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老化抑制に効果が期待される「NMN」

いま老化抑制、アンチエイジングに効果があるのではと巷で大いに話題と
なっているのがNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)です。NMNは体内に
おいてはビタミンB3から生成される物質で、母乳に含まれているほか、ブロッ
コリーやアボガド、トマトや枝豆などの野菜にも含まれています。その存在は
1960年代から知られておりましたが、近年、抗老化研究の第一人者である今井
眞一郎教授(米ワシントン大学医学部)の大発見により、機能性食品素材とし
て一躍ブームとなりました。研究から長寿遺伝子とも呼ばれている酵素サー
チュインの活性化が、老化防止や寿命の制御に重要であることが解明され、そ
の活性化のカギとなるのがNMNなのです。酵素サーチュインはNAD(ニコチン
アミド・アデニン・ジヌクレオチド)という物質によって活性化されますが、
NADは体内においてNMNから生成されます。NADは10代後半をピークに減少に
転じ、40代でピーク時の半分まで減少してしまうため、サプリメント等でNMN
を摂取しNADを増加させることで、様々な効能を促すという仕組みです。
 今井教授の行った臨床実験によれば、老化に伴い2型糖尿病となったマウス
にNMNを投与したところ症状に改善が見られ、さらに健康な大人のマウスへの
投与では、中年太りの抑制、目の網膜機能や骨密度の低下抑制など、顕著な抗
老化作用が確認されたそうです。
 このような効能を示すNMNですが、今井教授は同時にNMNの日本での急速な
広まりに対して警鐘も鳴らしています。人間に対して適切な摂取量がまだ明確
でないため、高用量の摂取を長く続けると「肝機能の障害を起こす恐れがある」
と指摘。また、医薬品として認められていない点滴での投与を勧める
クリニックも増えていること、ネット等で売られているサプリメントに偽物が
多い点にも注意が必要だとしています。「人生100年時代」の“切り札”として
期待される若返り物質「NMN」。その効能を得るには、科学に基づいた確かな
情報、信頼できるエビデンスこそ、欠くことのできない前提となりそうです。