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食で内からすこやかに 分科会・健康な食事術 健康・医療フォーラム

日本人で一番多い病気は高血圧。患者は4300万人、国民の3人に1人。65歳以上になると3人に2人だ。もはや国民病と言ってもいい。

 血圧が高くなると血管が硬く、ぶ厚くなる。動脈硬化といい、最終的には血管が破れるか詰まる。それが脳卒中や心筋梗塞(こうそく)を引き起こす。高血圧の原因は食塩過剰。日本の食は、バランスがよくていいと言われているが、唯一の弱点は食塩が過剰なこと。日本高血圧学会は1日6グラム未満を目指そうと言っている。

 減塩のポイントは、だしを濃く取り、うまみをベースにし、地産地消の新鮮な食材で作ること。すると素材がおいしいから塩に頼らなくてもおいしく食べられる。牛乳を料理に使う方法もある。みそ汁なら、みそを半分にして半分はプレーンヨーグルトにする。インスタントラーメンもスープを半分にし半分は温めた牛乳を入れると、まろやかでおいしいラーメンになる。

 でも、減塩は難しい。なぜかというと、日本の食品には多くの塩が入っているからだ。総菜やコンビニ弁当、外食などすべて塩が多い。いくら減塩しようと思っても、個人の力ではなかなか難しい。だから、今後は社会で予防するということが大切になってくる。

 私が住む広島県呉市で、減塩のための環境づくりとして2008年から医師と料理人が協力し、レストランで減塩低カロリーのメニューの提供を始めた。今では50店以上に広がった。

 12年には「減塩サミット」を開催、昨年は広島市でも行った。それに呼応して呉市が子どもや保護者に向けて、減塩教育を行い、小中学校の減塩給食も始めた。特定健診では食塩摂取量を測ることにした。受診すると、自分がどれだけ塩を食べているかわかる。

 コンビニに行ったとき、店員に「減塩弁当はありますか」と聞いてほしい。そういう人が多いと、店員から店長に、店長から社長に伝わって、いずれコンビニでも減塩弁当が売られる日も来る。地域の皆さんで減塩環境を育てていただきたい。