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静岡県民の歯科受診半数以下 静岡県と社会健康医学大学院大が分析

静岡県と静岡社会健康医学大学院大(静岡市葵区)は国民健康保険の特定健診や医療、介護の情報を保管する「国保データベース」を活用し、歯科口腔(こうくう)の健康課題に関する分析結果をまとめた。1年間に歯科を受診した県民は半数以下にとどまり、糖尿病患者の受診割合はそうでない人に比べて低いことが判明。年代別や地域別のデータを県や市町の施策に生かし、受診率の向上を促す。

 匿名化された静岡県内の被保険者約200万人のビッグデータから重複事例などを整理し、2015~19年度の5年分を解析した。

 19年度に1回以上歯科を受診した人の割合は46・0%で、15年度の42・3%から年々増加した。19年度の受診割合は男性43・6%、女性47・9%。年代別は20代が21・6%で最も低く、70代が54・3%で最も高かった。

 40歳以上の歯科受診割合を地域別にみると、藤枝市が52・8%で最も高く、浜松市、湖西市、清水町、長泉町も50%を超えた。伊豆は受診割合が低い市町が多く、最も低い松崎町は30・0%にとどまった。市町の比較については「人口10万人当たりの歯科医師数や所得情報なども考慮した解析が必要」と指摘した。

 糖尿病患者の受診割合は男性44・1%、女性45・9%で、糖尿病でない人より男性で1・7ポイント、女性で4・1ポイント低かった。そしゃく状態についても分析したところ、「ほとんどかめない」と回答した人は歯科受診割合が低いことも分かったという。

 分析結果は県の次期歯科保健計画に反映させるほか、市町とも共有する。歯と口の健康は全身の病気リスクに影響するとされ、報告書では「歯の数と寿命」「歯周病と循環器疾患」「口腔の健康と認知症」などをテーマにしたエビデンス(根拠)コラム集も掲載した。

 データ分析を取りまとめた同大学院大の佐藤洋子講師(医療統計学・歯科学)は「定期的な歯科受診によって歯と口の健康を保つことができる。年代別や地域別に受診割合を向上させるための対策を進めることで、健康寿命の延伸につなげたい」と話す。

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