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舌炎【私の治療】

加藤 宏 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)
舌炎には、萎縮をきたす舌炎と、構造に異常をきたす舌炎がある。前者には、①萎縮性カンジダ症に伴う正中菱形舌炎、②口腔乾燥症に伴う舌炎、③鉄欠乏性貧血(Plummer-Vinson症候群)に伴う舌炎、④悪性貧血に伴うHunter舌炎がある。後者には、地図状舌と溝状舌がある(「地図状舌・溝状舌」の稿参照)。ここでは萎縮をきたす4つの舌炎のうち、①および②について解説する(③および④は「赤色平滑舌」の稿参照)。

診断のポイント
【萎縮性カンジダ症に伴う正中菱形舌炎】

 舌背中央~後方部、分界溝前方に左右対称性の赤みを帯びた斑を呈する。自覚症状は乏しく、時に軽度の疼痛や違和感を認める。病変部の糸状乳頭の消失が特徴である。

【口腔乾燥症に伴う舌炎】

 唾液分泌量低下に伴う舌の乾燥感や疼痛、唾液の粘稠感、口腔不快感、味覚異常、口臭を呈する。口腔乾燥症の検査にはサクソンテストとガムテストがある。サクソンテストは、乾燥したガーゼを2分間一定の速度で噛み、ガーゼに吸収される唾液の重量を測定し、2 g/2分間以下で陽性と診断する。ガムテストは無味のガムを10分間噛み、その間に分泌された唾液を小容器に集めて測定し、10 mL/10分間以下の場合、陽性と診断する。

私の治療方針・処方の組み立て方
【萎縮性カンジダ症に伴う正中菱形舌炎】

 無症候性の場合は加療の必要はなく、疼痛などを認める場合は対症療法として含嗽薬、トローチを使用する。カンジダ培養検査にて陽性の場合は抗真菌薬を併用する。

【口腔乾燥症に伴う舌炎】

 シェーグレン症候群、糖尿病、薬剤性などの全身的要因が考えられる場合は専門医へ相談し、原因疾患の治療や内服薬の変更を依頼する。器質的疾患がないものについては含嗽薬、保湿ケア、人工唾液、唾液腺マッサージによる対症療法を行い、改善がみられない場合は漢方や唾液分泌促進薬の投薬を行う。

治療の実際
【萎縮性カンジダ症に伴う正中菱形舌炎】

一手目 :アズノール4%うがい液(アズレンスルホン酸ナトリウム水和物)1回4~6 mg(1回押し切り分、または5~7滴)1日数回〔適量(約100 mL)の水または微温湯に溶解し、含嗽〕

二手目 :〈一手目に追加〉SPトローチ0.25 mg(デカリニウム塩化物)1回1錠1日6回

【カンジダ菌が同定された場合】

一手目 :フロリードゲル2%経口用(ミコナゾール)1回2.5~5.0 g 1日4回(毎食後・就寝前)

二手目 :〈処方変更〉ファンギゾンシロップ(アムホテリシンB)1回0.5~1.0 mL 1日2~4回

三手目 :〈処方変更〉イトリゾール1%内用液(イトラコナゾール)1回20 mL 1日1回(空腹時)

【口腔乾燥症に伴う舌炎】

一手目 :アズノール4%うがい液1回4~6 mg(1回押し切り分、または5~7滴)1日数回〔適量(約100 mL)の水または微温湯に溶解し、含嗽〕

二手目 :〈一手目に追加〉バイオディーンオーラルバランスジェル(口内保湿ジェル。天然酵素ラクトペルオキシダーゼ・グルコースオキシダーゼ・リゾチーム)1回1 cm 1日4回(毎食後・就寝前)

三手目 :〈二手目に追加〉サリベートエアゾール(塩化ナトリウム・塩化カリウム・塩化カルシウム水和物・塩化マグネシウム・リン酸二カリウム等)1回1~2秒間1日4~5回(噴霧)

四手目 :〈三手目に追加〉ツムラ白虎加人参湯エキス顆粒1日9 g 分2~3(食前または食間)、またはツムラ五苓散エキス顆粒1日7.5 g 分2~3(食前または食間)

五手目 :〈処方変更〉サラジェン5 mg錠(ピロカルピン塩酸塩)1回1錠1日3回(毎食後)、またはサリグレン30 mgカプセル(セビメリン塩酸塩水和物)1回1カプセル1日3回(毎食後)

コーヒーとアミロイドβ

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☕はアミロイドβ(Aβ)の蓄積を遅らせる。世界の大手製薬会社がアルツハイマー病(AD)治療薬から撤退する中、㈱エーザイの新薬(BAN2401:アデュカヌマブ)をFDAが承認して、現在日本でも審査中。効能は「Aβの蓄積を遅らせる」。今回の論文は、認知力正常な227人(>65歳)を10年間追跡し、☕1日摂取量が3杯以上の群で、Aβ蓄積量CL=3.7を観察しました(図の右端)。☕博士:CLとは、健康成人での蓄積レベルを0、典型的なアルツハイマー病の蓄積レベルを100として、症例ごとのスケールを表示する方法。別途、BAN2401 の18ヶ月投与では5.5となっています。数値的には、☕とBAN2401 は同等です。

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