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院内感染「まるで戦場」 初動の検査と対応が鍵 「検証 コロナ時代」「医療の現場」

医療機関で院内感染が発生すると、診療がまひし医療崩壊に直結する。200人以上のクラスター(感染者集団)が発生した北海道旭川市の慶友会吉田病院には陸上自衛隊が看護官を派遣した。

 「まるで戦場のようだった」。北海道医療大(当別町)の塚本容子(つかもと・ようこ)教授(公衆衛生学)は昨年11月、感染抑制のため支援に入った。目に飛び込んできたのは、気力や体力の限界に達した医療従事者の姿。医師や看護師は感染の不安を抱えながら「患者が亡くならないように、どうにか診療と食事の提供をしていた」。

 感染者と非感染者の活動領域を分ける「ゾーニング」を実施したが、感染者が増えるたびに範囲の変更を余儀なくされた。長期の入院者は大型スーツケース3個分の荷物を持参しており「(個人の持ち物の)消毒に時間を要する上に、作業中に感染が広がっている可能性もあった」という。

 徐々に適切な手指衛生のタイミングや防護具の着脱方法が看護師に浸透し始めた。陸上自衛隊の支援も受け、12月に入り状況が落ち着いてきた。塚本教授は院内感染の抑制は「徹底した検査とゾーニングといった初動にかかっている」と指摘。「人手のわりに業務量が多くなれば、防護具の着脱がずさんになったり、換気を忘れたりと、院内感染のリスクが高まる可能性がある」と、全国でも増えている院内感染の背景を分析する。

 昨年4月の院内感染の発生で、患者や職員ら43人が感染、そのうち4人が死亡した東京都立墨東病院(墨田区)。中村(なかむら)ふくみ感染症科部長によると、感染の可能性は低いものの、経過を観察する必要のある人向けの専用病棟を設けた。さらに、全スタッフに休憩時や日常生活でも密集を避けるよう呼び掛けたことが奏功。速やかに院内感染を終息させることができた。

 現在は「(全身を覆う)防護服は脱ぐのが難しく、過剰な装備で働くのはむしろ危ない」と、マスク、フェースシールド、エプロンの軽装で業務に当たっている。

旭川医大教授ら「大学を私物化」 学長解任求め署名活動

国立旭川医科大学(北海道旭川市)の吉田晃敏学長による新型コロナウイルスに関する不適切発言や、滝川市立病院(同滝川市)との月40万円のアドバイザー契約を巡り、同大教授らが9日、学長辞職を求める署名活動を始めた。

 署名を集めているのは、同大教授や名誉教授22人でつくる「旭川医科大学の正常化を求める会」。公表された趣意書では、吉田学長が2007年から14年近くにわたり学長職に就き、「大学を私物化し、本学の価値を低め、ガバナンス機能を完全に破綻(はたん)させた」「多くの教職員はパワーハラスメントの被害にあっている」などと指摘。不適切発言や旭川医大病院長の解任問題、アドバイザー問題などを引き起こしたとし、吉田氏がただちに辞職するか、大学の学長選考会議が文部科学相に解任の申し出をするよう求めている。

 発起人の一人の長谷部直幸教授(内科)は取材に「なかなか内部から声を出すことができなかったが、ここに至っては、みんなで声を上げるべきだと決意した」と話した。教職員から署名を集め、吉田学長本人と学長選考会議に提出するという。

病院長解任、旭医大激震 情報流出巡り亀裂か 教授不祥事に続くゴタゴタ

旭川医科大にまた衝撃が走った。旭川医大病院の古川博之病院長の解任が役員会で決まり、25日の全学説明会で全教職員に伝えられた。2019年秋以降、教授2人が医療機関や製薬会社から不正に多額の報酬を受ける不祥事が発覚。機能不全に陥ったガバナンス(組織統治)を回復させようとした矢先の解任劇だった。旭川医大に何が起こっているのか。

 大学側は、吉田晃敏学長や副学長ら12人が出席して昨年11月17日に開いた会議の発言を録音し、週刊文春に情報を提供したのが古川病院長と見て、解任の理由の一つに挙げている。

 昨年12月24日発売の週刊文春は「旭川医大学長クラスター病院に『なくなるしかない』」との見出しで、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が当時発生していた旭川市の慶友会吉田病院について、吉田学長が「コロナを完全になくすためには、あの病院が完全になくなるしかない」などと発言したと報じた。

 週刊文春の電子版に載った吉田学長の肉声が決定的な証拠となって大学側は認めざるを得ない状況に追い込まれた。発売後、吉田学長はコメントを発表した。この中で「不適切な発言であったと深く反省している」とした上で、発言の真意について「吉田病院の閉鎖等を望むことを意味するものでない。なくなるしかないのは吉田病院の新型コロナ感染症」と釈明。その一方で、「(発言内容が)外部に漏えいしたこと自体が問題」と、「ネタ元」への非難をほのめかしていた。

 旭川医大の聞き取り調査に対し、古川病院長は全面否定したが、古川病院長を除く会議の出席者が全員、関与を否定したことを根拠に「ネタ元」と決めつけられたという。

 週刊文春への情報の流出経路は不明のままだ。ただ、旭川医大が吉田病院から医大病院への感染者受け入れを昨年11月に検討した際、吉田学長が拒否し、受け入れを取りやめたと、古川病院長が報道各社の取材に証言したことなどから、吉田学長の古川病院長への不信感は決定的になったとされる。

旭川医大、患者受け入れ見送り「学長が判断」 院長証言

 新型コロナウイルスの感染が拡大した北海道旭川市でクラスター(感染者集団)が発生した11月上旬、重症ではないコロナ患者の受け入れを巡り、主に重症患者の担当だった旭川医科大学病院が緊急に受け入れを検討したところ、医大の吉田晃敏学長が許可しなかったと古川博之院長が朝日新聞の取材に証言した。古川院長は「受け入れを検討したが学長の意向を受け結果として見送った」と話している。

 旭川市では11月6日、吉田病院でクラスターが発生。コロナ患者を転院させる必要が出た。そのため、旭川医大病院を含む市内5カ所の基幹病院が8日、受け入れ体制を協議した。

 5病院はもともと、コロナ患者の受け入れを症状に応じて分担しており、旭川医大は主に重症者の担当だった。ただ吉田病院の入院患者は寝たきりの高齢者らが多く、感染した患者にはコロナの症状としては重症ではなくても、転院を急がなければいけない人がいた。そのため、5病院の協議で、旭川医大でも1人を受け入れることにした。

 ところが、協議後に古川院長が吉田学長に受け入れを報告したところ、「許可しない。大学が受け入れるべき対象ではない」と言われたという。11月13日に面談した際は、「『受け入れてもいいが、その代わりお前がやめろ』と言われた」という。

 旭川医大病院は患者の受け入れ体制を整えようとしていたが、学長の方針を受け、「受け入れを見送った」という。古川院長は「納得できなかったが、現場で指揮をする私がやめるわけにはいかない。断念したくなかったが、他に選択肢がなかった」と話す。職員からは「受け入れは地域の病院としての義務なのに」といった声が出たという。

 市内の医療関係者は「医大病院が何らかの理由で吉田病院の患者を引き受けられなくなった、ということはあった」という。その後の吉田病院のクラスター拡大については「旭川医大が受け入れてくれれば状況が変わったかどうかはわからない」という。

■院長「臨機応変な対応すべきだった」 コロナ対応に課題

 旭川医大病院は11月20日以降、旭川市を含む道北地域からコロナの重症患者を受け入れ、現在は中等症以上の患者も受け入れている。また、基幹病院の旭川厚生病院でのクラスター発生を受け、同院で対応できなくなった一般患者も受け入れている。

 古川院長は、今回のコロナ対応では課題が残されたとも話した。旭川市では今年初めの感染拡大を受け、基幹5病院では冬場に向けた対応を検討し、症状に合わせて各院でコロナ病床を増やすなどの対策を取っていた。ただ、徐々に患者が増えるケースを想定しており、今回のような大規模クラスター発生は「予想していなかった」という。古川院長は「臨機応変な対応をすべきだった」という。

 コロナ患者受け入れに関する発言について朝日新聞が吉田学長に確認したところ、旭川医大は「個別の質問には回答しない」とコメントした。

 吉田学長を巡っては、11月17日の学内の会議で吉田病院について「コロナを完全になくすためには、あの病院(吉田病院)が完全になくなるしかない、ということ」などと発言したとされる。「文春オンライン」が今月16日、音声データとともに発言を報じ、吉田学長は17日、自らの発言だと認めたうえで、「発言は、吉田病院の閉鎖等を望むことを意味するものではありません」「不適切な発言であったと深く反省しています」などとするコメントを出していた。

病院職員、診療拒否相次ぐ クラスター発生の旭川市

北海道旭川市で、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した病院や障害者施設の職員や家族が、医療機関で診療を拒否される事例が複数あったことが24日、市保健所への取材で分かった。市保健所は地元医師会に計2回、改善を要請した。

 市保健所によると、大規模クラスターが発生した「慶友会吉田病院」や障害者施設「北海道療育園」などの職員や家族が、診療に訪れた医療機関で「クラスター関係の方は受診できない」などと断られるケースがあったという。職員らはいずれも感染者の濃厚接触者ではなかった。

 事態を懸念した市保健所は7日と21日、市医師会に通常の患者と同様に対応するよう改善を申し入れた。

 市保健所の浅利豪(あさり・ごう)新型コロナ対策担当部長は「クラスターが発生した病院などで勤務し、肉体的にも精神的にも疲弊している人が体調を崩しても受診できないのはおかしい。同じ医療機関として、誠心誠意対応してほしい」と話した。

旭川派遣の自衛隊、21日撤収へ 道と市が方針決定

新型コロナウイルスの感染が拡大した北海道旭川市で、患者の治療支援にあたっている陸上自衛隊が、近く撤収することになった。同市では複数の医療機関などで大規模なクラスター(感染者集団)が発生し、一般の医療にも影響が出ているため、北海道の鈴木直道知事が8日、自衛隊の災害派遣を要請。陸自の看護師ら計10人が9日から、市内の医療機関など2施設に2週間程度の日程で派遣されている。

 20日午前、旭川市の西川将人市長と鈴木直道知事が電話会談し、週明け21日までとなっている当面の派遣の期限延長を求めない方向で合意した。陸自の看護師らは21日に撤収することになる。

 旭川市では、大規模なクラスターが発生した吉田病院と、重症障害児者施設の北海道療育園にそれぞれ5人、計10人の陸自の看護師らが9日から支援に入っている。

新型コロナ 71人感染 入院200人超 旭川で初のクラスター /北海道

道内で3日、過去3番目となる71人の新型コロナウイルス感染が新たに確認され、感染者は計3349人になった。旭川市では初めてのクラスター(感染者集団)が発生し、日別で過去最多の7人が感染。また、札幌市内の70代男性と道内の80代女性の死亡も発表され、死者は計112人となった。【土谷純一、渡部宏人】

 内訳は札幌市発表分が未就学児2人を含む49人。その他の地域は、旭川市7人▽小樽市2人▽石狩管内3人▽胆振、上川管内各2人▽空知、後志、日高、オホーツク、十勝管内、札幌市在住の各1人。このうち28人の感染経路が不明という。

 クラスターは新たに3件発生し、5日連続の確認。札幌市のススキノでない場所にあるスナック、旭川市内の飲食店、胆振管内のカラオケスナックで、それぞれ利用客ら6~7人が陽性と判定された。

 小樽市立潮見台小では児童1人の感染が確認され、13日まで学級閉鎖する。旭川市内の中学生1人も感染し、学校は4日から3日間休校すると決めた。

 道内では1週間連続で新規感染確認が50人を超え、7日間の累計は491人。道は10月28日に「警戒ステージ」を2に上げたばかりだが、既に3に移行する目安である133人を大きく超えている。使用病床数も今月3日時点で215床と、ステージ3の基準の250床に近づいている。

 道保健福祉部の広島孝技官は「札幌だけでなく全道各地、さらに50代以上にも感染が広がっている。中等症の患者が増え、医療機関への負担が大きくなってきている」と危機感を強めている。

北海道で感染の60代男性は開業医 消防士と濃厚接触

北海道は26日、新型コロナウイルスの感染者として前日に公表した60代男性は、北海道美瑛町の開業医だったと明らかにした。

 道によると、この男性は23日に感染が確認された同町在住の20代の男性消防士の濃厚接触者という。

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