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コーヒーや緑茶、1日数杯で長寿効果 19年間追跡調査

コーヒーや緑茶を日常的によく飲んでいる人は、そうでない人に比べて病気などで死亡するリスクが低いとする調査結果を、国立がん研究センターなどの研究チームがまとめた。コーヒーに含まれるポリフェノール、緑茶に含まれるカテキンが血圧を下げ、両方に含まれるカフェインが血管や呼吸器の働きをよくしている可能性があるという。

 全国に住む40~69歳の男女約9万人に対し、コーヒーや緑茶を1日どれくらい飲むかを、ほかの生活習慣などと合わせて質問し、経過を約19年間追った。この間に約1万3千人が亡くなっていた。

 コーヒーや緑茶をよく飲む人は死亡率が低く、コーヒーを1日に3~4杯飲む人ではほとんど飲まない人に比べて、死亡リスクが24%低かった。緑茶は1日1杯未満の人に比べ、1日5杯以上飲む男性で死亡リスクが13%、女性で17%低かった。どちらも、死亡のリスクにかかわる年齢や運動習慣などは影響しないように統計学的に調整した。

 コーヒーにはクロロゲン酸というポリフェノール、緑茶にはカテキンが含まれ、両方に血管や呼吸器の働きをよくするカフェインが含まれている。こうした成分が心臓病や脳卒中による死亡を減らしたことが考えられるという。

高齢者、交流少ないと健康リスク 日本福祉大など調査

同居者以外の人との交流が週に1回未満のお年寄りは、要介護や認知症のリスクが高くなり、月に1回未満だと死亡リスクも高くなるという研究成果を、日本福祉大や千葉大の研究チームがまとめた。社会的な孤立と健康状態との関連はこれまでも指摘されてきたが、この研究で交流の頻度が具体的に示された。

 研究チームは2003年に愛知県に住む65歳以上の健康な男女約1万2千人を対象に、同居者以外の人と会ったり、手紙やメールを出したり、電話をしたりする頻度を調べた。

 約10年間、追跡調査したところ、2272人が自力での立ち上がりや歩行が困難な「要介護2」以上となり、1986人が認知症を発症、2920人が死亡した。

 交流頻度と健康リスクとの関連を性別や年齢、世帯構成、病気の有無などの影響を取り除いて分析した結果、同居者以外との交流が月1回~週1回未満の人は、毎日頻繁に交流している人に比べて、要介護2以上となるリスクが1・40倍、認知症の発症リスクが1・39倍だった。月1回未満では死亡リスクが1・34倍。週1回以上のお年寄りは、統計的に明確な差がなかった。

健康生活認証 健康によい食事メニューを認証

国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)と博報堂は17日、東京都内で記者会見し、健康によい食事メニューを独自に認証する「健康生活認証」事業を7月から始めると発表した。

 糖尿病など生活習慣病の予防が目的で、レストランのメニューや宅配弁当、加工食品などが対象。同センターが設けた専門家委員会が、(1)1食当たりのエネルギー量は約600~700キロカロリーで、食物繊維6グラム以上、塩分2グラム以下など同センターが定めた基準値内(2)生活者の食の改善に向け事業者が積極的に取り組む(3)厚生労働省の安全衛生管理基準などを満たす――の3項目を審査。合格した食事メニューは「健康生活認証」マーク=を表示できる。マークの許可・使用料金は今後決める。

やせ女子・考/上 摂取カロリー、終戦直後以下

現代人の食生活では、メタボリックシンドロームなど肥満が問題視されることが多いが、実は日本人の平均的なエネルギー摂取量は以前に比べ減っている。特に若い女性で顕著な傾向で、専門家から「他の国では見られない現象だ」と懸念の声が上がるほどだ。「飽食の国」といわれる日本で、若い世代の女性の食にいま何が起こっているのか。その背景を2回に分けて考える。

 ●夕食は野菜スープ

 「仕事が忙しいし、食べることにあまり興味が湧かないから、最低限の食事になってしまう。気が付けば夕方まで何も食べていなかったということもあります」。東京都中央区の佳織さん(30)=仮名=は話す。

 朝、出社すると職場でココア味のプロテイン(たんぱく質を多く含む栄養補助食品)を水に溶かして飲む。それが朝食代わりだ。「朝、何も食べないよりはいいと思って」

 ある日の3食はいずれも少量だ。朝食に水に溶いたプロテインとコーヒー1杯。昼食はサンドイッチとコーヒー。夕食は自宅で作り置きしていた野菜スープをスープ皿に1杯。3食を食べているものの、推定エネルギー摂取量(1日当たり)は、厚生労働省が定める一般的な30代女性の必要量2000キロカロリーの半分にも満たない。

 同居する夫とは仕事の勤務時間が合わず、自宅で一緒に食事を取ることは少ない。家で作る料理もサラダやスープなどの単品が多いという。身長は161センチ、体重は47キロ。肥満ややせ度合いを表すBMI値は18・1で、明らかなやせ傾向だ。

 ●20代の5人に1人

 厚労省がまとめた2013年の国民健康・栄養調査によると、BMI18・5未満の「やせ」に分類される割合を性別・年代別にみると、20代女性が21・5%と最も多く、次いで30代女性も17・6%に上る。女性全体の「やせ」割合は12・3%で、データがある1980年以降で最も高くなった。

 同調査は1995年以降に、世帯単位ではなく個人単位で調査結果をまとめるようになった。全体の平均エネルギー摂取量は減少傾向にあり、20代女性のエネルギー摂取量も同じ傾向で徐々に減少している。20代女性のBMI値で「やせ」の割合は、95年以降、2割以上で推移しており、「5人に1人が『やせ』」という状態は定着している。

 また、平均エネルギー摂取量をみると、20代女性は1628キロカロリー(13年)だった。厚労省によると、終戦からわずか半年後の1946年2月時点のデータとして残っている「都市部」の平均値は1696キロカロリーで、13年の20代女性の方が少ない状態だった。

 さらに、国連食糧農業機関(FAO)によると、北朝鮮国民への1日の平均エネルギー供給量は11年で約2100キロカロリーとされる。日本の若い女性が取り込むエネルギー量は、経済制裁下の北朝鮮の人々への供給量よりも少ないことになる。

 国立健康・栄養研究所の滝本秀美・栄養疫学研究部長によると、20代の女性は食べる量が少ないこともあって、ビタミンやミネラルなどのいわゆる微量栄養素の摂取量も少なめだという。例えばビタミンB群の一種である葉酸や、鉄などが不足している。葉酸は、妊娠して間もない女性で不足すると、胎児の先天性障害のリスクを高めることが分かっている。

 滝本さんは「普段食べる量が少ない人は、最低限のカロリーは確保していても、健康の維持や妊娠、出産のための栄養素が不足している可能性がある」と話す。

 同調査からは、若い女性の食事バランスが取れていない状況も浮かんでくる。13年には3食ともに、(1)穀類(2)魚介類・肉類・卵・大豆(大豆製品)(3)野菜――の3種類を組み合わせて食べる人の割合は、20代は24・6%、30代は23・8%で、女性全体の平均36・5%を大きく下回り、男女別の全年齢層でも最も低くなっている。

 冒頭の佳織さんは「健康には気を付けなきゃ、野菜をとらなきゃ、という意識はある。外食すれば出されたものはきちんと食べるし、粉末を水に溶かすグリーンスムージーを常備して、毎日飲むようにしている。でも、一汁三菜を作って食べるような時間や気力があるなら、それを別のものに使いたいと思う」と話す。

 ●世界的に珍しく

 日本栄養士会の迫和子専務理事は「他の先進国では肥満対策が課題となっているが、日本では若い世代を中心に女性のエネルギー摂取量が減り、肥満者の割合が減っている。世界的にこんな国はない」と指摘する。80年代から栄養指導などで生活習慣病対策に力を入れてきた成果ともいえるが、一方で必ずしも肥満解消と同一線上で結びつけられないほど、若い女性のやせ対策が緊急課題になっているという。

 迫さんは「ここまで若い女性のやせ問題が進展するとは思わなかった。働き盛りの男性は肥満解消がなお課題で、日本は肥満とやせが共存する社会といえる」と話す。

食で内からすこやかに 分科会・健康な食事術 健康・医療フォーラム

日本人で一番多い病気は高血圧。患者は4300万人、国民の3人に1人。65歳以上になると3人に2人だ。もはや国民病と言ってもいい。

 血圧が高くなると血管が硬く、ぶ厚くなる。動脈硬化といい、最終的には血管が破れるか詰まる。それが脳卒中や心筋梗塞(こうそく)を引き起こす。高血圧の原因は食塩過剰。日本の食は、バランスがよくていいと言われているが、唯一の弱点は食塩が過剰なこと。日本高血圧学会は1日6グラム未満を目指そうと言っている。

 減塩のポイントは、だしを濃く取り、うまみをベースにし、地産地消の新鮮な食材で作ること。すると素材がおいしいから塩に頼らなくてもおいしく食べられる。牛乳を料理に使う方法もある。みそ汁なら、みそを半分にして半分はプレーンヨーグルトにする。インスタントラーメンもスープを半分にし半分は温めた牛乳を入れると、まろやかでおいしいラーメンになる。

 でも、減塩は難しい。なぜかというと、日本の食品には多くの塩が入っているからだ。総菜やコンビニ弁当、外食などすべて塩が多い。いくら減塩しようと思っても、個人の力ではなかなか難しい。だから、今後は社会で予防するということが大切になってくる。

 私が住む広島県呉市で、減塩のための環境づくりとして2008年から医師と料理人が協力し、レストランで減塩低カロリーのメニューの提供を始めた。今では50店以上に広がった。

 12年には「減塩サミット」を開催、昨年は広島市でも行った。それに呼応して呉市が子どもや保護者に向けて、減塩教育を行い、小中学校の減塩給食も始めた。特定健診では食塩摂取量を測ることにした。受診すると、自分がどれだけ塩を食べているかわかる。

 コンビニに行ったとき、店員に「減塩弁当はありますか」と聞いてほしい。そういう人が多いと、店員から店長に、店長から社長に伝わって、いずれコンビニでも減塩弁当が売られる日も来る。地域の皆さんで減塩環境を育てていただきたい。

国公立大入試は4・7倍 昨年から0・1ポイント減

文部科学省は19日、今春の国公立大2次試験の確定志願者数が昨年より9874人減の47万4546人だったと発表した。募集人員に対する倍率は0・1ポイント減の4・7倍。

 国立大(82大学377学部)の志願者は34万4992人で倍率は昨年と同じ4・3倍。公立大(82大学174学部)は12万9554人で0・2ポイント減の6・3倍だった。

 文科省は「少子化が進んでいることが影響しているのではないか」としている。

 学部系統別では、人文・社会系が昨年と同じ4・6倍だった一方で、医・歯系が5・5倍、薬・看護系が5・6倍といずれも0・4ポイント減り、理工系で0・1ポイント減の4・4倍になるなど、理系分野が昨年より下がった。

 センター試験の成績で門前払いする「二段階選抜」は、前期日程で27大学41学部が実施し、不合格者は3692人。中・後期日程では19日までに16大学20学部で2380人が不合格となった。

 東日本大震災で被害の大きかった地域では、岩手大が0・5ポイント増の3・4倍、東北大が横ばいの3・3倍、福島大が0・6ポイント減の4・6倍だった。

 2次試験は前期日程が25日から、中期日程は3月8日以降、後期日程は3月12日以降に行われる。

咬傷の処置、24時間以内がカギ【米国整形外科学会】

米国整形外科学会(AAOS)は1月5日、手や指に咬傷を負った場合の対処法についての文献レビューを紹介した。重症化、感染を防ぐために、24時間以内の迅速な対応を求めている。Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 誌1月号に掲載。

 同レビューによると、米国では毎年450万人が犬や猫に噛まれており、年間に約33万人が救急受診、関連医療費は年間8億5000万ドルにものぼる。特に大型犬の場合は顎の力が強く歯の形状からも、靱帯、腱、骨を損傷する恐れがあるという。また、猫は犬ほど顎の力は強くないが、歯が鋭いため重篤な負傷の原因となり得るほか、30-50%に感染症が起こると指摘している。

 同レビューでは、人や動物に手を噛まれた場合の対処法として、小さな刺創であっても医師の診療を受けることの重要性を強調。噛まれた部位に赤みや腫れ、痛みの増幅がある場合は感染症が疑われるため、速やかな受診を呼び掛けている。また、抗生物質投与などの適切な処置を受けることで、永続的な障害や切断術を回避できることから、噛まれてから24時間以内の迅速な処置を求めている。

 一方、処置をする医師に対しては、患者の病歴、予防接種歴、抗生物質投与歴、噛まれた時間、咬傷の場所などから治療法を決定するよう推奨。特に人工関節の患者は感染播種等のリスクがあるとして注意を促している。また、傷の大きさや深さ、壊死組織の量のほか、神経構造や腱の損傷、骨折、骨の露出および感染がないか、関節に問題がないか確認を徹底するよう指示。抗生物質の投与により感染の割合が平均で28%から2%に低下することから、手に咬傷を負った患者には必ず抗生物質の投与を勧めている。

野菜多く食べる男性、胃がんリスク低下

野菜を多く食べる男性は、少ない男性よりも、日本人に多い下部胃がんを発症する割合が低いという調査結果を、国立がん研究センターが発表した。

 生活習慣とがん発症の関連などについて1988年から追跡している四つの大規模調査の参加者約19万人を分析。野菜や果物を食べる量で5グループに分け、それぞれ胃がん発症の危険性を比べた。

 平均11年間の追跡期間中に2995人が胃がんになり、野菜も果物も最も多く取ったグループで発症の危険性が低下する傾向があった。一方、がんの部位別に分析できる約15万人について調べると、胃の上部3分の1に発症したのは258人、その下の部分に発症したのは1412人で、下部胃がんについては、野菜を最も多く取った男性は、最も少なかった男性に比べ、発症の危険性が78%に下がった。男性より野菜を多く取る女性については差が見られなかった。

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