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同時受診患者の制限 歯科86% 医科23%

総合医療情報サイトが医科・歯科に実施した調査結果として院内の感染症対策で「全スタッフのマスク着用」や「消毒徹底・強化」は医科・歯科ともに9割以上が実施しているが、「同時受診患者の制限」では歯科が86.0%に対し、医科が23.1%。

 「予約制の導入」は歯科が74.0%、医科が34.6%など、違いが顕著な取り組みも見られた。「電話・オンライン診療の実施」は医科が65.4%、歯科が26.0%など、医科の方が多い取り組みも見られた。医科・歯科合わせた経営への影響については「患者が減った」と回答したうち、「2~3割減った」が48.1%で最も多く、「4~5割減った」が28.8%、「6~7割減った」が9.6%と続く。

(歯科通信)


日歯が国民に『日本に当てはまらない』

 日本歯科医師会は17日、WHOが3日に発出した「日常的で必須でない歯科治療は遅らせること」などとする暫定ガイダンスを受けて、日本の現状に当てはまらない点や、歯科治療を介しての感染拡大事例がない点などの見解を、国民に向けて公表した。


 日ごろからスタンダードプリコーションを徹底し、新たな感染予防対策も講じており、「歯科治療を介しての感染拡大事例」や「歯科医療機関での大きなクラスターの発生」は報告されていないと説明。

 さらに、必要な歯科治療や口腔衛生管理を控えることで、誤嚥性肺炎の発症や全身の健康へ悪影響を招くことの注意喚起もしてきたとしている。

(歯科通信)

「歯の病気」668万7千人が通院 国民生活基礎調査

 「歯の病気」で通院している人は668万7,000人に上り、傷病別にみた通院者率は54.0%と「高血圧症」(126.1%)に次いで高い。厚労省が7月17日に公表した2019年国民生活基礎調査の結果によるもの。

 自覚症状別にみた有訴者数では、「歯が痛い」は201万6,000人(有訴者率16.3%)、「歯ぐきのはれ・出血」は226万人(同18.2%)となっている。

(歯科通信)

新型コロナ感染の歯科医師による診療 患者等61人はすべて陰性

新型コロナウイルスに感染した歯科医師の診た患者等が、PCR検査で現在のところ全員陰性となっている件で、歯科診療の感染面での安全性を証明する事例となる可能性として注目が集まっている。

 千葉県の亀田クリニック歯科センターの報告書(第4報・8月3日)によると、7月20日、同センターの歯科医師の新型コロナウイルス感染を確認。19日に症状が出現してからは勤務していないが、17、18の両日に診療しており、患者等の濃厚接触者は61人に上った。

 濃厚接触者のうち21日に49人、22日に12人がPCR検査を受けて、全員の陰性が確認されている。7月31日、8月1日には、61人に連絡し、14日間の健康観察期間中に新型コロナウイルス感染症を疑う症状が出ていないことも確認済みとのこと。

(日本歯科新聞社)

給食のブドウで窒息か、4歳男児が死亡 八王子の幼稚園

 東京都八王子市の私立幼稚園で7日午後1時半ごろ、男児(4)が給食で出されたブドウ(直径約3センチ)をのどに詰まらせた。男児は意識不明の状態で搬送され、約1時間半後に死亡した。警視庁は窒息死とみている。

 高尾署によると、当時、男児がいた年少組では25人の園児が給食を食べており、2人の女性教諭が付き添っていた。男児が苦しそうにしているのに教諭の1人が気づき、口に手を入れて背をたたいたが、はき出させることができなかったという。

 ブドウは給食のデザートで、1人に3粒ずつ皮付きで出た。皮は園児がむくことになっており、男児ののどに詰まったブドウに皮はなかったという。

 幼稚園の園長は取材に対し、「大切な命を亡くして残念、無念です」と話した。給食の献立を見直し、食材を細かく刻むなどの対策を講じるという。

がんリスクをだ液で、検査スタート みやき町が医療機関と検証

だ液を調べてがんのリスクを判定する検査が4日、佐賀県みやき町で始まった。同町が福岡大学(福岡市)や今村病院(鳥栖市)と共同で有用性の検証に取り組んでいるもので、初日は町民ら約100人が、痛みなどがなく手軽にできる検査を受けた。

 検査には、山形県のバイオベンチャー「サリバテック」が開発した検査キット「サリバッチェッカー」を使用。だ液に含まれるがん細胞の代謝物を調べることで、肺がん、膵(すい)がん、大腸がん、口腔(こうくう)がん、乳がんのリスクが分かる。

 同町働く婦人の家で開かれた住民健診に合わせて実施し、希望者が検査を受けた。受診者は担当者の説明を受けた後、専用のストローを使ってだ液を採取。だ液が出にくい人は、梅干しやレモンの絵、写真を見ながら酸っぱさを想像し、だ液を出していた。採取しただ液は冷凍した上でサリバテックに送って検査し、約1カ月で結果が出るという。

 年齢的に不安なので検査を受けたという70代女性は「簡単に受けることができた。機会があれば定期的に検査したい」と話していた。検査は11月下旬まで実施する予定で、町は1千人を目標に受診を呼び掛ける。

歯の神経再生で幹細胞保存 エア・ウォーターが新事業

産業ガス大手のエア・ウォーターは2日、歯の神経を再生させるための幹細胞を長期間保存する新事業「歯髄幹細胞バンク事業」を開始したと発表した。虫歯などで歯の神経を抜いた際に、あらかじめ保存していた幹細胞を移植する。これにより歯の神経が再生し、かむ感覚を取り戻せる。

 親知らずや乳歯など、不要となった歯から歯髄を採取する。歯髄から幹細胞を培養し、冷凍保存して将来の治療に備える。幹細胞を移植後、神経は約1カ月、象牙質は約半年から1年で再生する。最後に歯の表面のエナメル質を詰め物などで整える。

 費用は、歯髄の採取と幹細胞の培養、最初の10年の保管料で計33万円。保管は10年ごとの更新で、更新料は6万6千円となる。幹細胞を移植する際はさらに1本約22万~44万円かかる。保険は適用されない。

 エア・ウォーターが設立した子会社のアエラスバイオ(神戸市)が歯科医院と連携し、事業展開する。2023年度の事業の売上高は10億円を見込む。

 広報担当者は「既存のインプラントなどの治療法とは異なり歯が残っていなければできない」としながらも「自分の歯を残したまま治療できる」と利点を強調した。「歯科医院にとって治療の選択肢が広げられる」とも述べた。

第31回 糖尿病と歯周病の因果関係

私の視点
総評
 慢性炎症は、2型糖尿病の病態における主要な機序の一つとされています。本研究は、1年間の介入によって炎症マーカーも低下し、糖尿病合併症リスクも低減することを示唆した点で、病態生理学的にも臨床的にも意義が大きいでしょう。QOLも評価している点も臨床的価値があるでしょう。

 ただし、歯周炎改善によるHbA1c低下への寄与率(R2=0.04)は統計学的に有意ではあっても微々たるものなので、むしろ多因子の統合的改善によって血糖コントロールが改善したことが推測されます。

エビデンス解体
 治療者に対する治療内容盲検化は事実上不可能なので、情報バイアスを完全に排除することはできません。この点は限界点として割り引いて解釈する必要があります。

 二次エンドポイントでは血糖コントロールと多くの因子との有意な関連性が算出されましたが、いずれも寄与率は低く、検定多重性制御もなされていないため、各因子のインパクトはかなり小さい印象です。

 本来、検定の多重性への対策を事前に設定していない場合は、二次エンドポイントは仮説を提唱するオマケです。多重性により統計学的有意差の偽陽性が増えます。この試験では多重性が調整されていないだけでなく、20項目以上が二次エンドポイントとして設定されていたので、二次エンドポイントの 1項目以上に有意差が偶然出てくる確率(有意水準をp=0.05とする)は60%以上となるため、仮説の探究にすぎないでしょう。

一般性
 糖尿病患者では歯周病リスクが高いことが、国内外で確認されています4)。今回の研究ではイギリスの一施設での介入であったため、対象者のバイアスが残存していて一般性に乏しい可能性があります。他施設での再現性の確認が必要でしょう。

臨床的意義
 歯周炎の治療により、HbA1cには1年後に2群間で0.6%有意な差が出ました。この差は、経口血糖降下薬1剤による低下度に匹敵するものです5)。長期にわたってこの効果が持続するなら、糖尿病患者の歯周炎合併リスク4)を勘案すると、合併症予防の点で多大な効果が期待できそうです。長期的な介入結果が待ち望まれます。

過去ログ