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レセプトは“金券”です【審査委員のホンネ】

衝撃を受けたベテラン審査委員の言葉
 私がレセプト審査を担当して間もない頃に、ベテラン審査委員の先輩がおっしゃった言葉があります。「レセプトは金券です。このレセプトが何万円、何十万円、何百万円の価値を持ちます。提出する側も審査する側も覚悟を持って取り扱う必要があります」。 私は、この言葉にかなりの衝撃を受けました。

 それまでは、レセプトを提出する側のことしか知りませんでした。「現場を知らない、現役を引退した頭の硬い爺さんたちが審査をしているのだろう」や「現場は忙しいのだから、少しくらい多めに見て修正なども認めてくれても良いのに」などと思っていたものです。

“現役バリバリ”の医師が審査委員の大多数
 しかし、実際に審査する側になってみると、予想に反し“現役バリバリ”の医師が審査委員の大多数を占めていました。取りまとめをなさる先生は、さすがにベテランの先生でしたが、知識のアップデートを継続されており、感心するとともに自分を恥いることも多かったです。

 私が審査を担当するレセプトは、1万2000~1万5000件/月ほどあります。事務職員も事前にチェックしてくださっていますが、それでも通常の勤務終了後や休日などを利用しながら審査を行っています。そのような状況ですので、安易な修正の受付をする余裕はありません。

 審査する側も真剣に取り組んでおりますので、提出する側も「少しくらいのことなら多めに見てほしい」などと考えずに、きちんとしたレセプトを提出していただきたいと思います。

2型糖尿病患者のNSAID、心不全による入院リスクと関連

1998-2021年のデンマークのデータベースを用いて2型糖尿病と診断された患者33万1189例を特定し、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)短期間の使用が心不全の新規発症と関連するという仮説を立てて検証した。診断の120日以内に心不全、リウマチ性疾患、およびNSAIDの使用がない患者を分析対象とした。

 その結果、NSAIDの短期使用が、心不全の入院リスク増加と関連した(オッズ比1.43、95%CI 1.27-1.63)。特に80歳以上の高齢者(同1.78、1.39-2.28)、HbA1c高値に対して糖尿病治療薬の使用なしまたは1種類のみの使用者(同1.68、1.00-2.88)、NSAID新規使用(同2.71、1.78-4.23)で入院リスクが高かった。

【原文を読む】
Holt A, et al. Heart Failure Following Anti-Inflammatory Medications in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus. J Am Coll Cardiol. 2023; 81: 1459-1470.

新型コロナに罹ったら何日休む?

5類移行後、新型コロナに罹ったら外出できないの?

 新型コロナに感染しても法律に基づく外出自粛は求められません。外出を控えるかどうかは、個人で判断することになります。ただ、その判断の目安として、厚生労働省は発症日を0日目として5日目までは外出を控えることを推奨しています。症状が続く場合は、軽快から24時間は控えるよう呼びかけています。検査による陰性証明は必要ありません。

ウイルスは変わらないのに大丈夫?

 厚労省は国立感染症研究所のデータなどから、「発症2日前から発症後7~10日間は感染性のウイルスを排出している」として、発症後10日目までは不織布マスクを着用するなど、周りに拡げないための配慮を求めています。高齢者らリスクの高い人との接触も控えるよう呼びかけています。

濃厚接触者はどうすればいい?

 保健所などが濃厚接触者を特定し外出自粛を要請することも基本的にはなくなります。ただ、厚労省は同居家族らが発症した場合は7日間は高齢者らとの接触を控えるよう推奨しています。

 また、季節性インフルエンザなどと同様に、医療機関や高齢者施設で感染が広がった場合は、今後も疫学調査が行われる可能性があります。

Chat-GPTが第117回医師国試で合格点

株式会社MICINは4月25日、金沢大学医学類の学生および同大融合研究域融合科学系の野村章洋准教授らの研究グループと共に実施した研究に関する成果を報告する論文をオンラインで公開したことを発表した(詳細については論文を参照)。

 この研究は、2023年2月に実施された第117回医師国家試験の画像なし問題262問を、昨今注目を集める生成AIによる対話型サービス「Chat-GPT」のGPT-3.5およびGPT-4に解かせるという内容だ。

 その結果、Chat-GPT(GPT-4)は必修問題(合格最低ラインは80.0%)で82.7%、基礎・臨床問題(合格最低ラインは74.6%)で77.2%のスコアを獲得し、合格最低ラインを満たした。

 研究グループは第117回医師国家試験の問題を解かせる前に、まずは第116回医師国試の画像なし問題を用いて入力プロンプト(Chat-GPTから解答を得るための指示文)を検討し、GPT-3.5を用いた第116回医師国試の当初の検証では52.8%という正答率を得た。

 その後、プロンプトを平易な英語に翻訳した上で要約をすることや、基礎・臨床といった質問タイプごとにプロンプトをチューニングするといった調整を行うことで、正答率が向上した。

 こうした調整を経て、第117回医師国家試験の問題を解かせた結果、262問中206問で正解した。必修問題と基礎・臨床問題ともに、合格最低ラインを満たした。

 研究グループは不正解となった56問について、なぜ不正解となったのか要因を分析している。その結果、不正解となった56問のうち33問(58.9%)では「医学知識の不足」が、17問(30.4%)では「日本特有の医療制度情報」が、4問(7.1%)では「数学的誤り」が要因となっていたことが分かった。

 論文において研究グループは「医学の文脈において時代遅れ、決定的に間違っている解答もあった」としたほか、「医療保険分野における日本の薬事法、厚労省の指導、ガイドライン、公衆衛生に関する問題についてChat-GPTは適切に答えることができなかった」としている。

従業員にマスク着用求めず ローソン、5類移行で

ローソンは25日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月8日から5類に引き下げられることに合わせ、従業員のマスク着用を「推奨」から「個人の判断」と変更し、求めないと発表した。レジに設置しているビニールカーテンや入店時のアルコール消毒も不要とする。

 マスク着用を巡っては3月、政府が原則として個人の判断に委ねるとしたことを受け、顧客には求めないこととし、店舗従業員には「励行」から推奨へと変更していた。

障害児の健康づくり尽力 医療功労賞を受賞、郡山の岡本さん

 地域医療や保健福祉に長年尽力した人に贈られる「第51回医療功労賞」の中央(全国)表彰を受けた元県作業療法士会長の岡本宏二さん(62)=郡山市、ふくしまをリハビリで元気にする会理事長=は19日、県庁を訪れ佐藤宏隆副知事に会い、「みなさんの期待に応えられるように活動を続けてきた」と、これまでの取り組みについて語った。

 岡本さんは作業療法士として、県内の病院で病気やけがをした人のリハビリを担ってきた。東京電力福島第1原発事故が発生し屋外での遊びが制限されるようになると、県内各地の体育館などを利用して発達障害児らに屋内での遊びの機会を提供する「あしかの遊びの会」の活動を展開し、子どもの健全育成に尽くした。

 岡本さんは「私たちが子どもたちから元気をもらった面もある。もっとできることを増やしていきたい」と話した。佐藤副知事は「県民の健康づくりをどう進めるかが大きな課題となっている。子どもの頃から健康づくりの意識を高めていただいた」と活動をたたえた。

検温・消毒液は事業者判断 コロナ5類移行後、厚労省

厚生労働省は31日、新型コロナウイルス感染症の5類移行後の基本的な感染対策の考え方を示した。事業者に対しては入り口での検温や消毒液の設置を、政府として一律に求めることはしない。加藤勝信厚労相は同日の閣議後記者会見で「要否をそれぞれで判断してほしい」と述べた。

 考え方では、アクリルなどでできたパーティションの設置、検温、消毒液は、効果や手間を勘案し事業者が判断するものとした。手洗いや換気などの基本的な対策は、政府として一律には求めないものの引き続き有効だとし、流行期には高齢者など重症化リスクが高い人の3密(密閉、密集、密接)回避やマスク着用が効果的だとした。

 政府の基本的対処方針や各業界が策定している感染対策のガイドラインは5類移行に伴い廃止されるが、業界が必要と判断すれば独自に作成してもよいとしている。

 加藤氏は「マスクと同様、個人や事業者が判断するのが基本だ」と話した。

 新型コロナは5月8日に感染症法上の5類へ移行する。マスク着用は3月13日から個人の判断に委ねられているが、厚労省は混雑した電車内や医療機関などを訪れる際には着用を推奨している。

食べる速度が速い...「メタボ高リスク」です 福島県と医大分析

県と福島医大健康増進センターは28日、県民の生活習慣とメタボリックシンドロームとの関連についての解析で、「食べる速度が速い」「朝食を抜く」「毎日1合以上の飲酒」「習慣的な喫煙」がある人は、ない人に比べて5年後にメタボに該当するリスクが高まる傾向にあったと発表した。県は「食べ方の意識付けや、喫煙の健康影響などに関する普及啓発を進めていく」(健康づくり推進課)としている。

 解析は「県版健康データベース」事業の一環として、2015年度と20年度の特定健診データを活用。15年度に特定健診を受診しメタボに該当しなかった40~69歳のうち、20年度も特定健診を受診した9万9271人を調査した。「就寝2時間前の夕食」「運動習慣なし」など、八つの生活習慣の有無がメタボに関連するかを調べた。

 解析結果によると、対象者のうち11.5%が20年度にメタボに該当。リスクが高まる傾向が現れた四つの生活習慣の中でも特に喫煙による影響は大きく、喫煙がなければリスクを4.1%抑制できる結果になったという。

 県によると、先行研究では、特に食べる速度が速いことについてメタボや肥満との関連が示されているという。このため県は、食や禁煙方法などの各種啓発活動を通し、県民の健康指標改善を目指すとしている。

 このほか、特定健診を活用した特定保健指導の効果についても解析。指導を受けた人の体格指数(BMI)や胸囲といったメタボの構成因子が改善しやすいなど、個人への効果がみられるとの結果が出た。また、市町村別で分析した地域への効果については、指導の実施率との関連は見られなかったという。県は「県民の健康行動につながりやすい取り組みや環境整備を進めていく」としている。

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