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乳幼児虫歯ゼロへタッグ 仙台市と東北大

乳幼児の虫歯ゼロを目指し、仙台市と東北大は新年度、歯科医や小児科医、保育所と連携して「3歳児カリエスフリー85プロジェクト」を始める。歯の生え始めから保護者への指導を強化し、2022年度には虫歯のない3歳児を全体の85%にまで増やす。仙台の子どもの虫歯率は政令市で最悪の水準にあり、関係機関がタッグを組んで汚名返上を期す。

 プロジェクトに参加するのは市、東北大大学院歯学研究科のほか、仙台歯科医師会、市保育所連合会、仙台小児科医会。

 福本敏東北大教授(小児歯科)は「乳歯の生え始めから適切なケアを行えば、乳幼児の虫歯は完全に抑えられる」と、関係機関が一丸となった早期予防の必要性を強調する。

 市は現在、1歳6カ月の健診で歯科の保健指導を実施している。この段階で既に虫歯のある乳幼児がいることから歯科指導を8、9カ月健診に前倒しする。対象は毎年約9000人。

 健診では歯の磨き方や食習慣の留意点、フッ化物塗布などの予防処置を紹介した「せんだい・でんたるノート」を配る。ノートには、小さい子どもが安心して受診できる協力歯科医約120カ所のリストも付けた。

 プロジェクトの開始を前に14年には、子どもの発達に応じた歯科保健指導のポイントをまとめたマニュアルを作成。市内の小児科医、歯科医、保育士を対象に研修会を開き、情報共有を図った。

 全国の政令市で虫歯がある3歳児の割合は平均16.6%(12年度)。仙台は23.1%で、熊本の27.1%などとともに低位にある。市健康増進課は保護者の関心の薄さが要因とみており、斎藤仁子課長は「早い時期に保護者の意識を啓発したい」と話す。

 乳幼児の虫歯は、離乳完了の遅れや甘い物の取りすぎなどが原因。乳歯が生えそろう3歳で虫歯がなければ、将来も増えにくいという。

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