、3者とも問題の重要性に理解を示し、要望への対応をしていく考えを述べたとしている。
【歯科通信】
日本学校歯科医会(川本 強 会長)は23日、第105回臨時代議員会で高校野球におけるマウスガードの普及や、学校歯科保健活動でのICT活用に向けた調査研究などを含む令和4年度事業計画、同年度収支予算、資金調達及び設備投資の見込みの3議案を可決した。
川本会長はあいさつで、日本歯科医師会の2040年を見据えた歯科ビジョンに触れ、児童虐待の早期発見、フッ化物洗口の全国展開、学校歯科保健教育におけるICT活用、学校現場におけるマウスガードの普及など、日学歯の事業目的と合致するものがいくつかあると言及。「歯科医師会の手伝いができればと思っている」と述べた。
その上で「学校歯科保健教育、歯と口の健康づくり」や「広報活動」「口腔機能発達不全に関する研究」「スポーツ歯学ならびに安全教育の継続」などの事業に取り組んでいく必要性を強調した。特に、学校安全教育調査研究委員会では、高校野球連盟の協力を得て、野球部でのマウスガード教育・装着を実施。「現在、高野連では『マウスガード』着用は『認める』とされているが、研究を通して『推奨する』にレベルアップを目指す」としている。
【歯科通信
低所得者など社会的弱者が歯を失うリスクが高いことは、以前から知られてきた。それら社会経済的な要素を組み込んだ機械学習によって、歯科検診を受けずとも歯を喪失するリスクが高い人を特定するアルゴリズムが、ハーバード大学歯科医学校のグループによって研究されている。
PLOS ONE誌に掲載されたチームの研究論文によると、関節炎・糖尿病などの基礎疾患情報に加えて人種・教育を含む社会経済的因子を考慮したアルゴリズムを構築することで、歯の完全喪失をAUC 88.7%、機能的歯列の欠如をAUC 88.3%、いずれかの歯の欠損をAUC 83.2%で予測できたとする。これは「歯科の臨床指標のみに依存したアルゴリズムよりも優れていること」を示しており、社会経済的因子が歯の喪失に与える影響が強調された形となる。
ハーバード・メディカル・スクールの23日付ニュースリリース内では、この手法により「世界中あらゆる医療現場において、歯科の専門家ではなくてもスクリーニングできるようになるかもしれない」とグループの代表で同大の口腔保健政策・疫学准教授であるHawazin Elani氏は述べている。このスクリーニングツールが機能することで、自力では歯科検診行動につながらない集団に対して、歯科受診へ誘導できることが期待されている。
米国立歯科・頭蓋顔面研究所(NIDCR)によって資金提供された「Human Salivary Proteome Wiki」は、唾液タンパク質についての公開データプラットフォームとして2019年にリリースされた。そこでは、唾液プロテオーム、ゲノム、トランスクリプトーム、およびグライコーム等に関する情報が幅広く集積・公開されている。
25日にJournal of Dental Researchに掲載された研究論文では、ニューヨーク州立大学バッファロー校などのチームによって、唾液ウィキの仔細が解説されている。多数の独立した研究から科学的エビデンスを集めるこのウィキでは、検索および分析ツールを研究者・臨床医に提供することで「唾液の動的で複雑な性質を探求するのに役立つ」としている。
バッファロー大学によるニュースリリースでは、当該プロジェクトを率いるStefan Ruhl教授の言葉として「このデータベースは、口腔および全身疾患の診断・リスク予測・治療のために、唾液プロテオームの可能性を最大化することができるものだ」とのコメントを報じ、唾液タンパク質データベースが個別化医療の強化において果たす役割を強調している。
口腔がんの予後改善には早期診断と早期治療が欠かせない。サウジアラビア有数の国立大学であるJazan Universityの研究チームは、危険因子や症状、臨床病理所見などから口腔がん発症のリスク予測を行う人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルの開発に取り組んでいる。
チームが4日、Journal of Oral Pathology & Medicineに公表した研究論文によると、平均年齢63歳、73名からなるデータセットに基づいてANNの構築を行った成果を明らかにしている。ANNの感度と特異度はそれぞれ85.71%、60.00%を示し、全体の予測精度は78.95%となった。
あくまで予備的研究の域を出ないスモールスタディだが、本研究成果は「口腔がんスクリーニングと診断への機械学習手法の有用性」を示唆するものとして、研究チームは歯科口腔領域における一定の貢献を強調する。歯科診療所など、日常診療でのリスク予測と、同定されたハイリスク者への早期介入を可能とするシステム実現が期待されている。
米オハイオ州クリーブランドに所在するケースウェスタンリザーブ大学などの研究チームは、口腔がんの治療法選択を患者ごとに個別最適化するためのAIシステム開発に取り組んでいる。中心となる研究センター・CCIPDは、特にがん治療分野を中心として60を超える特許を保有するなど、精密医療におけるAI活用の先導的地位を確立している。
研究チームは6日、同大学公式ウェブサイトを通じ、米国立がん研究所(NCI)から5年間で330万ドルの研究助成を受けて、今回のシステム開発を加速させることを明らかにした。チームのテクノロジーは高度なコンピュータビジョンおよび機械学習技術に基づくもので、デジタル化された口腔がんの組織スライドから「がんと免疫細胞、および細胞間の空間パターン」を認識する。ここから、がんの悪性度や手術適応、化学療法および放射線治療の必要性などを識別するAIの開発に結びつけている。
これまでの治療法選択は限られたパラメータに基づく、比較的大枠での分類であったため、手術単独療治療が適応となる群にも、本来は放射線治療を加えるべきサブセットが一定数混じることなどが問題となってきた。口腔がんは米国におけるがん罹患の3%を占め、世界では年間40万人の新規症例が報告されている。チームの新しいAIシステムが潜在的に果たす役割は大きく、治療戦略策定を根本から書き換えるものとなる可能性もある。