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口の中見ずに「異常なし」 徳島市立保育所の健診で不備

徳島市立応神保育所(応神町)で2023年10月に実施された健康診断で、診察に当たった嘱託医が、児童の口を開けて診察していないにもかかわらず、「口腔(こうくう)・咽頭(いんとう)」の検査項目を「異常なし」と診断していたことが分かった。保護者の指摘を受けて市は検査の不備を認め、後日、全ての園児を対象に再度健診を実施した。児童に異常はなかった。

 健康診断は春と秋の年2回実施し、栄養状態や胸部、耳鼻など7項目の検査が義務付けられている。

 応神保育所には0~5歳児約60人が通う。5歳の息子を通わせる母親は23年10月下旬の健診日、体調を崩していた息子の健診に立ち会った。嘱託医は聴診器を当てただけで終わり、「簡潔すぎるのでは」と疑問に思い、健診結果の開示を同園に要求。開示された資料には、口腔・咽頭の異常の有無について「無」に丸が付いていた。

 母親からの指摘を受けて市の担当職員が嘱託医に確認したところ、他の園児も同様に異常なしと報告されていた。市は保護者宛に再度健診を行う旨の通知を送り、この嘱託医が後日、医療機器を使って口腔・咽頭の検査を行った。

 同園では前任の嘱託医が22年度で退き、23年度から市医師会の推薦で新たな嘱託医が同園を担当。市によると、この嘱託医は「嫌がる児童もいるので口を開けてまでやるのはどうかと思い、視診で対応した」と説明しているという。嘱託医は保育所での健診は同園が初めてだった。

 母親は「これから入園してくる子どもの保護者が不安にならないようにしてほしい」と要望。市子ども保育課は「新たに嘱託医を迎える場合は検査項目についてしっかり説明していく」としている。