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●雇用保険料引き上げ検討 財源逼迫で厚労省 雇調金支給4兆円超え

厚生労働省が雇用保険料引き上げの検討に入ることが7月28日、分かった。新型コロナウイルス禍で雇用調整助成金の給付決定額が4兆円を超え、財源が逼迫しているため、具体的な保険料率は今後、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で議論し、早ければ来年の通常国会に雇用保険法改正案を提出する。
 雇用保険は仕事を失っても生活に困らないようにするための事業と、雇用安定や能力開発の事業に大きく分けられる。保険料は労使が支払っており、一部事業には国費も投入されている。審議会では、特例で現在は労働者が賃金の0.3%、企業が0.6%となっている保険料率の引き上げのほか、国費投与の在り方についても議論する。
 雇調金は休業手当の一部を補填する制度。コロナ禍を受けて昨年、日額上限を約8.300円から1万5千円まで引き上げ、助成率を最大全額まで拡充している。
 一方で財源不足は深刻化している。雇調金の資源となる雇用安定資金は元年度末時点で1兆5.410億円だったが、本年度末に864億円まで減るとの試算が出ている。本来失業者向けの事業に充てる積立金から借り入れるなどして対応しているが、こちらも元年度末は約4兆5千億円あった積立金が、本年度末には約1.700億円まで減る見通し。(共同)

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