2023年医療施設(静態・動態)調査の結果が公表され、歯科診療所は開設・再開が1555施設だったのに対し、廃止・休止が2492と大きく上回り、前年と比べ937施設減少し、6万6818施設となっ。医療法人が436施設施設増えたものの、個人が1374施設の減少。団塊世代となる院長の高齢化に加え、後継者難、歯科衛生士不足などでこの傾向は続くものとみられる。
2023年医療施設(静態・動態)調査の結果が公表され、歯科診療所は開設・再開が1555施設だったのに対し、廃止・休止が2492と大きく上回り、前年と比べ937施設減少し、6万6818施設となっ。医療法人が436施設施設増えたものの、個人が1374施設の減少。団塊世代となる院長の高齢化に加え、後継者難、歯科衛生士不足などでこの傾向は続くものとみられる。
厚労省が公表した2023年患者調査によると、歯科診療所の1日推計患者数は、20年に実施された前回調査より、6万8300人減少し、126万3800人。2017年より減少の傾向が続いている。年齢別にみると「70~74歳」が12万9300人で最多。60歳以上が全体の半数を占めている。疾病別では、「う蝕」が21万6300人、「歯肉炎及び歯周疾患」が53万6200人。人口10万人対受療率は全国で1016となり、都道府県別では、大阪府が1370と最も多く、神奈川県が1295、山口県が1225と続いている。
ミーカンパニー株式会社が光学印象届出施設のデータ分析を行い、将来的に口腔内スキャナを導入するポテンシャルのある歯科診療所の属性評価を行った。その結果、2024年9月時点での届出は8983施設。届出群の約5割が法人運営で、未届出群の約8割が個人運営の歯科診療所であることがわかった。
1月12日現在、電子処方箋は歯科診療所で1,010施設(1.7%)に普及している。薬局では3万8,188施設(63.2%)、病院・医科診療所の導入率はいまだ約1割弱にとどまっている。厚生労働省は「電子処方箋を今年3月までに普及する」との目標を設定していたが今夏まで延長することが決まった。
日本歯科医師会常務理事の大杉和司 委員(社保審)は医療DXを推進していくうえで、電子処方箋は有効な手段の一つであるものの、8割以上の歯科医院が院内処方による投薬が中心であるため「院外処方を前提とした現在のシステムでは十分なメリットが享受されていない」と低い普及率の問題点に触れ、1月より始まる院内処方の拡充対応(プレ運用)に期待感を示した。
【歯科通信】
1月29日の参議院本会議で比嘉奈津美 議員の質問に対して、石破 茂 内閣総理大臣は国民皆歯科健診について「歯と口腔の健康が全身の健康につながると認識している」と述べ、「生涯を通じて定期的に歯科健診を受けていただくための環境を整えることは重要」との考えを示した。
【歯科通信】
歯周病は骨や筋肉、脳に障害を招く―。藤田医科大学らの研究グループによるもの。歯周病が各臓器の障害を招くエビデンスが得られたことにより、医科歯科の密接な連携が重要であることがあらためて確認された。
研究では歯周病に罹患させたマウスを構築し、一定期間経過後の状態を解析した。その結果、下肢の遅筋が障害されていた。また、大腿骨の骨密度が低下しており、遅筋の障害と併せてフレイルの病態を呈していた。認知機能についても検証したところ、歯周病により海馬の細胞と神経に減少が生じ、モデルマウスは身体的フレイルと同時に認知的フレイルであることがわかった。
【歯科通信】
症例は72歳男性で、外傷歴はないものの、1週間前から左肩関節痛を主訴に時間外外来受診。既往は高血圧、高脂血症、糖尿病がありました。喫煙歴は毎日40本を50年以上続けるヘビースモーカーです。
左肩腱板損傷、石灰性腱炎を鑑別疾患として思い浮かべながら、まずはX線を撮影しました。X線上で左肩腱板付着部に石灰化を認め、患者さんに「ここに白く写っているのが、カルシウムが沈着しているところです。石灰性腱炎の可能性が高いでしょう。鎮痛薬を処方しますので服用してください」と説明し、帰そうとした矢先のことでした。患者さんが「ありがとうございました。そういえば最近歯が浮いた感じがしたり、変に冷や汗が出たりするんですよね」と言いました。その言葉に引っ掛かった私は、「すいません、ちょっと気になるので検査を追加させていただいてよろしいでしょうか?」とお願いし、患者さんに快諾していただいたので血液検査と心電図を追加しました。
すると驚くべきことが……。採血上もCK・CK-MBが上昇しており、心電図上でもST変化を認めました。急いで循環器内科の先生に連絡して状況を説明。快く診察依頼を引き受けてくださり、やはり狭心症で間違いない、ということになりました。残念ながら当時の病院は夜間緊急カテーテルをできる体制ではなかったので、他院に紹介して緊急カテーテル検査をしていただくことになりました。
このときの反省点としては、もし患者さんが「歯が浮いたような感じ」、「冷や汗」というパワーワードを言っていなければ、おそらく見過ごしていました。正直なところ、X線で石灰化を認め、「お、これは石灰性腱炎で間違いないな」と思っていたことは事実です。患者さんは見た目も元気で、自分の足で受診されたため、そこまでの重症感は全くありませんでした。
しかし、既往歴や喫煙歴、年齢的にもちょっと引っ掛かったところはあったので、やはり問診は大事です。今回のケースでは、もし私が追加の検査のことを言った際に激怒されていたら、そのまま帰していたでしょう。時間外でかなり疲れていたのも事実で、このような時には悪魔が耳元で囁くものです。ですが、何かおかしいなと思ったら、当初の鑑別疾患の所見があったとしても、さらに調べる方がいいでしょう。
徐々に筋肉が衰えていく進行性の難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者で歯科医の三保浩一郎さんの講演会「ALS恐るるに足らず 歯科医の語るALSな暮らし」が3月2日午後1時、佐世保市常盤町の市まちなかコミュニティセンターである。事前申込制で誰でも参加できる。
三保さんは広島市で歯科医院を開業していたが、ALSを発症し、2012年に閉院。16年から人工呼吸器を装着し、視線で文字を入力して音声に変換する機器を使い、全国各地で講演をしている。日本ALS協会の理事や広島県支部長を務めている。
主催する同協会長崎県支部は、患者や理学療法士らの専門家、一般の人の参加を呼びかけている。講演後には交流会もある。申し込みは、長崎県支部事務局長の森本典子さん(090・9406・4546、morimoto@icv-net.ne.jp)。