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激動の世界を見据えたあるべき財政運営』(令和 7 年 5 月) に対する日本歯科医師会の見解

医療費増大と国民皆保険の持続可能性について
医療費については、高齢化による増加に加え、医療技術の発展に伴う新規技術や新規材料
等による増加も影響を与える。医療の高度化に伴う必要な機器等の費用手当が十分ではない
と、旧態依然の医療を強いられることとなる。
昨今の経済・物価動向等を踏まえると、医療を提供する上で、人件費が増加していること、
医療機器や材料等の価格が高騰していること等から、効率化を含めた必要な制度改革は患者、
国民や医療関係者が納得感を得られるよう社会情勢を加味して進めるべきと考えるが、安定
的に医療提供体制が維持できるための必要な手当は喫緊に行うべきである。
また、「医療費の伸びのうち、人口増減/高齢化による部分は半分強であり、予算による
統制の外で行われる新規医薬品の保険収載など人口要因以外の部分も大きなシェアを占めて
いる。政策的にはこの「人口要因以外」の部分における重点化・適正化努力を強化すること
で、保険料負担を含め国民負担の増加を抑制していく必要。」との記載があるが、単純に人
口要因以外の部分における重点化・適正化努力を強化することは、新たな医療の保険収載を
遅らせ、日本の医療の進歩に大きな悪影響を及ぼす可能性もある。新規医薬品など新たな医
療の保険収載については、中医協各種部会において診療報酬上の評価について議論が行われ
ており、政府としては近年の税収増をしっかりと社会保障の充実に充て、適切に支援を行う
ことが望ましいと考える。