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摂食障害14歳への身体拘束77日、一審変更し請求棄却【医療判例解説】

平成20年1月頃からダイエットを開始した甲野花子さん(仮名、女性。入院当時14歳)は、3月頃からふらつき等が認められるようになり、5月10日に救急搬送される事態が生じ、16日、Y病院精神科を受診した。患者は初診時において、身長153.8cm、体重34.6kgで、心電図検査ではQTc延長の所見が確認、摂食障害と診断され、19日から任意入院した。主治医のA医師は、食事はその3分の2以上を摂取すること、3分の2以上摂取できない場合には経鼻経管栄養となること等を伝えた。23日にA医師の診察を受け、患者は音楽さえ聴けないことに対する不満を述べ、看護師に、「こんなんだったら自殺した方がまし。点滴も自分で外して出ていきますよ。」などと訴えをした。翌24日(土曜日)午後0時20分頃以降、患者は、A医師と交渉したい旨を繰り返し、看護師から、A医師とは月曜日にならないと交渉できないと告げられると、午後3時15分頃、点滴を自己抜去した。院外にいたA医師は知らせを受け、午後4時頃から面談し、点滴の再挿入の同意が得られなかったため、両親の同意を得て医療保護入院とするとともに、身体的拘束が開始された。6月23日、両上肢の拘束が25cmに緩められ、30日、下肢の拘束が解除され、8月8日、全ての拘束が解除された。患者は、11月21日、退院した。

 このため患者本人は、77日間の身体的拘束は違法であったと主張し、損害賠償金の支払いを求め、原審は、拘束期間の内、17日間について、違法であったものと認め、総じて110万円を支払うように命じた。これを不服として、双方が控訴した。

 控訴審は、A医師は慎重に患者の心理状態の見極めを続け、十分と判断された8月8日に至って拘束を解除することとしたところ、A医師の裁量も考慮すれば、拘束が継続されたことが違法だったものと認めることまではできず、したがって、患者側の控訴は理由が無いことから棄却した。