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感覚過敏の子どもを通して「感覚の問題」のメカニズムと対応を考える

診察室に入ると突然怒り出して退室した、注意欠如・多動症(ADHD)+自閉症スペクトラム(ASD)のRくん(8歳)を通じて「感覚の問題」を考えました。一見、理解できないRくんの行動は、感覚過敏という視点で見つめ直すと以下のように説明できました。

診察室に入室後、突然怒り出す⇒診察室がいつもより明るくてまぶしかった(視覚)
商業施設で車から降りない⇒BGMがうるさかった?(聴覚)、人や看板などの視覚情報過多?(視覚)
水族館の海獣館に入らない⇒獣臭が苦手?(嗅覚)
休み時間に怒り出す⇒急に複数の話し声でざわざわしてうるさく感じた(聴覚)
肩を叩かれて怒り出す⇒予想しないタイミングで人に触られて痛みや不快感を覚えた(触覚)
 「感覚の問題」、つまり「感覚過敏や感覚鈍麻など、感覚刺激に対する反応の特性」はASDの人に多いことが知られていますが、発達障害ではない人でも見られます。また、感覚過敏の人も感覚鈍麻の人もいますが、臨床上問題になるのはRくんのように「感覚が過敏で、その症状に対策を取れない人(怒りや問題行動で反応する人)」(感覚プロファイル・シリーズでは「感覚過敏」に該当)です。今回はそうした感覚過敏の人を念頭に、「感覚の問題」のメカニズムと対応について考えましょう。