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医療的ケア必要な子を知って

1歳半の第2子は、小顎症(しょうがくしょう)を主としたハンディを抱えています。生後2時間で気管切開をして、生後6カ月で管から栄養を入れる胃ろうを施しました。いわゆる要医療的ケア児です。

 医療が発達し、新生児集中治療室(NICU)も増床・増設され、多くの命が助かるようになりました。我が子も約半年間、NICUでお世話になりました。しかし、退院した後の地域の受け皿が圧倒的に足りません。医療的ケアを行える人は法で定められているため、そういう人がいない多くの保育園は、第2子のような子どもは入れてくれません。

 こうした子どもの側にいると、心が傷つくことがあります。じろじろ見て逃げたり、逆に見ないようにしたりする人がいます。尋ねてもらえれば、説明して、理解してもらえるのにと思います。

 私自身も要医療的ケア児の生活は知りませんでした。でも当事者になって、夜も眠れず、ぎりぎりの状態で命と向き合っている母親がたくさんいると知りました。ケア制度の充実はもちろん大切ですが、まずは、医療的なケアが必要な子どもたちの存在をどうか知ってください。

インフルエンザ退治、歯磨きから!? 日大チーム疫学調査へ 歯垢でウイルス増殖、薬効きにくく

口の中が不潔だとタミフルなどのインフルエンザ治療薬が効きにくくなる可能性があることが分かり、落合邦康・日本大教授(口腔(こうくう)細菌学)らの研究チームが近く、高齢者を対象に検証のための疫学調査を始める。歯磨きの徹底など日常生活の注意で、インフルエンザを予防したり、重症化を防いだりできる可能性があるという。

 インフルエンザウイルスは、細胞内に入り込んで増殖し、他の細胞に感染を広げる際、ウイルス表面の酵素「ノイラミニダーゼ(NA)」を使って、自身を細胞表面から切り離す。タミフルやリレンザなどはNAの働きを妨げることでウイルスの感染拡大を防ぐ。

 チームのこれまでの研究で、歯垢(しこう)に含まれる2種類の細菌がNAを作り出し、ウイルスの増殖を助けることが分かった。インフルエンザウイルスに感染させた細胞に細菌の培養液を加えると、細胞からのウイルスの放出量が21~28倍に増え、リレンザやタミフルを投与してもウイルスの放出量は抑えられなかった。

 インフルエンザウイルスはのどや鼻の奥で感染、増殖する。落合教授は「感染部位が口と近いことを考えると、口の中の細菌が感染の進行に関与していることは十分に考えられる」と話す。チームは今季のインフルエンザ流行中に、協力病院や介護施設の高齢者から口の中の細菌を採取し、口腔ケアとインフルエンザ感染の関係を調査する。口内細菌は近年、糖尿病の悪化や誤嚥(ごえん)性肺炎の要因になっていることが指摘されるなど、他の病気との関係が注目されている。

抜いた親知らずや切除した軟骨、再生医療製品に

経済産業省は、治療で不要になった歯や軟骨などの細胞を使う、再生医療製品作りを後押しする。

 国内で実用化された再生医療製品はいずれも患者自身の細胞から作るが、欧米や韓国では他人の細胞を使った再生医療製品が普及しつつある。同省は他人の細胞を材料にする製品作りの仕組みを提示し、迅速で安価な再生医療の拡大を目指す。

 再生医療では主に細胞を培養後に移植し、失われた組織や臓器の機能を回復させる。他人の細胞を使って製品化すれば、すぐに治療を開始でき、1人の細胞から多人数用の製品ができるのでコストが安くなる。

 国内でも他人の細胞を使った臨床研究は行われているが、製品化については、「人体の商品化と社会に受け止められるのではないか」との懸念から事業が進みにくかった。

 経産省は、医療機関で抜いた親知らずや手術で切除した軟骨の細胞などを、仲介役の企業や団体を介し、メーカーが受ける仕組みを想定。16日、有識者検討会を開き、スムーズに細胞を採取するための方策や、仲介役の役割を議論する。細胞の採取や検査にかかる費用も検討する。

上下の歯の間に隙間があるのが正常な状態です

リラックスして、特に何も意識しない状態で口を閉じているとき、上下の歯と歯の間に2~3mm隙間が空いているのが、正常な状態。この隙間を「安静時空隙(くうげき)」といいます。上下の歯と歯が触れ合うと、それだけでかむときに使う筋肉が緊張してしまうため、顎(がく)関節の痛み、疲労や頭痛、肩凝りなどを招くほか、歯がすり減ったり、歯周病、知覚過敏といったトラブルが起こる危険が。こうした癖は「TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖〈へき〉)」と呼ばれ、現代人の不調の隠れた要因となっています。

あなたの口元老化度は? 今すぐチェックしよう

顔にシワやたるみが出たり、足腰が弱くなったり……。年齢を重ねるとさまざまな変化が表れてくるものですが、こうした変化より早く始まるのが“口元の老化”です。怖いのは、老化とはまだ無縁と思っている若い世代でも、すでに起こり始めているかもしれないこと。まずは、歯科医師の宝田恭子(たからだ・きょうこ)さんのご指導のもと、自分の口元をチェックしてみましょう。


■Q:自然に口を閉じた状態で、リラックスして座ってください。そのとき、上の歯と下の歯は、どのような状態になっていますか?


A:上下の歯の間に隙間がある

B:上下の歯が触れ合っている


■口元老化度 結果発表!


Aだった方は……大丈夫! 10年後もキープしましょう

あなたの口は、上下の歯の間に隙間がある、正常な状態です。必要以上に上下の歯をかみ合わせることがないので、歯や口元、あごの筋肉の健康を保つことができます。この状態をキープできれば、口元は若々しくいられるでしょう。

Bだった方は……要注意! すでに老化がスタート!?

実年齢に関係なく、あなたの口はすでに老化が始まっている可能性が。歯と歯が触れ合っている時間が長いと筋肉が常に緊張して、筋肉の疲労、歯の違和感、あごの疲労感など、さまざまな不定愁訴につながる可能性があります。このままだと、見た目も老け込んでしまうかも。

検診で口腔がん早期発見を 大宮歯科医師会が講演

さいたま市の大宮歯科医師会(栗原孝幸会長)で、40歳以上を対象にした口腔がんの講演と検診が行われ、高齢者を中心に約80人が集まった。

 講演は明海大学歯学部の坂下英明教授が講師を務め、「口腔がんは自覚症状がなく早期発見が難しい。視診や触診などによる口腔内検診を受け、早期発見に努めてほしい」と訴えた。

 講演後、会場内の実習室で明海大学歯学部の歯科医による口腔がん検診が行われた。診察した歯科医は「口の中で気になることはないですか」と一人一人に優しく尋ね、参加者からの相談を丁寧に受けていた。

 さいたま市大宮区の滝原美恵子さん(68)は「口内炎や口の中のただれが気になっていた。(歯科医師から)詳しい説明を頂き、有意義な検診でした」と笑顔を見せていた。

虫歯ある中学生、ピーク時の半分

文部科学省は2014年度の学校保健統計調査の結果(速報値)を発表した。虫歯がある子供の割合は幼稚園から高校まで全ての学校段階で13年度より減少した。中学生は過去最高だった1979年(94.5%)に比べると半分以下の42.4%になった。

 学校種別では、幼稚園38.5%▽小学校52.5%▽高校53.1%。虫歯の割合は70~80年代がピークで、その後は減少傾向に。中学1年(12歳)の虫歯の本数は一人平均1本で30年前の約5分の1。学校歯科医による指導の充実や家庭での歯みがきの習慣づけなどが要因とみられる。

 一方、裸眼視力1.0未満の割合は増加傾向にある。中高生では半数を超え、高校62.9%、中学校53.0%。いずれも過去最高に比べると微減だが、文科省は「スマートフォンやゲーム、パソコンなど近くのものを長時間見ることが影響しているのではないか」とみている。

 中耳炎など耳の病気にかかっている子供の割合は小学校で5.7%、中学校で4.0%でいずれも過去最高。最近は耳あかが詰まっている子供が増えているという。アトピー性皮膚炎は幼稚園で2.4%と過去最低になった。

円滑でなかった医科歯科連携 - 佐藤徹・日本歯科医師会常任理事に聞く◆Vol.1

 医科とは、診療報酬上でも別建ての歯科医療。病院における歯科標榜も2割程度にとどまり、医科からの関心は、比較的低い状況が続いてきた。しかし、患者の高齢化などに伴い、口腔ケアが重視され、チーム医療の検討も進む中で、歯科医療の重要性がクローズアップされている。日本歯科医師会常任理事の佐藤徹氏に、チーム医療の中で果たす歯科医師の役割や展望について聞いた(2015年1月9日にインタビュー。計3回の連載)。


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――歯科医がチーム医療に関わる意義はどこにありますか。

 歯科は、従来、外来中心でしたが、通院できない患者が増えて、在宅医療や高齢者施設への入所など、訪問歯科診療のニーズが高まってきました。虫歯の患者が多くいた時代が終わる中で、歯科が実施するのは、「口腔ケア」と呼ばれる口腔内の維持管理へと変化しています。これは、単なる歯磨きではありません。訪問診療では、歯科診療ユニットは持ち運びが容易でないこともあり、治療メーンというより、口腔管理の一環として、治療を実施するイメージです。

 入院患者も含めて、口腔管理では、現状では看護師が、入院患者に対して、懸命に歯磨きしたり、口腔内を拭いたりしています。看護師は、病院に歯科の専門職がいない中で、自分なりに研修などを受けている人もいますが、専門資格を持つ歯科医師や歯科衛生士と比べれば、当然ですが、目覚ましい効果が出ているわけではありません。医師も口の中を一応確認しますが、舌や咽頭を診ることになり、歯や義歯の状態をしっかり診ることができるわけではありません。

 口腔ケアの重要性は、ある程度認識している人が多く、現場でやらざるを得ませんが、医科から歯科につながることはあまりなく、医療連携は円滑に進んでこなかったと思います。医科と歯科は、診療報酬も別になっているように二元化されてきたのも要因かと思います。


日本歯科医師会常任理事の佐藤徹氏は、従来、医科と歯科の連携がうまくいっていなかった点を指摘した。

――医科と歯科の疾患の関係は、近年明らかになりつつあるのでしょうか。

 血液の癌、消化器癌、頭頸部癌などの癌については、多くのことが分かってきました。抗癌剤や放射線治療によって、口腔粘膜炎を中心として、高頻度に歯科の問題が発生します。口腔内には肛門以上に細菌がいると言われる中、歯周病の問題や、義歯や歯肉の評価は、専門家が適切な管理をしないと良い状態に保たれないと思います。(歯周病を合併しやすい)糖尿病も、医科と歯科の連携が可能な部分です。

 当然ですが、医師や看護師は口腔の専門家でないので、ある意味見逃されてきました。そこに、歯科専門職が入って、診断をして適切な管理を実施し、より良い状態を維持するのが重要です。訪問診療でも病院での診療でも、患者には生活がありますから、(チーム医療の理念として)患者中心の視点で捉えていくことが重要だと思います。病気の治療が発展して、長寿になったのは良いですが、QOLの観点から改めて医療の現場は問われているのかもしれません。その新しい一つの在り方が医科歯科連携ではないかと思います。

――訪問診療は、どれくらいの歯科医療機関が実施しているのですか。

 2011年には、在宅訪問が13.8%で横ばい傾向、施設訪問は12.9%で増加傾向です。多くの歯科医師が、患者や家族、ケアマネジャーなどから求められて始めます。医科関係者からの依頼は、現時点では、あまりない状況です。2010年度の診療報酬改定で、「在宅療養支援歯科診療所」が施設基準として認められたのを契機に、歯科医が外に出でる足がかりができていますが、こちらは5%強です。

 ただ、訪問診療といっても、歯科の診療所はほとんど小規模で、歯科医1人の診療所が8割を占め、歯科衛生士も1人しかいないような診療所も多く、訪問診療を実施しにくい側面は今も続いています。

――訪問診療以外には、どのような方向性があるのですか。

 施設への訪問診療に加え、病院の標榜科の問題もあります。現在、7000以上の一般病院があっても、歯科を標榜しているのは、2割程度です。標榜しなくても、歯科衛生士を配置している場合もありますが、いずれにせよ、歯科医師の診断が必須となります。

 そもそも、歯科の診療報酬点数は、医科と近い内容を実施しても、低い点数となっています。病院の経営の視点からすると、収益が上がらない「不採算部門」と言われていて、やはり病院での位置づけが進まなかったことがあるとみられ、最近5年間で歯科を標榜する病院は、2011年のデータ(編集部注:全病院の26.8%)からあまり増えていないのが実情です。ただ、糖尿病と歯周病の関係などが分かってきている中で、何より患者の幸せにつながる点を、忘れないでほしいと思います。

――病院は、口腔ケアの重要性を考えているのでしょうか。

 従来、病院歯科のメーンは、口腔咽頭の疾患を治療する「口腔外科」でした。現在では、治療実績を上げるための入院患者の口腔ケア管理が求められているのが新たな役割だと思います。

 口腔外科医は、口腔内の疾患についての、「治療の専門家」としての側面が強い場合もあり、なかなか口腔ケアについての理解が進んでこなかった面があります。また、病院における歯科のマンパワーの問題もあります。歯科が1人しかいない病院では、院内の歯科診療室にいて、訪問してくる患者を診ざるを得ず、病棟で何かするのは難しいでしょう。

 歯科医師が2人いたり、歯科衛生士が病棟業務をこなすようなことが可能かもしれませんが、日本歯科医師会は、開業医の団体でしたので、あまり病院歯科の在り方を検討する場がなかったのが事実です。日歯の中で、病院歯科の在り方を検討する場ができ、現在検討を進めています。口腔ケアの重要性を病院の人に理解してもらう途上にあると言えます。

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