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障害者の育児、地域で支援 北海道、体制構築検討へ

 北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営するグループホーム(GH)で、知的障害者が不妊処置を受けていた問題で、障害者が住み慣れた地域で子育てできるよう、北海道が地域の支援体制構築を検討する方針を固めたことが2日、関係者への取材で分かった。

 国の制度はGHでの同居や子育てを想定しておらず、入居者が結婚や出産を希望した場合の支援策が課題となっている。

 北海道関係者によると、市町村が子育てを支援する居宅介護支援事業者などと連携し、障害者を地域ぐるみで支えているケースもあるが、地域によって受けられる支援内容や事業者の数に差があるのが課題という。北海道は実態を把握し、関係機関との連携を模索する。

 他に、障害者が結婚や出産をイメージした上で意思決定できるよう、GHなどが国のガイドラインに基づく「意思決定支援会議」を開いたり、個別支援計画を作ったりしているかどうかを実地指導などの際に確認する。

 国には、居宅介護支援事業所の不足解消に向けた育児支援の報酬引き上げや、一定の要件を満たした場合のGHでの子育て容認などを要望する。

 北海道はこれらの方策を9日の道議会保健福祉委員会で示す見通し。

 ※障害者不妊処置問題

 北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」のグループホームで、結婚などを希望する知的障害者が不妊手術や処置を受けていたと共同通信が2022年12月に報道した。北海道は障害者総合支援法に基づく監査で13人が処置を受けたことを確認し、23年6月、法人側に「意思決定支援への配慮が不十分」として改善を指導。その後の調査で、道内14事業所で計25人への処置も判明した。