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24時間訪問ケアを考える 認知症

 24時間対応の定期巡回サービスを手掛ける「やさしい手」のヘルパー・石森淳子さんは、夜、訪れた利用者の部屋の前で足を止めた。一瞬、息を殺し、わずかに部屋のドアを開け、中をのぞき込む。
 その直後、石森さんは扉を閉め、廊下に戻ってしまった。
 「利用者さんが起き上がって部屋を歩いている。このタイミングで入ると、怒られますよ」
 利用者は認知症患者だった。その後、石森さんは廊下で息を殺し、ドアのガラス越しに部屋の様子を観察。数分後、もう一度わずかにドアを開け、利用者の様子が落ち着いたことを確認して部屋に入り、紙おむつの交換や薬の服用の介助など、一連のケアをごく順調に済ませることができた。
 帰り際、利用者から「ありがとう」と声を掛けられた石森さんは、安堵したように大きく息をついた。
 「きょうは本当に順調でした。ちょっとしたことで機嫌が悪くなることもあるから」
 ちょっとしたこととは、例えば、少し介護の手順を間違えるなど、ごくささいなことだという。しかし、そのささいなことがもたらす結果は、相当に重い。
 家中に響くような大声で暴言を投げ付けられたことがあった。
 不審者扱いされ、追い出されそうになったこともあった。
 「投げ飛ばしてやろうか」と言われたこともあったという。

 さらに困るのは、BPSD(認知症の周辺症状)が始まってしまえば、簡単には治まらないことだ。
 「どうしようもない時は、いったん退散し、後で出直すしかありません。それでも、わたしの場合はまだいい。慣れていないヘルパーが来たりすると、それだけで暴言や暴力を誘発する場合があるからです」
 認知症患者に対する訪問介護は、ベテランのヘルパーにとってすら、厳しい業務だと言ってよい。

口腔ケア 介護領域で重要性見直し

口腔ケアとはただ口の中をきれいにする(磨く)だけではなく、虫歯や歯石の除去、不適合になった入れ歯の修理、清掃、高齢に伴う唾液の減少への対応、嚥下や咀嚼機能の改善などさまざまな内容が含まれています。また、口腔ケアを行うことにより誤嚥性肺炎を防ぐことができます。以前は、あまり口腔ケアは重要視されていませんでした。なぜなら口の中が磨かれていなくても命には別条ないと考えられていたからです。しかし、高齢化社会となり介護領域が注目されるようになった近年、口腔ケアの重要性が見直されてきました。その代表例が「誤嚥性肺炎」です。
 老人性肺炎を起こした人の多くは、寝ている間に通常食道へ流れていく唾液が何かのはずみで肺に流れてしまったときに起こるものです。口の中には多くの口腔内細菌があり、これらが呼吸器の奥深くまで入り、かつ抵抗力が低下している場合には肺炎による生命の危険が非常に高まります。肺炎を繰り返す場合には、口腔内が不衛生であることが考えられます。口腔ケアを行うことにより、誤嚥性肺炎に関連する発熱と、肺炎および死亡者数が減少するということが近年報告されていることから、ますます高い的確な口腔衛生の管理が求められることでしょう。
                   福島民友 2010.11.19

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