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70代認知症「6%減」 初の数値目標、25年まで 政府、新大綱に明記へ

 政府は、認知症の人数を抑制するための数値目標を初めて設定する方針を固めた。数値目標は2025年までの6年間に、70代の人口に占める認知症の人の割合を6%減らす案で調整している。予防を推進し、発症する年齢を遅らせることで社会保障費の増加を防ぐのが狙い。今夏、新たに策定する認知症の大綱に明記する方針だ。関係者が15日、明らかにした。

 政府は16日に専門家らの有識者会議を開催し、数値目標の案を示す。

 25年には65歳以上の5人に1人に当たる約700万人が認知症になるとの推計がある。これまでの政策は、認知症になっても自分らしく暮らせる社会を目指す「共生」を柱としてきたが、認知症の「予防」にも力点を置く。

 具体的には、運動や社会参加が予防につながる可能性があるとして、公民館など身近な地域の運動教室の普及などを想定している。ただ、認知症の予防策に関する科学的な根拠は不十分なため、研究も同時に進める。

 認知症の政策では、政府は15年に国家戦略(新オレンジプラン)を策定し、市民サポーターの養成など認知症の人の生活を支える施策を進めてきた。25年には、団塊世代全員が75歳以上の後期高齢者となるため、取り組みを強化する。大綱が新オレンジプランに代わる形で、各省庁ごとに施策の数値目標を盛り込み、今夏、菅義偉官房長官を議長とした関係閣僚会議で決定する。

 ※認知症

 脳の細胞が死んだり働きが悪くなったりすることで、物忘れや妄想、ひとり歩きなどの症状が出て日常生活に支障がある状態。アルツハイマー病や、脳梗塞などが原因で起こる血管性認知症といったさまざまなタイプがあり、根本的な治療法は確立されていない。65歳未満で発症する若年性認知症の人もいる。世界的にも認知症は重要な社会問題と捉えられ、米国やイギリス、フランスでも国家戦略の策定など、取り組みが進んでいる。

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