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家族の絆を深める口腔ケア

「おじいちゃんの口が臭いからお見舞いに行きたくないって孫が言うの」
 奥様は、そうKさんにこぼしたのです。

 ショックを受けたKさんは、なんとかしたいと思って書籍を調べてみました。
そこで目に入ったのは、「口臭の原因のひとつは口腔乾燥」という一文。夢中で
読み進めると、ストレッチを加えて唾液分泌を促す口腔ケアが効果的と書かれて
いたのです。

 さっそくKさんは、その日から粘膜ブラシ『くるリーナ』で口腔内のストレッ
チを行ない、唾液の分泌を促進。1週間ほどすると口腔内が潤い、口臭も軽減さ
れてきました。

 そして数週間後……。

 和幸さんの病室から聞こえてきたのは、お孫さんのかわいい声。室内を見てみ
ると、和幸さんが幸せそうにお孫さんを抱っこしていました。

「口腔ケアは、家族の絆を深める役割もあるんですね。今までは、清潔に保った
り誤嚥性肺炎を防ぐことだけが目的だと思っていました」
 Kさんは今、あることを看護師長に提案する予定です。それは、口臭が強い患
者さんにはお見舞い時間の前に口腔ケアをすること。たくさんお見舞いに来ても
らい、早く患者さんに元気になってほしいとKさんは願っています。

定期的な歯のクリーニングで心臓発作、脳卒中のリスク低下。

定期的に歯科医院を訪れ歯石を取ってもらうと、心臓発作や脳卒中のリスクを下げる可能性があるとする研究結果が、昨年11月、米フロリダ州オーランドで開催されたアメリカ心臓協会(AHA)で発表された。台湾の台北栄民総医院の研究チームは、心臓発作または脳卒中の発症歴のない10万人以上を約7年間にわたり追跡調査。結果、少なくとも2年に1回以上歯石除去の処置を受けた人は心臓発作リスクが24%低く、脳卒中リスクは13%低かった。処置の頻度が2年に1回以下の人の場合でも、処置を受けていない人と比べると、どちらのリスクも目立って低くなった。

歯科診療所数の減少傾向続く。昨年ピーク時比で17都府県が減。

厚生労働省の医療施設動態調査によると、平成23年11月末現在の歯科診療所数は全国で6万8514施設で、対前月の減少数は15と3ヶ月連続の減少傾向が続いている。都道府県別では神奈川の8、北海道、長野、広島の3など、13の道県で31施設増えたものの、東京の11、京都の10など、20都府県で46施設減った。ピーク時の昨年8月に比べると、東京は28、京都は13、青森は7施設の減少となり、増加数を加味しても全体として33施設の減となっている。経営難から廃業する歯科医院が増えているからではないかという歯科医師の声も聞こえてくる。

あるべき医療の実現に向けた第一歩。診療報酬改定・歯科1.70%アップ。

平成24年度診療報酬改定の改定率は。薬価・材料引き下げ分を含めた医療費全体を0.004%引き上げることで合意した。診療報酬本体はプラス1.379%(約5500億円)で、内訳は医科1.55%、歯科1.70%、調剤0.46%それぞれ引き上げ。改定比率は「医科1:歯科1・1」と、歯科の改定率は2回連続で医科を上回った。介護報酬改定は1.2%の引き上げで、内訳は在宅1.0%、施設0.2%それぞれプラス。
歯の保存に資する技術の評価(一部)
 歯周病に関する技術の評価の見直し

 在宅歯科医療の評価(一部)
 歯科訪問診療料の評価の引き上げ

 歯科衛生士の歯科訪問診療の補助に関する評価

体で気になるニオイは「口臭」が圧倒的多数に

グラクソ・スミスクラインは、20歳以上の男女600人(20代~70代以上までの6世代)を対象に、日常生活でのニオイに関する予防・対策について調査を行ったところ、気になる体のニオイとしては「口臭」が圧倒的多数を占めた。調査は今年1月20~23日にかけて、インターネットで実施した。
 最も気になるニオイとしては、自分の体に関しては「口臭」(43.2%)がトップ、他人の体に関しても「口臭」(42.3%)がトップと、いずれも体の気になるニオイとしては「口臭」が圧倒的に多い結果となった。
 自分の体のニオイに関しての予防・対策を「常にしている」「ときどきしている」という積極的な層に着目すると、60~70代の高齢者層は、20~30代の若者層に比べて、体のニオイ全般への予防・対策への意識は低かったが、口臭に限った予防・対策では、高齢者層も若者層並みに行っていた。
                薬時日報 2012.2.15

歯周病がカンジダ菌で進行 高齢者は十分な口腔管理を

口腔内常在菌である真菌(カビ)の一種、カンジダ菌が歯周病菌の
歯肉への侵入を進行させるという実験結果を、奥羽大歯学部口腔病
態解析制御学講座の玉井利代子准教授が発表している。この研究の
論文は微生物学免疫学に関する国際的な学術雑誌「マイクロバイア
ルパソジェネシス」に掲載された。カンジダ菌は中高年になると検
出される割合が増え、50代では約半数の人から検出されるという。
玉井准教授は中高年がカンジダ菌の保有率や歯周病になる割合が高
いこと等を踏まえ「カンジダ菌が口腔内で発生した場合は、歯周病
の原因菌である歯周病菌の働きが高まる」という仮説を立て、2年
前より実験をスタートした。シャーレで人の歯肉の細胞を培養し、
カンジダ菌と触れた細胞と触れていない細胞の歯周病菌を取り込む
割合を比較した結果、触れた細胞は触れていない細胞の3倍、歯周
病菌を取り込みやすいことを確認し、歯周病がカンジダ菌で進行す
ることを突き止めた。歯周病菌は歯周病だけでなく、動脈硬化等の
原因の一つとも言われ、口腔内を清潔に保つことはこれらの予防に
も繋がるといえる。歯磨きやうがい、義歯の手入れ等により歯周病
や動脈硬化、心筋梗塞等のリスクを減らせるという、口腔内環境改
善の重要性を再認識する結果である。

“なぜ”を知ったら患者さんの口腔ケアが快適に!

“ベッドを起こすと安全に口腔ケアができる”と書かれているのを見つけ、Fさ
んはさっそく実行しました。ところが和也さんは、相変わらずゴホゴホと苦しそ
う……。Fさんは申し訳ない気持ちになり、「どうしたらいいのだろう」と考え
込んでしまいました。

 その数日後、Fさんは先輩看護師が和也さんの口腔ケアをしている様子を見て
驚きます。
「和也さんがむせていない!」
 Fさんはすぐに先輩に声をかけ、どうすればむせずに口腔ケアができるのかを
尋ねました。

「患者さんの顔が少し下を向くようにすると、唾液を誤嚥しにくくなるの」
 先輩の回答に、Fさんはドキッとしました。“ベッドを起こす”という形だけ
を実践していたことに気づいたからです。

 翌日からベッドを起こし、さらに和也さんに少し下を向いてもらってから口腔
ケアを開始。するとむせることなく終了できたのです! 和也さんは「ありがと
う」とにっこり笑いました。

 今までは、方法の導入だけに集中しがちだったFさん。これを機に、なぜその
方法が患者さんに有効なのかを考えるようになったといいます。

食事習慣や歯磨きの見直し必要 飲食物の酸で歯が溶ける「酸蝕歯

酸の強い飲食物を口にすると、口の中は酸性になる。通常は唾液の働きで中性に戻り、唾液に含まれるカルシウムなどで歯のエナメル質を修復(再石灰化)してバランスが保たれている。しかし、ワインなど酸性の飲み物をチビチビと長時間にわたって飲むと、歯が酸にさらされる時間が長くなり、酸蝕歯のリスクが高くなる。食べ方、飲み方が問題になってくる。
 飲食物の摂取の仕方が適切でないと、酸によって歯が溶け、さらに歯を食いしばるなどの悪い癖が、歯を磨耗させてしまう。
                産経新聞 2011.11.15

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