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高齢者 歯の喪失、体重減少に影響 19本以下、栄養取れず死亡や要介護も 東海学園大など初の調査

定期検診や治療不可欠

 歯が19本以下の高齢者は、20本以上の人に比べ、体重減少した人が約25%多いことが、東海学園大や愛知学院大などの共同研究で分かった。高齢者の大規模な歯の喪失状況と体重などの関連を調べた調査は初めてといい、研究グループは「高齢者がやせることは、死亡や要介護の危険性を高めるため、定期的な歯科検診や歯の治療などが必要だ」などと訴えている。

 研究グループによると、全国の65歳以上の男女約10万人の歯の残存数や食品の取り方、体重などとの関連について2010年に調べた。その結果、通常28本ある歯のうち、男女とも19本以下の人は約3分の2に上り、さらに、調査時から6カ月間で体重が2~3キロ減った人は、20本以上の人に比べ、19本以下の人は男性で25%、女性は24%多かった。歯を失ったことで、十分に食事が取れていないためだという。

 研究グループは「高齢期にやせることのないように、適切な口腔(こうくう)ケアを行い、歯を失わないようにしてほしい。また、既に残存歯が少ない場合は、調理法などを工夫するなどして、必要な栄養を取れるよう心がけることが大切だ」などと指摘している。

 研究グループはさらに追跡調査を行い、歯の喪失が体重の減少や要介護に及ぼす影響を調べていくとしている。

日本歯科医師会 「在宅医療進めたい」 新潟県内初の会長、堀氏が知事に就任報告

県内で初めて日本歯科医師会長に就任した堀憲郎会長(63)=長岡市=が26日、県庁を訪れ、泉田裕彦知事に会長就任を報告した。

 堀会長は同会常務理事などを経て3月に就任。中越地震での経験を生かし、熊本地震の被災地で高齢者の口腔(こうくう)ケアを行ったという。高齢化社会での歯科の役割に関し、堀会長は「個人経営が9割を占めているためハードルは高いが、診療所同士が支え合う仕組みを作るなどして、在宅医療を進めたい」と意欲を語った。

くらしナビ・子育て・親子:歯科検診、生活見直す教材に

新学期が始まり、小中学校で健康診断のシーズンを迎えた。ただ、歯科検診で「問題なし」と言われても、歯科医院で虫歯が見つかることがあるという。なかったはずの虫歯が、なぜ見つかるのか。

 埼玉県朝霞市立第八小学校であった歯科検診を訪ねた。「歯列0……6番がCO(虫歯になりかかっている歯)……」。校医を含む4人の歯科医が、3~5年生の児童を次々と診ていく。その数500人以上。あごを触って口の開け閉めの状態を確認、口の中はミラーで視診して、1人約1分のペースだ。

 ●診察とは別物

 「学校での歯科検診と、かかりつけ歯科医が行う検診(診察)は別物」。こう断言するのは、日本学校歯科医会の丸山進一郎会長だ。自身も東京都内と埼玉県で開業する傍ら、校医として30年以上、歯科検診に関わってきた。

 学校検診では、歯科医が▽0=健康▽1=要観察▽2=要治療の3段階にスクリーニング(ふるい分け)している。学校生活に支障のあるレベルの虫歯などを見つけて、専門医への受診を促す。「専用の照明器具も椅子もレントゲン設備もない。医院とは異なる環境でも、可能な限り丁寧に診ている」(丸山会長)というが、おのずと限界はある。小さな虫歯を見落とすことも、逆に虫歯でない歯がそう見えてしまうこともあり得るのだ。

 東京都内の歯科医は▽学校の検診で「問題なし」だった子どもを、直後に診て虫歯が見つかった▽逆に「要治療」だったが、食事や歯磨きの指導で虫歯への進行を食い止められるレベルだった、という両方のケースを経験している。

 ●自分で守る意識を

 歯科検診は従来、歯を探針と呼ばれる金属製の器具でつつくなど虫歯発見に重点を置いていたが、1995年度からスクリーニング法に切り替えた。予防への関心が高まり、子どもの虫歯が激減したことがきっかけだ。文部科学省の学校保健統計調査によると、84年度に1人平均4・75本あった12歳の永久歯の虫歯等の数は、昨年度は平均0・90本まで減っている。

 丸山会長によると、現在の歯科検診は保健教育の一環として位置づけられ、結果は歯磨きや食生活などを見直すための「教材」になっている。朝霞市立第八小で養護を担当する酒巻聖美教諭は「以前は低学年対象だった歯磨き指導を、4年生で始めた。永久歯の数が増えてくる一方で、歯垢(しこう)や歯肉の状態が悪くなる時期だからだ。検診以外でも歯の健康を意識してもらえるよう取り組んでいる」と話す。

 歯科検診の結果はこれまで、要観察と要治療の子どもだけに知らされることが多かった。文科省は今年度から、検診結果が「0」だった子も含め全児童生徒に「検診結果のお知らせ」を配り、きめ細かく周知することにした。

 丸山会長は「学校検診は、歯科医が虫歯を確実に発見したり、1年に1度『お墨付き』を与えたりする機会ではない。結果が良好であっても、保護者は定期的に歯科医院に連れていき、子どもたちに『自分の健康は自分で守る』意識を育ててほしい」と訴える。

 ●保護者、関心二極化

 小児歯科専門医院「レオーネキッズデンタルクリニック」(東京都荒川区)の荻原栄和院長は、かかりつけ歯科医院を持つメリットについて「設備が整っているぶん、より細かい異常を見つけられる。保護者に直接説明できる意義も大きい」と説明する。

 「乳歯の生え変わりが遅い」「口臭が気になる」といった心配事を相談し、その場で答えてもらうことは保護者の安心につながる。前回のレントゲン写真と比較して、治療の進み具合や永久歯の生え方などを確認できるのも、継続して同じ歯科医院に通う良さだ。荻原院長のクリニックの初診の平均年齢は3歳。早い子は離乳食指導を受けるため0歳から通うという。

 一方で荻原院長が気になるのは、学校検診で「要治療」のお知らせをもらっても歯科に行かない子どもたちの存在だ。「区内の学校検診を担当しているが、各学年で2、3人ほどは受診していない印象がある。子どもの口内について保護者の関心の度合いも二極化しているようだ」と危惧し、「予防のためには年3~4回、虫歯の有無を確認するためには最低年2回、歯科医院を受診してほしい」と呼びかけている。

歯磨き、ゲーム感覚で スマホ連動 サンスター

サンスターは18日から、歯ブラシに付けて、歯磨きの動きに合わせてスマートフォンでゲームや音楽などが楽しめる器具「G・U・M PLAY(ガム プレイ)」を売り出す。正しい磨き方を習慣づけられる器具で、歯磨き嫌いの子どもだけでなく、大人も楽しめる。

 歯ブラシの動きや強さを感知する加速度センサーを内蔵。センサーと、専用アプリ(無料)をダウンロードしたスマホが連動する。歯ブラシの持ち手を差し込んで使う。ゲーム感覚で歯磨きできるアプリでは、画面の右下にモンスターが現れた場合は自分の右の奥歯側を磨くことで倒せる。価格は税抜き5千円(推奨の歯ブラシ付き)。専用サイト(http://gumplay.jp)で購入でき先行予約を受け付け中だ。

唾液管内視鏡手術が唾液腺炎を改善

慢性閉塞性唾液腺炎患者40例(54腺)を対象に、唾液管内視鏡補助下唾液管手術(SASDS)の症状改善効果を前向きコホート研究で検証。慢性閉塞性唾液腺炎症状(COSS)質問票の平均スコアは、術前の36.1点から術後3カ月時には13.5点に改善した(P<0.001)。なかでも、唾石症関連唾液腺炎患者は、放射性あるいは炎症関連疾患患者に比べ術後COSSスコアの改善が大きかった。SF-8 QOLスコアでは手術前後の有意差はなかった。

神奈川歯科大・県歯科医師会 地域社会発展へ協定

 神奈川歯科大学(横須賀市稲岡町)と県歯科医師会(横浜市中区)は12日、災害対策や地域医療、保健・福祉、学術研究、人材育成など多岐にわたる分野で協力する包括連携協定に調印した。

 地域社会の発展に寄与するのが目的で、さまざまな分野で両者の社会的役割や資源などを有効活用し、連携・協力するというもの。具体的な連携事業を実施する場合、さらに個別に協定書を交わす。

 同大学は、東日本大震災でボランティア歯科医師や歯科診療車を派遣し、身元確認や被災者の歯科診療を支援。災害医療歯科学講座も設けて人材育成に努めている一方、高齢者向けの訪問歯科診療にも力を入れ、地域に根ざした口腔(こうくう)ケアの拠点を目指している。

 調印式では、県歯科医師会の鈴木駿介会長と平田幸夫・同大学長が協定書に署名した。平田学長は「地域に密着した歯科医師会との連携で、県民の長寿、健康維持にさらに貢献していきたい」と話した。

神奈川歯科大・県歯科医師会 地域社会発展へ協定

神奈川歯科大学(横須賀市稲岡町)と県歯科医師会(横浜市中区)は12日、災害対策や地域医療、保健・福祉、学術研究、人材育成など多岐にわたる分野で協力する包括連携協定に調印した。

 地域社会の発展に寄与するのが目的で、さまざまな分野で両者の社会的役割や資源などを有効活用し、連携・協力するというもの。具体的な連携事業を実施する場合、さらに個別に協定書を交わす。

 同大学は、東日本大震災でボランティア歯科医師や歯科診療車を派遣し、身元確認や被災者の歯科診療を支援。災害医療歯科学講座も設けて人材育成に努めている一方、高齢者向けの訪問歯科診療にも力を入れ、地域に根ざした口腔(こうくう)ケアの拠点を目指している。

 調印式では、県歯科医師会の鈴木駿介会長と平田幸夫・同大学長が協定書に署名した。平田学長は「地域に密着した歯科医師会との連携で、県民の長寿、健康維持にさらに貢献していきたい」と話した。

「かかりつけ歯科医」を制度化へ、歯周病重症化を予防

厚生労働省は4月から、「かかりつけ歯科医」制度を設ける。高齢者への対応や医師との連携などで一定の条件を満たした歯科医が、患者を継続的に診る場合の診療報酬を手厚くし、歯周病や虫歯の重症化予防を進めたい考えだ。

 厚労省によると、50歳以上では約半数の人が歯周病が原因で抜歯。歯周病は一時的に治療しても、定期的に通院しないことによってまた悪化し、抜歯につながるリスクが高まるという研究結果もある。厚労省は、高齢者の口の管理について研修を受け、在宅医療を担う医師らと連携するなどの条件を満たしたかかりつけ歯科医が原則月1回、歯周病の検査や治療を実施した場合の報酬を手厚くする。基本的な歯周病治療を終えた患者に対する継続的な検査や治療につなげてもらう。

 また近年の研究で、初期の虫歯はフッ素を歯の表面に塗る処置によって修復できることが分かってきた。2~18歳の患者を対象にした研究で、継続的な通院が虫歯の発症を抑えるという結果も出ている。かかりつけ歯科医が原則月1回、フッ素の塗布や歯の清掃などを行えば、高い報酬を払う仕組みを新設した。

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