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新型コロナ“歯科健診”で感染率低下

山梨県内で、歯科健診を受けた人の新型コロナウイルスの感染率は5.2%で、県内全体の7.5%よりも低かった。山梨県の臨時歯科健診事業の検証結果によるもので、9日に県が公表し、地元紙でも報じられ、話題となっている。

【歯科通信】

フルデジタルでの部分床義歯製作方法を開発

今まで報告がされていないデジタル部分床義歯の製作方法を、東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科の金澤 学 教授らの研究グループが、キヤノン電子株式会社との共同研究で開発した。具体的には「欠損状態に応じた義歯をPC上でデザインし、そのデザインに対応した外枠を設計」「その外枠の中に既製人工歯と、3Dプリンターで造形した金属のフレームワークをはめ込み、レジンを流し込み重合」「外枠ごとミリングマシンに装着し、一度に義歯を削りだす」というもの。

 この方法の最大の特徴点は、重合による収縮が完成した入れ歯の精度へ及ぼす影響が少ないところにある。より短時間で精度の良い入れ歯を作れるようになり、歯科医師・歯科技工士の労働環境の改善にもつながることが期待される。

 国際科学誌『Journal of Prosthodontic Research』に、2023年2月2日にオンライン版で発表。
【歯科通信】

医療事故:県立中央病院、医療事故で10代死亡 下顎矯正手術後に /愛媛

愛媛県立病院は17日、かみ合わせを矯正するための下顎(したあご)の手術を受けた同県の10代女性が医療事故で死亡したと発表した。同院は救急医との連絡体制に問題があった可能性があるとして改善策を示した。

 同院によると手術は2022年2月で、遺族との示談成立に合わせて公表した。手術自体に問題はなかったが2日後の未明以降に女性から強い吐き気や口腔(こうくう)内などの腫れによる呼吸困難の訴えがあった。看護師が当番医師に電話で連絡し、医師は経過観察を指示。救急医に連絡する仕組みはなく、約1時間後に急変して呼吸が停止した。救命措置を施し、救急医の到着後に人工呼吸器を付けて治療を続けたが、手術から20日後に上気道閉塞(へいそく)による低酸素脳症で死亡した。

 同院は院内の専門部会を開き調査。女性の急変は一般的な経過ではなかったものの、早い段階で院内の救急医らが対処できていれば救命できた可能性があったとした。再発防止のため、急変前の前兆を救急医に連絡しやすくする院内迅速対応システム(RRS)を同年10月から導入した。院長は「患者を救命できず、信頼を裏切った」として陳謝した。

口腔ケアは全身疾患の予防につながるのか「分かりやすい発信方法を考えたい」‐河口浩之・広島大学病院革新的病院口腔ケアプロジェクトセンター長に聞く

広島大学病院では、長きにわたり医科と歯科で連携を図ってきた。その連携をより強固なものにするため、2022年6月に「革新的病院口腔ケアプロジェクトセンター」を設立。入院患者にセルフ口腔ケアグッズを配布し疫学調査を実施するなど、全身と口腔の関係についてさまざまな方面からの分析・発信に取り組んでいる。同院革新的病院口腔ケアプロジェクトセンター長の河口浩之氏に、現在の課題や今後の展望について聞いた。(2022年12月9日インタビュー)

歯性感染症が肺の炎症の原因となることがある

敗血症性肺塞栓症は病原体を含む塞栓子が引き起こす稀な血流感染症で、発熱、呼吸困難、胸痛や咳漱などを生じる。原因には注射、カテーテル留置、皮膚軟部組織感染、感染性心内膜炎、血栓性静脈炎、歯性感染症などがある2)3)。敗血症性肺塞栓症の特徴的なCT所見には、30 mm以下の大きさの多発結節、胸膜に隣接した楔状の末梢病変、halo sign、空洞形成、結節中心部への拡張血管の連続(feeding vessel sign)などがある1)3)。

本症例は血液培養で原因菌は同定できなかったが、CT撮影範囲の上端付近で歯周炎(図2)を認めた。歯肉出血の病歴と合わせると、これが感染源と考えられ、抜歯により改善が得られた。撮像して隅々まで確認することで、原因が発見できることもある。

とろみ付き炭酸飲料の「炭酸」に、嚥下改善効果があると判明②

効果検証のため、嚥下内視鏡を挿入した状態でとろみ付き炭酸飲料摂取・状況評価

 研究グループは今回、とろみ付き炭酸飲料中の炭酸が嚥下に与える効果を検証するため、とろみ付き炭酸飲料と、炭酸を抜いたとろみ付き炭酸飲料摂取時の嚥下動態を比較した。とろみ付き炭酸飲料は、冷却したペットボトル入り炭酸飲料にとろみ剤を添加し、ペットボトルの蓋を閉めて直ちに振り、とろみ剤を混和した後、一晩冷蔵庫で冷却して作製した。比較対象として、炭酸を抜いた同種類の炭酸飲料にも同じ濃度のとろみを付与した(以下、炭酸なしとろみ付き飲料)。

 対象者38人を、先にとろみ付き炭酸飲料を摂取する群と、先に炭酸なしとろみ付き飲料を摂取する群の2群にランダムで割り付け、嚥下内視鏡を挿入した状態で、それぞれの試料を摂取させ、摂取状況を評価した。

 嚥下内視鏡検査(VE)画像より、誤嚥・喉頭侵入を8段階、咽頭残留を5段階で評価した。嚥下反射惹起部位は、VE上で嚥下反射が惹起する直前の食塊先端の位置を5部位に分類し評価した。

とろみ付き炭酸飲料は咽頭残留が減少、嚥下反射も早いタイミングで発生

 その結果、とろみ付き炭酸飲料は炭酸なしとろみ付き飲料と比較して、咽頭残留が減少。また、嚥下反射がより早いタイミングで生じた。

 このことから、とろみ付き炭酸飲料中の炭酸には嚥下改善効果があることが明らかになった。なお、誤嚥・喉頭侵入は、とろみ付き炭酸飲料と炭酸なしとろみ付き飲料で有意な差は認められなかったとしている。

とろみ付き炭酸飲料が水分で誤嚥する嚥下障害患者の嚥下訓練に有効な可能性

 今回の研究成果により、とろみ付き炭酸飲料中の炭酸に、嚥下改善効果があることが明らかになった。同知見から、とろみ付き炭酸飲料は、水分で誤嚥する嚥下障害患者の嚥下訓練に有効な可能性があると言える。

とろみ付き炭酸飲料の「炭酸」に、嚥下改善効果があると判明

とろみ付き炭酸飲料中の「炭酸」の効果は不明だった

 東京医科歯科大学は2月1日、誤嚥防止に用いられているとろみ調整食品でとろみを付けた炭酸飲料中の炭酸に、嚥下改善効果があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科 摂食嚥下リハビリテーション学分野の戸原玄教授、中川量晴准教授、吉見佳那子特任助教、齋木章乃大学院生らの研究グループと、国立長寿医療研究センター 老年内科の前田圭介医長との共同研究によるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。

 嚥下障害患者は、加齢やさまざまな疾患により嚥下機能が低下する。水分など粘度の低いものは摂取時に一気に咽頭に流入するため、嚥下反射とのタイミングが合わず、誤嚥が生じやすくなる。そのため、一般的に水分にとろみを付与することにより、粘度を増加させることで誤嚥を防ぐという方法がしばしば用いられる。

 近年、炭酸飲料は水分と比較し少量で嚥下反射を惹起させることが可能であること、さらに炭酸飲料摂取時の方が、嚥下反射惹起時間が短縮することが報告されている。これは、炭酸飲料の発泡性が咽頭粘膜を刺激することで、嚥下運動が促進されるためとされており、炭酸飲料には嚥下改善効果があることがわかっている。

 一方、とろみ付き炭酸飲料の嚥下動態への効果を検証した研究はあるものの、とろみ付き炭酸飲料中の炭酸の効果を検証した研究は報告されていなかった。

後期高齢者の歯科受診は全身疾患による入院発生の予防効果あり!

 2022年12月13日にArchives of Gerontology and Geriatricsに掲載された研究によるもので-山田宏のデンタルマガジン・Evidence Check!-に報告された。

[研究のポイント]
☆北海道に在住する後期高齢者約80万人のうち、ベースライン期間(2016年9月から2017年2月)に医療機関を受診した約75万人を対象者とした。
☆ベースライン期間に入院経験があった者や在宅医療を利用していた者、要介護認定があった者などを除いた432,292名分のレセプトデータを分析に用いた。
☆歯科受診があった者と、歯科受診がなかった者の特性(性別や年齢、医療費自己負担割合、疾患、健康診断受診の有無、地域)を均等にするため、傾向スコアマッチング法を用いた
☆2年間の追跡期間(2017年3月から2019年3月)とした。
☆歯科受診がなかった者に比べて、歯科受診があった者では、肺炎と脳卒中発作、尿路感染症による入院の発生割合が低かった。
☆歯科受診がなかった場合に比べると歯科受診があった場合に、急性期の入院発生は、肺炎で15%、脳卒中発作で5%、尿路感染症で13%の抑制効果が認められた。
https://doi.org/10.1016/j.archger.2022.104876

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