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北海道医療大、Fビレッジ移転を検討…当別町「損失計り知れない」と断念要請

北海道当別町にある北海道医療大が、北広島市への移転を検討していることが町などへの取材でわかった。後藤正洋町長は26日、同大を訪れ、移転を断念するよう求める要望書を出した。大学側は27日に開かれる学校法人の理事会で移転について意思決定する見通しだ。

 関係者によると、同大は2028年度にプロ野球・北海道日本ハムファイターズの本拠地球場を核とする複合施設「北海道ボールパークFビレッジ」への移転を目指している。

 同大は取材に応じていないが、町によると、移転の理由については、少子化に伴い学生の確保が難しくなっていることが挙げられたという。キャンパスはJR札沼線の「北海道医療大学駅」と直結するが、周辺に商店や飲食店はほとんどない。Fビレッジは新駅建設が予定され、移転すれば通学の利便性が上がるほか、学生のアルバイト先が見つけやすいといったメリットがあるとみられる。

 一方、当別町では困惑が広がっている。町は1978年に歯学部が設置されてから半世紀にわたり大学と連携したまちづくりを進めてきた。人口約1万5000人の町には約3500人の学生の大半が通い、うち約900人は町内に住んでいる。2013年には包括連携推進協定を締結し、20年に策定した町総合計画の審議会長は同大副学長が務めた。現在も「町まち・ひと・しごと創生総合戦略推進委員会」の委員長に同大関係者が就いている。学生もボランティア活動で地域に貢献してきた。

 後藤町長は1週間ほど前に移転に関する話を聞き、同大に問い合わせたが回答はなかったという。26日は同大を運営する学校法人東日本学園の鈴木英二理事長と約10分間面会した。

 要望書は、大学がまちづくりや地域コミュニティーの維持発展に重要な存在と強調。「移転計画が実行された場合、町の経済的、文化的損失は計り知れない」として、移転を断念するよう強く求めている。提出者には町や町教育委員会のほか、当別アパート組合、当別料飲店組合など各種団体が名を連ねた。

 面会後、取材に応じた後藤町長は「これまで大学との連携はしっかりできていた。移転について、事前に相談をしていただきたかったという思いはある」と語った。

 学校法人は27日の理事会で意思決定する考えを崩していない。