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口角炎 なめず拭わず辛い物控えて

Q 8歳に娘は1年ほど前から口の両端が切れるようになりました。薬を塗ると2~3日で治りますが、またすぐに切れてしまいます。あくびや大きな口を開けて食べたときも切れます。原因は何でしょうか?また、何科を受診すればいいのでしょうか?

A 唇の横端の部分である口角に亀裂(ひびわれ)や発赤、びらん、かさぶたが生じている状態を「口角炎」といいます。亀裂があると口を開けるたびに引き裂かれるように痛み、とてもつらいものです。一般に原因としては①カビの仲間であるカンジダの感染②ブドウ球菌、連鎖球菌など細菌の感染③食物などによる接触皮膚炎④アトピー性皮膚炎⑤ビタミン欠乏症⑥鉄欠乏性貧血などの全身性疾患などが考えられます。角層が常時水分を含み、ふやけているとカンジダなどが繁殖しやすくなります。唾液の分泌量が多い人、口を半開きにしている人などは、口角の皮膚が唾液でふやけていることが多く、カンジダや細菌の感染で口角炎を発症しやすいため注意が必要です。逆にアトピー性皮膚炎などで乾燥状態が強いと、ちょっとした力で口角の皮膚に亀裂が生じることもあります。痛いからと、なめて唾液で潤すとかえって乾燥状態が強くなり、亀裂や発赤が悪化しかねません。どのような原因でも、患部をなめない、拭いすぎない、室内を乾燥させすぎないことが重要です。辛い物が控えましょう。歯みがき粉も刺激となるので、口角についた歯みがき粉は水で落としてあげましょう。
            2011.9.14 北海道新聞

入院した日から口腔ケアを行なえていますか?

C病院のある町は、町民のほとんどが高齢者であるうえに老老介護の世帯が非
常に多く見られます。たとえばご主人が入院すると、その準備は奥さまがしなけ
ればなりません。ですが、奥さまも自分のことで精一杯。入院の際に必要なケア
用品がそろわず、看護師さんは頭を悩ませていました。とくに口腔ケア用品は、
準備されないことが大半だったそうです。

 そこでC病院では、パジャマ・タオル・洗面器・コップなどをそろえた「アメ
ニティセット」を考案。患者さんが入院時にケア用品を準備しやすいシステムを
導入しました。もちろんその中には、入院した日からしっかり口腔ケアに取り組
めるよう、粘膜ブラシ(柄付くるリーナ)が入っています。

 それまで、口腔ケアを開始できるのは入院して3、4日経ってから。その時点
で口腔内はかなり汚染されてしまっていました。しかし、アメニティセット導入
後は、入院当日から唾液を分泌させる口腔ケアができるように。
 さらに! 口腔内の汚染が軽減されることで、患者さんの二次感染のリスクも
減少。ケア面の清掃保持だけでなく、キュア面の二次感染予防においても大きな
成果が出ているのです。

 看護師さんのひとりは言います。
「“口腔ケアをしたいのにできない”という精神的なイラ立ちがなくなり、口腔
ケアへの意欲がますます高まっています」

 皆さんの病院でももう一度、ケア用品を見直してみてはいかがでしょうか?
入院した日から口腔ケアを提供できることで、口腔の汚染からくる“誤嚥性肺炎
の予防”や“口の廃用予防”につながります。

口臭② 即効法なし 地道にケアを

 口臭に対処するには、一番多い原因である口腔乾燥症へのケアが大切ですが、原因は複雑で、有効な対処法はすぐには見つかりません。そのため、短時間で除臭効果の出やすい対処療法的な処置が中心になります。基本的には、口腔粘膜の保湿(人工唾液やジェルの塗布、口呼吸の対処など)、唾液分泌の改善(食生活の指導、舌の体操、ガムをかむなど)を指導します。次に、通常のブラッシング方法に加え、口臭の原因である舌苔を取り除くことを中心に、正しい口腔粘膜ケアの方法を学んでもらいます。また、必要に応じて、歯石の除去や虫歯、歯周病を治療し、比較的長時間にわたり除臭効果が期待できるスプレーや洗口剤を勧めます。頻度としては少ないのですが、口の中に何の問題もなく、何らかの全身的な要因で息が臭うと考えられる場合は内科などの受診を勧め、必要な治療を受けてもらうこともあります。
           2011.9.14 北海道新聞

歯科選びのポイント 「技術」「評判」「立地」

「歯の衛生週間」の6月、全国の10~70代の男女1000人を対象に意識調査を実施。それによると、かかりつけの歯科医院がある男性は65.9%、女性は73.3%。年齢があがるほど「ある」人が増え、60歳以上では86.1%だった。選ぶポイントではベスト3のほか「歯科医師の人柄」「治療費」「清潔感」が上位に。また、昨今の歯科医院の増加については「新しい技術や設備を持った歯科医院が増えるのは歓迎」が46.8%、「近くで評判の良い歯科医院を選ぶのでありがたい」が42.0%と、肯定的な意見が目立った。
                産経新聞 2011.7.29

電動歯ブラシ 歯と歯ぐきを痛める使い方

簡単に歯の汚れが取れると評判の電動歯ブラシ。最近は中高年にも愛用者が増えているが、中には使い方が悪く、かえって歯と歯茎を痛めるケースも少なくないという。42歳のHさんは、今年春に妻からプレゼントされたのを機に、電動歯ブラシのとりこになった。朝夜2回、より効果が上がるよう、1回10分ほどかけて研磨剤入り歯磨き粉を使って磨いていた。ところが、最近になって冷たい水が歯に染みるようになり、歯科医を訪れたところ「知覚過敏」と診断された。中高年になると歯茎がやせ、若い頃はエナメル質に覆われていた歯の根元の象牙質がむきだしになった状態になります。このエナメル質と象牙質の境目(歯頚部)に、歯ぎしりの圧力や誤ったブラッシングにより、歯に楔状の傷ができることを楔状欠損というのです。その結果、冷水などが染みる知覚過敏になってしまったのです。実は、新しい患者さんのなかには、Hさんのように電動歯ブラシによる歯の磨き過ぎと思われる”知覚過敏”の人が、年に数人いるという。
                日刊ゲンダイ 2011.7.21

部分入れ歯製作に新技法

新たな技法は、フランスで開発された「ピエゾグラフィー」と言われる総入れ歯製作・加工技法を応用したもの。部分入れ歯のかたどりをする際に患者に「た・ち・つ・て・と」「さ・し・す・せ・そ」と、入れ歯の維持、安定のため、最も効果的な発音をしてもらう。さらに唾を飲みこむ動作をしてもらうことで、入れ歯が、邪魔せずに唇、頬、舌のバランスが調和した状態になるよう型を調整。機能性と安定性、快適性を兼ね備えた部分入れ歯を製作する技術を昨年、確立した。
                東奥日報 2011.7.20

口の「健美力」を高めよう

「3ゼロ6ゼロ12ゼロ」とは何か。歯は唾液中のカルシウムが付着する石灰化によって、生えて3年経つと硬くなるが、それまでが虫歯になりやすい。生涯にわたって噛める歯を保つには、すべての歯が永久歯に生え替わり、生活習慣が固まる12歳の時点がポイント。ここで虫歯がゼロならば、それ以前の乳歯の段階で虫歯になっていたとしても、あとは順調にいく。年齢に応じた留意点を説明するためにキーワードを作った。3ゼロは3歳までは虫歯なし。6ゼロは、6歳ごろに生えることから「6歳臼歯」と呼ばれる上下4本の永久歯を生えて3年間は虫歯にしないで、という意味。6歳臼歯は下顎をきちっと支え、噛み合わせや顔の骨格を形作る時に重要な歯だから、親には特に注意してほしい。そうして、12歳の時点で虫歯ゼロにしようというのが12ゼロゼロだ。12歳ともなれば口の管理はもう自己責任だが、6歳臼歯のさらに奥に第2大臼歯が生える時期でもある。ここは歯ブラシが当てづらく、虫歯になりやすい。健美力とは全身にわたる噛む効用をすべて話しても、聞く側には伝わらず、結局「なんとなく歯は大事なんだ」という程度の理解で終わりがち。そこで、最小限押さえるべきポイントを3つ感じで表現した。
                西日本新聞 2011.7.15

歯と口の健康フォーラム さらば!メタボよ、虫歯・歯周病よ!

7月16日(土)、札幌共済ホールにおいて「歯と口の健康フォーラム」が開催され、約500名の参加がありました。
お口の健康とメタボの間には意外な共通点があります。「つい目先の欲求に負けてしまいがち」ということ。ダイエットの最大の敵は何かというと、「小腹が減った」「もったいないからつい食べちゃう」です。ついつい詰め込んでしまった「ほぼどうでもいいもの」は脂肪となってお腹の中にたまり、血管をボロボロにする物質をせっせと作っては垂れ流しています。そのうえ歯周病になると、この物質が歯の周りでも作られ、血糖値を上げて糖尿病をどんどん進行させてしまいます。歯周病菌は全身の血管をめぐり、心筋梗塞を引き起こす可能性すらある。つまり、歯周病が進むと糖尿病が進みやすく、逆も同様という関係があり、そこに肥満がからんでくることにより、心臓が思いもかけないところから攻撃を受けて危険な事態になってしまうことを覚えておいてください。ついつい食べてしまい、糖尿病性の腎臓病になった人が北海道ではすごい勢いで増えています。14,241人の人工透析に、年間783億円のお金が使われている。そうならないためには、メタボも歯も「予防が大事」ですね。

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