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「蘇生望まず」7割搬送 全国の消防 岡山大チーム調査 希望と隔たり、訴訟懸念も 救急の環境整備必要

人生の最終段階にあり、人工呼吸や胸骨圧迫(心臓マッサージ)といった心肺蘇生(そせい)を望まない意思を示していた人の約7割が、自宅などで心肺停止となった後に心肺蘇生を受けながら病院に搬送されていたことが、岡山大の研究チームによる全国調査で分かった。「穏やかに最期を迎えたい」という患者本人の希望と、蘇生を職務として全うする救急現場の対応に隔たりが生じている実態が浮き彫りとなった。

 心肺蘇生は救命に有効な措置である半面、体力の落ちた高齢者には肋骨(ろっこつ)骨折を伴うなど身体への負担が大きく、終末期の医療やケアを事前に家族、医師らと話し合う「人生会議(ACP)」の場でも措置を望まないケースが一定数あるという。

 他方、蘇生中止は自治体や消防、救急医療の関係機関でつくる地域のメディカルコントロール(MC)協議会が策定した「手順」に基づき、各消防本部の救急隊が判断し、患者のかかりつけ医から直接の指示があるなどすれば措置を取りやめている。研究チームは今回、患者が望む選択肢としての蘇生中止の在り方を探ろうと状況を調べた。

 調査は2025年10、11月にオンラインで実施。24年1年間の手順策定や運用実態について、全国297のMC協と791の消防本部全てを対象に尋ね、175MC協(58・9%)と561本部(70・9%)から回答を得た。

 手順を策定しているMC協は全体の41・1%、実際に運用していた消防本部は47・2%にとどまった。蘇生を望まない意思を示していた患者のうち、71・1%が措置を受けながら病院に搬送されていた。手順を運用していない消防本部ほどその割合が高かった。

 さらには、手順があるにもかかわらず、蘇生中止の対象となる患者を搬送した消防本部の51・7%が、手順を一度も適用していなかった。研究チームは措置を中止した場合、訴訟や法的責任を問われるのではないかという救急隊側の懸念も背景にあるとみている。

 調査を取りまとめた岡山大の田辺綾客員研究員(救命救急)は「本人の意思を尊重するには、手順を作るだけでなく、現場で実際に使える環境を整える必要がある」と指摘。「市民へのACPの普及や、かかりつけ医と救急隊との連携を進めるとともに、救急隊が安心して判断できる法的な枠組みも必要だ」と話している。

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