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歯と口の健康アラカルト 金属アレルギーと歯科

アレルギーとは、本来、体の外から入ってきた細菌やウイルスを防ぐための免疫反応が、花粉や食べ物などに対しても過剰におこることです。その原因物質が金属の場合、これを金属アレルギーといい、近年増加傾向にあります。ピアスやネックレスなどの装飾品だけでなく、歯科で詰め物やかぶせ物に使う金属が原因となることもあります。金属が汗にぬれたり、唾液にさらされたりしてイオンとなって溶け出し、身体の過剰反応が起こって症状が出るのです。

 症状は、金属が触れる部分が赤くなったり、かゆくなったり、手のひらや足の裏に水ぶくれができたりします。体調がどうもすぐれないとか、アトピー性皮膚炎など、全身にさまざまな症状をきたすこともあります。

 治療の方法はまず原因となる金属を突き止めることです。これは専門の歯科または皮膚科で検査します。できれば歯科用金属も含めた詳しい検査をしてもらうことが望ましいです。

 原因金属が特定され、お口の中にその金属があると判明すれば、すべて取り除くことになります。金属を含まないセラミックやレジンと呼ばれる樹脂製の材料で治します。前歯と小臼歯は保険でもセラミック素材以外の白い冠が可能でしたが、大臼歯はこれまで金属冠しか保険で認められていませんでした。しかし、この4月の保険のルール改定で医科における金属アレルギーの診断と、その紹介状があれば、保険でもセラミック素材以外の白い冠をかぶせることが認められました。金属アレルギーの方には朗報です。

 また、金属アレルギーを予防したいという場合には、やはり可能な限り金属に触れる機会を減らすのがベストなので、お口の中の治療はできるだけ金属を使わない方がいいでしょう。かかりつけの主治医の先生とよく相談されることをおすすめします。

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