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尿中ビスフェノールA(bisphenol A:BPA)と自閉症症状について

Prenatal exposure to bisphenol A and autistic- and ADHD-related symptoms in children aged 2 and 5 years from the Odense Child Cohort.

Environ Health. 2021; 20: 24.

 Hansenらは、デンマーク・オーデンセ市の児童コホートを用いて、胎児の母胎内でのBPA暴露と出生後の精神症状について調査しました。対象は、2010-12年に妊娠16週前に妊娠の診断を受けた女性のうち、研究への同意が得られた2874例で、妊娠26-34週の尿中BPA濃度を測定しました。

 出生児の精神症状は、2歳時と5歳時に子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist:CBCL)を用いて評価しました。CBCLにはDSMの自閉症の診断基準に関連する13の質問項目があり、各質問に「0:当てはまらない、1:やや当てはまる、2:当てはまる」で回答するため、自閉症得点として0-26点の点数が付けられます。

 その結果、658例から尿検体と2歳時のCBCL回答が得られ、427例から尿検体と5歳時のCBCL回答が得られました。尿検体の85.3%からBPAが検出され、中央値は1.2ng/mLでした。妊娠中の母親の尿中BPA濃度によって対象児を3群に分けると、尿中BPA濃度が最も高い上位1/3のグループは、最も低い下位1/3のグループに比べ、5歳時の自閉症得点が23%高くなりましたが、P=0.07で、傾向は見られたものの有意差は認められませんでした。また、BPA濃度上位1/3のグループは、下位1/3のグループと比べ、自閉症得点の上位1/4に入るリスクが1.80倍高くなりました(P=0.06)。

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