記事一覧

【6月13日放送】ガッテン! せきが止まらない!歯が溶ける!犯人はまさかの“胃”!?

日本人の体に異変!?“新型の胸やけ”とは?
 テーマは「胃酸」。胃酸によって起きる胸やけなど逆流性食道炎の患者が急増していて40年で9倍になっている。

 「胸やけはどのように起きる?」というクイズが出された。人工の胃液に肉を入れるとどんどん分解していく。食べ物に反応して胃液(胃酸)は出てくる。胃酸が噴門を抜けて上がってしまうことを胸やけという。被験者にバリウムを飲んでもらい、横になってげっぷをした時の映像。げっぷの瞬間に噴門から逆流していた。胃は粘膜があり胃酸でダメージを受けないが食道は傷ついてしまうことがありこれが逆流性食道炎。「負の胃酸」の影響は胸やけ以外にもある。

意外に気づかない胃酸のトラブル
 田路カズヤさんは4年前、一度始まると止まらない咳の症状があった。原因は胃酸の逆流と診断された。田路さんは「胸やけなどは一切感じなかった」と話した。小湊俊幸さんは6年前、胃酸が原因で上側の前歯を全て失ってしまった。食事中にかみ合わせが悪くなったことに気づき、歯医者で歯が溶けてボロボロになっていると診断され入れ歯にした。名古屋大学の曾根三千彦教授は難治性の中耳炎の患者の鼓膜の中の液体を分析すると、胃液の代表的な成分「ペプシノーゲン」がたまっていた。胃酸の逆流でまれに耳や口の症状が出ると考えられている。胸やけだけでなく胃酸が起こす様々な症状が注目されている。胃酸の逆流が起きても気づかない場合もある。安全な濃度の胃液を人の食道に少量入れる検査実験の映像。実験した男性は「喉に何かつまる感じがした」と話したが、別の男性は「何も感じなかった」と話した。食道の感覚には個人差があり胸やけがないままほかの症状が出る人も。胃酸が引き起こす症状は吐き気、咳、喉の違和感など様々である。

胃酸の逆流 こうして“被害”が広がる
 ディレクターが治療で抜いた親知らずを人工の胃液に3時間つける実験をすると歯はボロボロになった。重度の逆流が続くと歯がダメージを受ける場合も。島根大学医学部の角昇平医師が最新の実験を行った。縦軸8チャンネルpHセンサーカテーテルを使用し食後に産生される胃酸の分布を調べる。センサーを鼻から胃に入れて食事をすると食べ物の上に胃酸の層ができているのがわかった。胃酸を出す細胞は胃の上のほうにだけ分布し、上から胃酸が出るので食後すぐ逆流が起きると大きな被害が出る。

日本人の胃は今!?胃の研究200年
 胃の研究に貢献した“胃人”たちを紹介。アレクシス・サンマルタンさんは事故で胃と体の外がつながってしまい、医師が穴から食べ物を入れ食べ物の種類やそのときの気分で胃液の出方が変わるとわかった。バリー・ジェームズ・マーシャルさんは自らピロリ菌を飲み胃炎が起きたことを確認した。マーシャルさんと共同研究者のウォレンさんは2005年ノーベル医学・生理学賞を受賞。

胃酸が逆流しやすい!?現代の日本人
 岡山県の川崎医科大学付属病院の春間賢特任教授が胃酸の逆流しやすくなった理由を教えてくれた。春間先生が大切にしているのが胃酸を出す細胞の標本。胃酸を分泌する細胞の数が40年間で増えていることに気がついた。現代の日本人は40年前と比べると1.35倍になり胃酸を出す力も上がっているという。多くの調査から胃酸逆流の背景に胃酸の増加があることがわかってきた。細胞が増えた理由は戦後、肉を食べる量が増えたことで消化のために多くの胃液が必要になったため。日本人の1日の胃液の量は推定2~3リットル。ピロリ菌で荒れた胃は胃酸が少ない。かつての日本人はピロリ菌感染者が多く胃酸が少なかった。現代の日本人はピロリ菌感染者が少なく胃酸が多い。ピロリ菌は胃潰瘍や胃がんのリスクを大きく下げるので除去が勧められている。逆流性食道炎の人の割合はこの40年で9倍に増えている。春間さんは気づかない酸が悪さをする病気がまだまだ隠れている可能性があると話した。また肥満で胃が圧迫され胃酸が逆流しやすくなる。噴門はみぞおちにある。「胃酸逆流危険チェック」。肥満、猫背、大食い、ストレス、お酒、食べてすぐ横になるにひとつでも当てはまる人はちょっと注意。猫背だと胃に圧力がかかりやすいため。バリウムを飲んで横になると逆流が起きる。

こんなにある胃腸薬の種類
 市販の胃腸薬は400種類ぐらいある。「胃酸を抑える薬」と「総合薬」に分かれる。総合薬は胃の粘膜を保護したり痛みを和らげたり胃酸を出させるものなど。一時的な応急処置として使用し長期にわたって症状が取れない場合やひどい症状が出た場合は医療機関で検査を。

こうして防げ!胃酸のトラブル
 生活の中で胃酸を抑える一番の対策は食事内容。肉は大切なエネルギー源で特に高齢者には大事だが、食べ過ぎずバランスのよい食事を心がけが胃酸を抑える第一歩。「腹八分目」が大事で「食べてすぐ横になると牛になる」は逆流しやすくなるために言われていた。食生活を変えた効果は1か月程度で表れ始めると言われている。食べ過ぎた時に逆流を防ぐポイントは「枕を高くする」「食後30分は横にならない」。日本消化器病学会のガイドブックには上半身を寝た上げ方が載っている。枕の下に畳んだ毛布を敷いて角度を作ってもOK。オススメは10度以上の傾斜で厚手の毛布3~4枚重ねくらいが目安。春間先生は胃酸で困る状況を子どもたちに引き継がないようにできれば、日本人は生活習慣を見直す時期にきていると話した。

 胃酸の逆流に気づくチェック方。胸やけ、胃もたれ、頻繁に喉や口にすっぱいものがこみ上げる、げっぷが多くなる症状がよくある。食後1~2時間によく症状が出る人は胃酸の逆流の疑いあり。腹八分目などの食生活改善が必要。

過去ログ