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口腔機能向上推進研修会開催要領

1.目的
 平成18年度の介護保険制度の見直しにおいて、口腔機能向上サービスが予防給付として導入されたが、通所介護事業所等においては、専門職の確保が困難等の理由により、サービスが十分に普及していない。
 このため、介護保険事業所職員を対象に研修会を開催し、口腔機能向上の重要性について啓発を行い、介護保険事業所における口腔機能向上サービスの普及定着を図ることを目的とする。
2.実施主体
 北海道上川総合振興局保健環境部保健福祉室
3.開催日時
 平成22年11月8日(月)13:45~17:00(受付13:15~)
4.開催場所
 上川合同庁舎3階 講堂(旭川市永山6条19丁目)
5.対象者
 ・通所介護事業所、通所リハビリテーション事業所、地域包括支援センター、老人保健施設、特別養護老人ホーム及び介護療養型医療施設の職員及び施設管理者等
 ・施設における協力歯科医及び口腔機能向上支援歯科衛生士等

侵襲的な歯科治療後は短期的な心血管リスクが上昇

歯周病に対する治療を受けると長期的な心血管リスクが低下すると考えられている。しかし、英London大学衛生熱帯医学大学院のCaroline Minassian氏らが、医療記録を分析し、患者自身をコントロールとするケースシリーズ研究を実施した結果、侵襲的な歯科治療から4週間の虚血性脳卒中または心筋梗塞のリスクは、歯科治療を受けていない期間に比べ1.5倍に上昇することが明らかになった。論文は、Ann Intern Med誌2010年10月19日号に掲載された。

 歯周病を放置すると様々な健康被害が生じる危険性があるとして、患者には治療が勧められている。しかし近年、歯科の治療が急性の炎症や血管内皮の機能不全と関係することを示唆する研究結果が報告されるようになった。ただし、侵襲的な歯科治療が引き起こす急性の炎症が短期的な血管イベントリスクの上昇をもたらすかどうかは明らかではなかった。

 そこで著者らは、メディケイドの医療費請求情報を登録したデータベースを利用して、侵襲的な歯科治療後に一過性の血管イベントリスク上昇が見られるかどうかを調べることにした。

 侵襲的な歯科治療の定義は、菌血症を引き起こす可能性があり、炎症反応を誘導するような治療とした。具体的には、歯周病の治療その他を目的とする歯科手術などを指す。

 02~06年にデータベースに登録されていた990万1464人のうち、虚血性脳卒中または心筋梗塞で入院していた20歳以上の患者2万369人(年齢の中央値は67.3歳、観察期間の平均は3.4年)を選出。その中から1回以上侵襲的な歯科治療を受けていた患者1152人(虚血性脳卒中で入院した650人と心筋梗塞で入院した525人。23人はこれらイベントの両方を経験していた)を選んで分析した。

 個々の患者について、歯科治療を受けてから24週間を危険期間とし、その間の虚血性脳卒中と心筋梗塞の罹患率を、それ以外のすべての観察期間と比較した。

 血管イベントの発生率は、歯科治療から4週間は有意に高かった。治療後1~4週のイベント発生は40例で、年齢調整した罹患率は1.50(95%信頼区間1.09-2.06)となった。5~8週の罹患率は1.11(0.77-1.61)で、この期間以降のリスク上昇は有意ではなくなり、罹患率は徐々に低下して6カ月以内に元のレベルに戻った。

 この関係は、歯科治療前1年間に糖尿病、高血圧、冠疾患のいずれかと診断された患者をそれぞれ除いて分析した場合や、歯科治療前に抗血小板薬やアスピリンを使用していた患者(歯科手術前にはそれらの使用を中止することが多い)を除いて分析した場合などにおいても認められた。

 侵襲的な歯科治療後、血管イベントリスクは一過性に上昇していた。しかし著者らは、絶対リスクは小さいため、歯科治療が血管系に及ぼす長期的な利益は短期的なリスクに優るとの考えを示している。原題は「Invasive Dental Treatment and Risk for Vascular Events A Self-Controlled Case Series」、概要は、Ann Intern Med誌のWebサイトで閲覧できる。

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