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歯周病がカンジダ菌で進行 高齢者は十分な口腔管理を

口腔内常在菌である真菌(カビ)の一種、カンジダ菌が歯周病菌の
歯肉への侵入を進行させるという実験結果を、奥羽大歯学部口腔病
態解析制御学講座の玉井利代子准教授が発表している。この研究の
論文は微生物学免疫学に関する国際的な学術雑誌「マイクロバイア
ルパソジェネシス」に掲載された。カンジダ菌は中高年になると検
出される割合が増え、50代では約半数の人から検出されるという。
玉井准教授は中高年がカンジダ菌の保有率や歯周病になる割合が高
いこと等を踏まえ「カンジダ菌が口腔内で発生した場合は、歯周病
の原因菌である歯周病菌の働きが高まる」という仮説を立て、2年
前より実験をスタートした。シャーレで人の歯肉の細胞を培養し、
カンジダ菌と触れた細胞と触れていない細胞の歯周病菌を取り込む
割合を比較した結果、触れた細胞は触れていない細胞の3倍、歯周
病菌を取り込みやすいことを確認し、歯周病がカンジダ菌で進行す
ることを突き止めた。歯周病菌は歯周病だけでなく、動脈硬化等の
原因の一つとも言われ、口腔内を清潔に保つことはこれらの予防に
も繋がるといえる。歯磨きやうがい、義歯の手入れ等により歯周病
や動脈硬化、心筋梗塞等のリスクを減らせるという、口腔内環境改
善の重要性を再認識する結果である。

ヒヤリ・ハットの背景・要因分析し注意喚起促す

日本医療機能評価機構は薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業のうち、特に共有すべき事例を公表した。今回公表した事例はいずれも内服薬調剤などに関するものとなっている。

 事例1では、「フェノバール散10%1g、90日分で秤量すべきところ、0.5g、90日分で秤量した」というもの。背景・要因としては「処方せんを発行した病院が当日より処方せんの書き方を変更した。1回分と1日分は括弧書きで両方の併用表記になった。1回分を1日分と勘違いしてしまった」ことをあげている。

 同事例のポイントとして機構は、「処方せんの記載方法が変更されたときはより一層の注意が必要。初めて1回量と1日量が併記された処方せんに対応するときは、慎重に読まなければヒヤリ・ハットが増加する可能性がある」と指摘しており、変更点があった際の調剤には注意を怠らないことを呼びかけている。

 事例2では「ベプリコール錠100㎎の処方に対して、併用薬のイトリゾールカプセル50を患者から確認した。その後、ベプリコール錠100㎎の添付文書を確認し、問題なしと判断して投薬した。患者が帰ったあと、イトリゾールカプセル50の添付文書を確認したところ、併用禁忌の記載があったため、医師に連絡、患者から感謝の電話があった」というもの。

 機構は「一方の薬剤の添付文書のみに当該薬への併用禁忌記載があった例。両剤ともに併用薬に十分留意する必要性のある薬剤ではあるが、必要があれば企業においても添付文書の記載内容等を検討してもらう必要がある」とし、薬局が添付文書の落とし穴を発見した例であるとしている。

 事例3では「オキシコンチン錠5㎎3錠/分3毎食後で処方されたが、食後・食前の指示がなく、時間で服用する際は通常の用法とは違う入力方法を行い、あとで薬袋の修正をかける方法をとっていた。事務員の入力ミス、薬剤師の確認不足で薬袋の表記方法が1回3錠になっており、患者が服用してしまうこととなった」という内容。

 その背景としては「事務員がマニュアルどおりに入力していないことと、薬剤師も薬袋表記を確認できていなかった」ことをあげている。機構は「処方せんは1日3回の決められた時間による内容だったが、対応するコードが無いため独自入力で対応し、後で手直しする方法を採用していたと思われる。マニュアルがあってもそれに従わないと大きな問題につながるケース」とし、事務員と薬剤師による薬袋、薬剤情報提供文書の表記にチェックが重要であるとしている。

 なお、薬局ヒヤリ・ハット事例収集事業への参加薬局数は6314軒となっており、増加傾向にある。

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