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24年度改定議論の整理が固まる、賃上げに向け初診・再診料は見直しへ

厚生労働省は 1 月 12 日の中央社会保険医
療協議会総会で、「令和 6 年度診療報酬改定
に係るこれまでの議論の整理(案)」を提示
し、了承された。これまで、「議論の整理」
で示された項目立ては診療報酬改定の項目と
なっており、実質的な改定の方向性が固まっ
たといえる。2024 年度診療報酬改定の焦点
となっている医療機関の職員の賃上げについ
ては、「初再診料等」「入院基本料等」の評
価を見直すことが明記された。
昨年 12 月 11 日の社会保障審議会医療保
険部会および医療部会で決定された「令和 6
年度診療報酬改定の基本方針」では、「現下
の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革
等の推進」を重点課題と位置づけた。
事実上、賃上げを最優先課題としており、
「基本的視点」の最初の一文で「2023 年の
春闘などを通じて賃上げが行われているもの
の、医療分野では賃上げが他の産業に追いつ
いていない状況にある」と明記している。
実際、2023 年度の春闘では平均 3.58%
の賃上げを実現しているものの、医療・介護
分野の賃上げは 1%台。結果、高齢化で需要
が増加しているのが明らかなのにもかかわら
ず、人材確保の状況は悪化しており、有効求
人倍率は全職種平均の 2~3 倍程度で高止ま
りしている。
そうした状況を踏まえ、昨年 12 月 20 日
に行われた厚生労働相と財務相による大臣折
衝では、プラス 0.88%の診療報酬引き上げ
のうち、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種の賃上げに 0.61%を充当すること
を決定。2024 年度にベア+2.5%、2025
年度にベア+2.0%を実施していくため、
2024 年度税制改正で強化された賃上げ促進
税制の活用も促していくとしている。
さらに、「令和 6 年度診療報酬改定の基本
方針」では、「医師、歯科医師、薬剤師及び
看護師以外の医療従事者の賃金の平均は全産
業平均を下回っており、また、このうち看護
補助者については介護職員の平均よりも下回
っていることに留意した対応が必要である」
とも明記しており、看護補助者を筆頭に医
師・看護師以外の医療従事者の賃金を全産業
平均まで引き上げる意向をにじませている。