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糖尿病と歯周病の重症化防ごう 医師、歯科医の連携始まる

相互に悪影響を及ぼす糖尿病と歯周病を早期に発見するとともに重症化を防ごうと、山梨県内の医師と歯科医師が連携を始めた。県医師会と県歯科医師会は糖尿病や歯周病が疑われる患者に早期受診を促す専用の紹介状を作成、運用を開始した。有病率が高く「国民病」とも呼ばれる糖尿病と歯周病。専門医は「医科歯科連携によって病気の早期発見を促すとともに、市民の意識高揚も図りたい」と話す。

 吉田歯科医院(甲州市)の吉田英二院長は、患者の急激な歯周病の悪化に思わず手が止まった。前回の診療から半年あまり。だが、口内の炎症がひどく、歯周病の進行状況を4段階で測定する歯の「動揺度」も明らかに上がっていた。糖尿病に罹患している患者。吉田院長は診療が終わった後、「歯周病と糖尿病の病状の進行には深い関係があります。もしかすると糖尿病が悪化しているかもしれません」と告げた。

◎高い必要度

 糖尿病と歯周病の関係に詳しい塩山市民病院の多和田真人院長によると、糖尿病で高血糖状態が続くと、体内の抵抗力が低下して歯周病などの感染症にかかりやすくなる。一方、一部の歯周病菌は血糖値をコントロールするホルモン「インスリン」の働きを妨げ、糖尿病を引き起こす可能性がある。

 歯周病は糖尿病だけではなく、動脈硬化や誤嚥性肺炎、アルツハイマー型認知症などさまざまな疾患との関係が指摘されている。多和田院長は「糖尿病は歯周病の重症化を招き、歯周病は糖尿病を悪化させる。特に国民の有病率が高い糖尿病については、医科歯科連携の必要度が高い」と話す。

 厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる成人男女の割合は2016年時点で12・1%。全国では約1千万人と推計され、年々増加する傾向にある。また、歯周病は高年齢化するほど有病率が高くなり、厚労省の歯科疾患実態調査に基づいて「60代以上では6割に達する」との見方もある。

 県医師会と県歯科医師会などが作成・運用を始めた紹介状は、医科から歯科宛てと歯科から医科宛ての2種類を用意。このうち医科宛て紹介状では「糖尿病の疑いを医師から指摘されたことがある」「2親等以内に糖尿病患者がいる」など歯周病患者の情報を報告。診断を行った医師は、血糖値や血糖状態を示すヘモグロビンA1cなど検査の結果を歯科医師に提供して歯周病の治療計画などに役立ててもらう。

◎HPで公開

 医科歯科連携を機に、糖尿病の簡易検査機を導入した歯科医も。県歯科医師会の副会長を務める吉田院長は「これまでは糖尿病が疑われても、専門外であるために患者に受診を勧めづらかったが、紹介状の運用で早期受診につなげられる」と話す。

 医科歯科連携ではこのほか、11月5日に県と医師会、歯科医師会が医師と歯科医師を対象に研修会を開催。また、県は今月31日まで連携に協力する医師と歯科医師を募集していて、11月以降に協力医として県ホームページで公開する。

口内細菌、腸で増えると潰瘍誘発 治療薬開発に期待

口の中にすむ細菌が腸の中で増えると、腸に慢性の炎症が出るクローン病や潰瘍(かいよう)性大腸炎といった難病を引き起こしたり悪化させたりする可能性があると、慶応大や早稲田大などの研究チームが動物実験で確かめ、20日付の米科学誌サイエンスに発表した。治療薬の開発に役立つ可能性があるという。

 クローン病などは原因がはっきりせず根治療法がない。研究チームは、患者の唾液(だえき)を、体内に細菌がいないマウスや遺伝的に腸内に炎症が起きやすいマウスに口から投与し、腸などを分析した。マウスの腸内では「クレブシエラ属」と呼ばれる細菌が増殖して免疫細胞の一種を過剰に刺激し、炎症を起こしているとわかった。健康なマウスでは炎症は起きなかった。

フッ化物洗口、実施呼び掛け 熊本市で歯科医師ら

第39回むし歯予防全国大会が21日、熊本市西区のくまもと森都心プラザであった。歯科医らが、フッ化物を使ったうがいなどでの虫歯予防を呼び掛けた。

 県歯科医師会、NPO法人「日本フッ化物むし歯予防協会」など主催で約400人が参加。熊本地震のため、昨年の開催予定を延期していた。

 新潟県職員として歯科保健に携わった石上和男・新潟医療福祉大教授が基調講演。フッ化物洗口が同県内の小学校の8割以上、中学校の4割以上で実施され、2016年までの17年連続で12歳児の平均虫歯数が全国最少だった実績を紹介した。

 石上教授は「歯が生えてから数年間予防に取り組むと、効果が長く続く。学校や歯科医らが情報を共有しながら、継続して取り組むことが大事」と強調。同県は08年に条例を制定して、成人期の歯周病予防にも力を入れていると説明した。

 シンポジウムで熊本県や玉東町の担当者らが虫歯予防の取り組みを発表。大会会長の浦田健二・県歯科医師会長は「県内全域でフッ化物洗口に取り組もう」と呼び掛けた。

ちょっと気になる!≪ガミースマイル≫

ガミースマイルって聞いたことありますか?
笑った時に歯ぐきが広範囲で見えてしまう口元のことです。

<原因>
○骨格の問題:上あごが大きい、下あごが小さいなど
 ・遺伝、幼少期の食生活、口呼吸、下あごに肘をつくなどの悪習慣等
○筋肉の問題:上唇を引き上げる筋肉(上唇挙筋)が強すぎる
 ・上唇挙筋の筋力が強いと唇が歯ぐきの上まで上がる
 ・筋肉の強い緊張の為、笑った時に上唇が薄くなる特徴がある
○歯の問題:面積が小さい、前歯が出ているなど
 ・面積が小さいのは歯が短い、生えている場所が低い
 ・歯が前に出るのは指しゃぶりや舌で前歯を押す等の癖等
など、他にもいろいろとあります。

<治療法>
○歯の矯正…ワイヤー矯正など
○ボトックス注射…上唇挙筋が強い方向き
○歯茎整形…歯茎部、粘膜、筋肉切除法、骨切り法など
○トレーニング…重度でなければ目立たなくなる可能性有り

ガミースマイルがコンプレックスとなって思いきり笑うことを
躊躇う方もいらっしゃるかもしれません。
気になる方は歯科医師に相談してみるといいかもしれませんね。

▼ガミースマイルを治すための8つの方法
 https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/g0sxt8u0as0bmp8dm9bVC

咀嚼の話≪脳の活性化≫

咀嚼による8つの効果「ひみこの歯がいーぜ」の続きです。
「ひ」は肥満予防、「み」は味覚の発達、「こ」は言葉の発音が良くなる。
今回は「の」について。脳の活性化のお話です。

噛む運動は脳細胞の活性化を引き起こし、子どもの脳の発達や
認知症予防などにも効果が期待できます。
硬い食べ物を噛むことは、子どもの知能指数や短期記憶能力に
非常に関係が深いことが分かっています。

高齢動物研究では、硬い食べ物を噛むことは
柔らかいものを噛むのに比べて、
加齢による学習効果の低下を遅延させ、
老化を抑制することに関係があると考えられます。
脳梗塞モデル動物研究では、硬い食べ物を噛むことにより
学習・記憶障害をほぼ回復させることが確認されています。

高齢並びにアルツハイマーモデル動物研究では、
逆に、柔らかい食べ物を噛むことは、硬い食べ物を噛むのに比べて
記憶や記憶保持能力が低下する傾向にあることも確認されています。

成熟動物研究では、硬い食べ物を噛むことにより
記憶力が10分後には330倍に到達し、100倍のレベルが2時間強
持続することが確認されています。
食事後に最も記憶力が向上し、食事後5時間で低下したことから、
記憶力の向上が噛むことによるものであり、
2時間の持続性から「噛むこと」と「記憶力」が関係づけられます。
つまり、朝昼夜の食事時間は脳の活性化を継続するため、
理にかなった食事の間隔時間といえます。

噛むことを意識した食事と食べ方で、脳の働きや記憶力に関係が深いと思うと
日々の食事もおろそかにできませんね。

▼参考文献:日本補綴歯科学会「咬合・咀嚼が創る健康長寿」
https://k.d.combzmail.jp/t/sw0d/g0sxs8u0as0bmp8dm9WMz
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健康寿命実現へ虫歯予防考える 熊本で全国大会

フッ化物洗口による虫歯予防などについて考える「第39回むし歯予防全国大会in KUMAMOTO」が21日、熊本市西区のくまもと森都心プラザで開かれた。市民ら約400人が出席し、健康寿命の実現へ向けた虫歯予防の重要性を確認した。

 基調講演した新潟医療福祉大の石上和男教授は、フッ化物洗口を実施した新潟県の小中学校で虫歯がない子どもが増えた事例を紹介。フッ化物の応用により虫歯予防を推進する新潟県歯科保健推進条例案を県議会に提出したことなどに触れながら、「虫歯を予防しようとする働きを地域で協力して進めることが大切」と強調した。

 シンポジウムでは、県歯科医師会の渡辺賢治副会長や熊本市の小学校の養護教諭らがパネリストとして登壇。「歯のチェックシート」を使って親子で歯の健康づくりに取り組んでいることなどを報告した。

口の細菌、腸難病の原因か 予防や治療に期待

普段、口の中にいる細菌が腸の中で増えると、腸に慢性の炎症が起きる潰瘍性大腸炎やクローン病といった難病の原因となる可能性があると、慶応大などのチームが20日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 チームの本田賢也(ほんだ・けんや)・慶応大教授は「口の中を清潔にすれば、腸の難病の治療や予防につながるかもしれない」と話している。

 腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍が起き、腹痛や下痢の症状が出る潰瘍性大腸炎やクローン病は、原因不明で完全に治療する薬は今のところない。

 チームは、クローン病患者の唾液を、無菌状態で育てたマウスの口に入れると、腸内で炎症を引き起こす免疫の細胞が増える例があることを発見した。マウスのふんの細菌を詳しく調べると、普通は口の中にいて腸にはいない「肺炎桿菌(かんきん)」という細菌が腸で増えたのが原因だと分かった。

 通常のマウスでも、抗生物質で腸の細菌を弱らせた後に肺炎桿菌を入れると増えやすいことが判明した。

 肺炎桿菌は健康な人の口にもおり、高齢者や免疫の働きが落ちている人では肺炎の原因となる。炎症を起こしやすい体質の人では、腸で増えると難病の発症につながる恐れがあるという。

歯科衛生士の役割考える 甲府でシンポ

山梨県歯科衛生専門学校(七沢久子校長)は19日、甲府・県立図書館で建学50周年特別記念シンポジウム「これからの歯科衛生士」を開いた。

 総合病院や摂食嚥下(えんげ)外来などに勤める同校の卒業生4人が、それぞれの立場で求められる歯科衛生士の役割を紹介。医療や福祉の現場にかかわる多職種との連携や高度な医療に対応した知識の向上が求められていることなどを説明した。

 歯科衛生士で介護支援専門員として高齢者施設で働く増田裕美さんは、施設への歯科衛生士の配置が義務化されていない現状について「誤嚥(ごえん)性肺炎を起こさないようにケアするなど、最後まで食べることを支えられるのは歯科衛生士。人員配置されるようになってほしい」と話した。

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