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高齢者の無歯顎症と全身的健康問題

2009年9月4日 singaporeのFDI総会で承認された。

 無歯顎症(完全に歯を喪失)は過去何十年の間に現象してきたが、世界中の高齢化社会では、依然として一定の割合の無歯顎患者が存在する。
 無歯顎症は生命を脅かす病気ではないが、機能的制約や社会的制約、また公共資源の活用という点で、個人や地域社会に重大な影響を及ぼしている。
 無歯顎症が日々の口腔機能や社会生活に及ぼす影響はよく知られている。しかしながら、全身的健康と完全な歯の喪失を明確に関連付ける証拠(エビデンス)は限定的である。

★声明

 ○人口の高齢化の結果として、無歯顎症はすべての国で個人に影響を及ぼしていくと予想されている。
 ○義歯の使用により、無歯顎患者の日々の口腔機能と全般的な幸福(weII being)に好ましい影響を及ぼすことができる。
 ○義歯を装着する無歯顎患者は、歯を持つ人々と比較して、頻繁に食事の好みを変え、食事の選択肢を制限し、その結果として、栄養摂取量も不適切になっているであろう。
 ○すべての歯を喪失すると口腔内の知覚作用も変化する結果を生ずるが、これは義歯を装着することにより部分的に補正することができる。
 ○インプラント支持オーバーデンチャーが適応される患者では、社会心理、構造、機能の各側面から見て大きなメリットがある。
 ○すべての歯を喪失することは受け入れがたいことであるので、歯科医師が抜歯に先立って、慎重に心理的な準備を行うことが推奨される。
 ○無歯顎症と健康状態の悪化は同時に発生することが多い。この関連の理由づけは示されてきていない。
 ○比較的長期間にわたるコホート研究(交絡因子を明らかにするために十分な対照を用いた研究)を基にしたより一層の研究が、全身の健康に及ぼす無歯顎症の影響に関して行われることが推奨される。

急増するインフルエンザ脳症、8割以上が新型で発病―国立感染症研究所

 2009年第28週―10年第3週(7月6日-1月24日)に報告されたインフルエンザ脳症の患者数のうち、8割以上が新型インフルエンザウイルスによって発病していたことが国立感染症研究所感染症情報センターの調べで分かった。安井良則主任研究官は、同センターで2月8日に開かれた勉強会で「発症数そのものも、インフルエンザ脳症のサーベイランスが始まって以来、飛び抜けて多い」とし、改めて注意を呼び掛けた。
■発症の中心年齢層は、5―9歳
 同センターによると、インフルエンザ脳症患者の報告数は04年以降、1シーズン当たり30―50例前後で推移していた。ところが今シーズンは、流行が終息していないにもかかわらず患者数は285例を記録。このうち新型インフルエンザウイルスによる脳症は240例(84%)に達した。そのほかA型で38例、B型で1例、型別不明で6例が確認された。なお年齢層は5―9歳が中心で、特に7歳が39例(13.7%)で最も多かった。新型インフルエンザが、従来の季節性インフルエンザより多くの脳症を引き起こしている理由について、安井主任研究官は「発症の中心年齢が、既存の季節性インフルエンザよりも高いことも含め、はっきりとした理由は分からない」としている。

■120例の臨床像を報告
 また、安井主任研究官は、同センターが実施したインフルエンザ脳症例の調査結果も紹介した。対象は、昨年7月6日から今年1月22日までに報告された症例のうち、新型インフルエンザウイルスによる脳症と確認された120例(男性74例、女性46例)。調査結果によると、年齢分布は1-70歳で、中央値は7歳。57例で熱性けいれん(24例)、気管支喘息(16例)などの基礎疾患や既往歴が認められた。そのほか、120例すべてで意識障害が確認されており、発熱から意識障害出現までの期間は当日が29例、1日が66例、2日が14例、3日が4例、4日が2例。6―8日も各1例あった(中央値は1日)。異常行動や異常言動は81例、けいれんは66例で見られた。
 また、95例で脳波検査が実施されており、66例で高振幅徐波などの所見を確認。頭部CT検査もしくは頭部MRI検査が実施された118例のうち、62例でなんらかの所見を認めた。とくにCT検査では脳浮腫が見つかった例が多かったという。治療では、120例のうち118例で抗ウイルス薬が投与されていたほか、ステロイドパルス療法(97例)、yグロブリン療法(49例)、脳低体温療法(12例)などが行われていた。人工呼吸器は32例で使用された。
 転帰については、回答が得られた118例のうち、死亡が8例、後遺症ありが14例、治癒・軽快が96例となった。後遺症については13例で精神神経障害が認められたほか、8例で身体障害との合併も確認された。

更新:2010/02/09 14:50   キャリアブレイン

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