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唾液と表情からストレス判定、閉鎖環境で実験

資生堂と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、閉鎖環境への滞在により、唾液中のストレスホルモン(コルチゾール)の日内リズムが乱れ、表情のゆがみ度が増すことを見いだしたと発表した。国際宇宙ステーション(ISS)を模したJAXAの設備で共同研究を行った。唾液と表情変化から、自身でストレス度を簡便に評価できる可能性につながるとみている。研究成果を生かし、資生堂はストレスが肌・体に与える影響に対応したトータル美容の開発、JAXAは宇宙飛行士のストレス評価手法の確立を目指す。

 JAXAでは、宇宙飛行士自身が簡易的・自律的にストレス状態を知るための指標を検討している。今回の研究はその一環として、実験条件を高度に統制できる筑波宇宙センターに設置された閉鎖環境適応訓練設備で実施した。資生堂はストレスと肌・免疫に関する知見を基に研究に加わった。

 ストレス評価指標の一つに用いたコルチゾールは日内リズムがあるとされ、実験では1日4回唾液を採取。閉鎖設備滞在直後と退出前日にリズムが乱れ、ストレス負荷度が増したことが分かった。設備退室後には滞在前の状態に戻っていたという。

 さらに、被験者が自身の顔を撮影することで表情の左右対称性などからゆがみの評価も行った。滞在中は通常時に比べ、ゆがみ度が有意に増していた。

 両者ではストレスを簡便に測定する手法は宇宙環境にとどまらず、日常生活への応用が期待できるとみている。資生堂では笑顔をカメラ機能で撮影・認証・数値化するアプリを展開中で、まずは表情のゆがみによるストレス判定も新たな機能として加えたい考え。

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