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ALS患者ら、介護行政の遅れ指摘 在宅生活支援のNPO、シンポジウム

全身の筋力が低下する難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症」(ALS)の患者の在宅生活を支援するNPO法人「リターンホーム」が、千葉市でシンポジウム「進化する介護in千葉」を今月開き、介護関係者や識者、ALS患者やその家族らが活発に意見交換した。
ALS患者には、痰(たん)の吸引や呼吸器具使用など医療的ケアを伴う24時間の見守り介護が必要だが、障害者自立支援法の定める「重度訪問介護事業」を引き受ける事業所は少ない。このため患者が地域生活を送るのは難しく、長期入院を強いられるケースが大半だ。
父親が今年ALSを発症した県内の男性は「父は呼吸器を付け命ある限り生きたいと願っているが、家族介護には限界がある」と悩みを吐露した。
討論では、立命館大の立岩真也教授(社会学)が「難病患者に必要な介護保険法と障害者自立支援法の両方を熟知する人材は圧倒的に少ない。地域差もあり、千葉は遅れている」と指摘。介護事業所代表の伊藤佳世子さんは「県内で在宅24時間介護が実現したのは千葉市など3市のみ。自治体の裁量次第だが、担当者には家族が介護すべきだとの考え方が根強い」と介護行政に疑問を表明した。【中川聡子】
2010年10月13日 提供:毎日新聞社

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